森ビルの六本木ヒルズ(中央)。入居するゴールドマン・サックスからの要望が、再生可能エネルギー由来の電力供給に本腰を入れて取り組むきっかけとなった=東京都港区で2013年4月19日、本社ヘリから手塚耕一郎撮影
毎日新聞 2021/3/5 16:52 (抜粋)
オフィスビル業界で、入居企業向けに太陽光や風力など温室効果ガスを排出しない再生可能エネルギー由来の電力を提供するサービスが広がっている。投資家や取引先を意識して、自社事業の脱炭素化を急ぐ企業が増えたためだ。不動産各社は再エネを提供する手法を工夫して編み出していて、今後も拡大すると予想される。さらにビル建築時の排出削減に取り組む企業も出始めた。【岡大介/統合デジタル取材センター、八田浩輔/外信部】
外資から国内企業に広がってきた再エネ希望
「オフィスで使う電気を再エネ100%に切り替えたい」と希望する入居企業が増えている、とオフィスビル事業を手がける森ビルの環境推進部の武田正浩課長は明かす。「顧客の意識はこの1年で高まっています。昨秋、政府が2050年に温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指すと宣言してからは2、3カ月で10件くらい問い合わせが来るなど、動きはますます加速していますね」
森ビルが再エネ提供に取り組むようになったきっかけの一つは、18年ごろ、六本木ヒルズ森タワー(東京都港区)に入る外資系金融会社「ゴールドマン・サックス(GS)」からの要望だった。森ビルによると、GSは自社の温室効果ガス排出量実質ゼロに取り組んでいたが、世界で唯一達成できていなかったのが日本だった。そこで森ビルは自社系列の電力小売企業を経由し、六本木ヒルズ内の企業に再生可能エネルギー由来の電力を提供する仕組みを19年8月に実現した。
虎ノ門・麻布台プロジェクトの完成予想図。エリア全体の電力が再生可能エネルギーで供給される=森ビル提供
今、森ビルが手がける「虎ノ門・麻布台プロジェクト」では、全域への供給を100%再エネにする。23年3月末完成予定で、約8・1ヘクタールの広大なエリアに高層ビル3棟を配置し、オフィスや住居、ホテルなどに充てる大型プロジェクトだ。
武田課長は「電気代の負担は多少増えますが、環境対策を意識していても具体的に何をすればいいのか手探りの企業も多く、歓迎されています。最近は外資に限らず国内企業の関心も高い」と話す。
オフィスビル仲介大手の三鬼商事によると、東京都心のオフィスビルの平均空室率は20年2月には1・49%だったのが、新型コロナウイルス感染拡大などにより21年1月は4・82%まで上昇している。「再エネ」による差別化が、優良顧客獲得の武器になるとみるオフィスビル業者は少なくない。
不動産事業全体の脱炭素が次の焦点……木造オフィスビルも
三井不動産が計画する木造の高層オフィスビルの完成予想図=同社提供
入居企業だけでなく、不動産業界自身も取り組みを始めている。三井不動産は30年度に19年度比でグループ全体で温室効果ガスの排出量を30%削減、50年度には実質ゼロとする目標を掲げている。前出の杉野・ESG推進室長は「オフィスビル事業の場合、自社が排出する温室効果ガスはサプライチェーン全体の10%程度。建築や運営など、自社活動以外の部分も削減しないと意味がありません」と話す。
しかし、不動産事業のサプライチェーン全体でCO2排出量を減らすのは簡単ではない。製造時に大量の温室効果ガスを排出するコンクリートや鉄を使って建築するところから始まるからだ。そこで三井不動産が竹中工務店と共同で設計に取り組んでいるのが、23年に東京・日本橋で着工予定の木造オフィスビルだ。木造ながら地上17階建て、高さ約70メートル。同規模の鉄骨造のビルと比べ、建築時のCO2排出量を20%削減できるという。
米国ではバイデン大統領が30年までに新たな商用ビルの温室効果ガス排出量を実質ゼロとする政策を掲げた。日本政府が20年末にまとめた脱炭素関連の「グリーン成長戦略」でも、住宅・建築物分野は「(脱炭素に向けて)鍵となる分野で、一度建築されると長期ストックとなる性質上、早急に取り組むべき分野」と指摘し、省エネ性能の向上や、中高層建築物での木材利用の普及・拡大を目指す方針が明記されている。入居企業向けに再エネを提供するサービスが広がりはじめたオフィスビル業界だが、やがて建築時を含むサプライチェーン全体で脱炭素化が求められることになりそうだ。
「脱炭素」事態が正直なところちゃんと理解出来ていないのだが、コロナ禍で経済が完全にストップだと思っていたのに、ここでは漫画にでも出てきそうな未来都市が語られているんだね。「脱炭素社会づくりに貢献する製品を選択することで、快適でかつ温室効果ガスの排出量削減につながります。地球温暖化対策のため、一歩先のライフスタイルを賢く選択することが大切です。」なんて文字がネット上では踊っているが、これって全世界の国々が足並みを揃えるのだろうか?トランプ氏が再登場にでもなれば、またちゃぶ台返しになりそうだが?(笑)
