毎日新聞 2013年12月06日 大阪夕刊
初秋の昼下がり。遅い昼食を取りにラーメン店に入り、ちゃんぽんを頼んだ。「うまい!」。カウンター席で、たっぷりの野菜と麺を気分良く半分ほど食べたころ。右手から近づいてきた女性店員が、横に立ち止まって言った。「お客様、食べていただいているところに申し訳ありません。魚介を入れ忘れました」
「え?」。今度は、左手から男性店員が「すみません」と頭を下げる。このちゃんぽんを作ったのだろう。「もう火を落としてしまって……」。昼の営業時間も終わり。エビやイカを炒めて作り直そうとしたのだろうか。声を落とした。
言われなければ、まったく気がつかなかった。女性店員が続けた。「お代は要りません」。「えー!?」。850円。味が格段に落ちたとも思えない。「払いますよ」と答えたが、女性店員は言い切った。「本来の商品とは違いますから」
プロの気概とプライド。食材偽装が発覚したホテルや百貨店は「知識不足」などと言い訳したが、街のラーメン店にあるものがなかっただけでは、と思う。偽りのない味と心意気に引かれ、この店ののれんをくぐっている。【八重樫裕一】
へーっ!日頃ならば普通のことかも知れないが、ちょっといい話ですね。選りにも選って、一流と言われるホテルや百貨店のお店が次から次へと頭を下げての記者会見。いったい、この国はいつからみんな嘘つきになったんだろう。
私はこよなく毎日新聞を愛していますが、この記事を書かれた八重樫裕一さんは、まさか作り話ではないでしょうね!?(笑)。だってこんなに人を信用させなくなった世の中って誰も彼も疑いたくなりますよ。それが都知事だったり、総理大臣だったり・・・。こんな、いい話題が街に転がっているうちは、日本もまだ捨てたものじゃーないですよね。
上は近所の釜谷池群でデジ一の試し撮り(鳥)三態。