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余禄  江戸川柳に「鯨汁喰てしまえばいとまごい」がある… / 毎日新聞

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函館の正月料理「くじら汁」を味わう~函館市公式観光情報から    
 
 このような食習慣の違いはどうしようもないね。小父さんが小学校で習った時はくじらのキャッチャーボートでの捕獲高は世界一?とかなんとか誇らしげに教わった気がする。米英ほかが“泳ぐ油井(ゆせい)”なんて呼んで、マーガリン、石鹸、硬化油、製革油などに使っていたなんて全く知らなかった!

  

『我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか』
というタイトルの上の絵を1898年に描きあげたゴーギャン(1848年6月7日 - 1903年5月8日 54歳没)のことをまた思い出した。 

   

余禄  江戸川柳に「鯨汁喰てしまえばいとまごい」がある…

毎日新聞 2018年12月21日 東京朝刊

江戸川柳に「鯨(くじら)汁(じる)喰(くっ)てしまえばいとまごい」がある。当時、年末恒例の奉公人総出のすす払いは最後にみなで鯨汁を食べた。だから当日は江戸中でクジラ5~6匹分は食うんじゃないかと詠んだ川柳もある

▲日本人がそんな歳末を過ごした江戸時代末期、太平洋では鯨油(げいゆ)採取を目的とする米英の何百隻もの捕鯨船が疾駆していた。彼らはクジラの大きさを、取れる鯨油のたるの数「バレル」で表した。クジラは“泳ぐ油井”だったのである

▲後の石油開発にも似た捕鯨では、鯨肉は見向きもされなかった。かたや年1度の鯨汁を楽しみにし、今も多量といえぬ鯨肉をつつましく食べる日本人だ。クジラを油井扱いした人々に白眼視されたくない--とつい感情的にもなろう

▲思えば国際捕鯨委員会(IWC)も昔はシロナガスクジラの産油量110バレルを基準に捕獲量を示したものである。近年は反捕鯨の国際世論を背景に商業捕鯨の一時停止を続けてきたIWCだが、ここに来て何と日本が脱退するという

▲日本政府としては捕鯨国と反捕鯨国の対立打開の見通しがなく、IWC下の商業捕鯨再開を見限っての方針転換らしい。脱退後は日本の排他的経済水域内の商業捕鯨再開をめざすようだが、はてさて国際的理解は得られるのだろうか

▲国際協調が大原則の戦後日本の「国際機関脱退」にはまずびっくりだ。海洋の資源管理をリードしてきた努力も一挙に信頼を失わないか。感情的反発と短慮に根ざす「自国第一」にはくれぐれも要注意である。



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