毎日新聞 2021/3/5 16:52 (抜粋)
オフィスビル業界で、入居企業向けに太陽光や風力など温室効果ガスを排出しない再生可能エネルギー由来の電力を提供するサービスが広がっている。投資家や取引先を意識して、自社事業の脱炭素化を急ぐ企業が増えたためだ。不動産各社は再エネを提供する手法を工夫して編み出していて、今後も拡大すると予想される。さらにビル建築時の排出削減に取り組む企業も出始めた。【岡大介/統合デジタル取材センター、八田浩輔/外信部】
外資から国内企業に広がってきた再エネ希望
「オフィスで使う電気を再エネ100%に切り替えたい」と希望する入居企業が増えている、とオフィスビル事業を手がける森ビルの環境推進部の武田正浩課長は明かす。「顧客の意識はこの1年で高まっています。昨秋、政府が2050年に温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指すと宣言してからは2、3カ月で10件くらい問い合わせが来るなど、動きはますます加速していますね」
森ビルが再エネ提供に取り組むようになったきっかけの一つは、18年ごろ、六本木ヒルズ森タワー(東京都港区)に入る外資系金融会社「ゴールドマン・サックス(GS)」からの要望だった。森ビルによると、GSは自社の温室効果ガス排出量実質ゼロに取り組んでいたが、世界で唯一達成できていなかったのが日本だった。そこで森ビルは自社系列の電力小売企業を経由し、六本木ヒルズ内の企業に再生可能エネルギー由来の電力を提供する仕組みを19年8月に実現した。
虎ノ門・麻布台プロジェクトの完成予想図。エリア全体の電力が再生可能エネルギーで供給される=森ビル提供
今、森ビルが手がける「虎ノ門・麻布台プロジェクト」では、全域への供給を100%再エネにする。23年3月末完成予定で、約8・1ヘクタールの広大なエリアに高層ビル3棟を配置し、オフィスや住居、ホテルなどに充てる大型プロジェクトだ。
武田課長は「電気代の負担は多少増えますが、環境対策を意識していても具体的に何をすればいいのか手探りの企業も多く、歓迎されています。最近は外資に限らず国内企業の関心も高い」と話す。
オフィスビル仲介大手の三鬼商事によると、東京都心のオフィスビルの平均空室率は20年2月には1・49%だったのが、新型コロナウイルス感染拡大などにより21年1月は4・82%まで上昇している。「再エネ」による差別化が、優良顧客獲得の武器になるとみるオフィスビル業者は少なくない。
不動産事業全体の脱炭素が次の焦点……木造オフィスビルも
三井不動産が計画する木造の高層オフィスビルの完成予想図=同社提供
入居企業だけでなく、不動産業界自身も取り組みを始めている。三井不動産は30年度に19年度比でグループ全体で温室効果ガスの排出量を30%削減、50年度には実質ゼロとする目標を掲げている。前出の杉野・ESG推進室長は「オフィスビル事業の場合、自社が排出する温室効果ガスはサプライチェーン全体の10%程度。建築や運営など、自社活動以外の部分も削減しないと意味がありません」と話す。
しかし、不動産事業のサプライチェーン全体でCO2排出量を減らすのは簡単ではない。製造時に大量の温室効果ガスを排出するコンクリートや鉄を使って建築するところから始まるからだ。そこで三井不動産が竹中工務店と共同で設計に取り組んでいるのが、23年に東京・日本橋で着工予定の木造オフィスビルだ。木造ながら地上17階建て、高さ約70メートル。同規模の鉄骨造のビルと比べ、建築時のCO2排出量を20%削減できるという。
米国ではバイデン大統領が30年までに新たな商用ビルの温室効果ガス排出量を実質ゼロとする政策を掲げた。日本政府が20年末にまとめた脱炭素関連の「グリーン成長戦略」でも、住宅・建築物分野は「(脱炭素に向けて)鍵となる分野で、一度建築されると長期ストックとなる性質上、早急に取り組むべき分野」と指摘し、省エネ性能の向上や、中高層建築物での木材利用の普及・拡大を目指す方針が明記されている。入居企業向けに再エネを提供するサービスが広がりはじめたオフィスビル業界だが、やがて建築時を含むサプライチェーン全体で脱炭素化が求められることになりそうだ。
「脱炭素」事態が正直なところちゃんと理解出来ていないのだが、コロナ禍で経済が完全にストップだと思っていたのに、ここでは漫画にでも出てきそうな未来都市が語られているんだね。「脱炭素社会づくりに貢献する製品を選択することで、快適でかつ温室効果ガスの排出量削減につながります。地球温暖化対策のため、一歩先のライフスタイルを賢く選択することが大切です。」なんて文字がネット上では踊っているが、これって全世界の国々が足並みを揃えるのだろうか?トランプ氏が再登場にでもなれば、またちゃぶ台返しになりそうだが?(笑)