週刊文春11月1日号
ネット上の毎日新聞にこんなページ(経済プレミアム)もあったんだ!週刊誌を買わない小父さんには大歓迎!事件の中身はよく分からないけど小父さんと一歳違いの沢田研二氏、なんだか小父さんのことを書いているみたい(爆)。
ポール・マッカートニーやローリング・ストーンズと違って という表現も面白い。これも今年の重大ニュースではないのかい!?ジャニーズやAKB48が君臨しているからランキングは下の方かも知れないけど(笑)。
山田道子 / 毎日新聞紙面審査委員 2018年11月19日
騒ぎ過ぎじゃないか。取り上げ方の息もなんだか長い。ジュリーこと沢田研二さん(70)が、10月17日にさいたまスーパーアリーナで予定していた“古希コンサート”を開催1時間前に中止した出来事をめぐる報道だ。
「僕にも意地があります」
スポーツニッポンによると、沢田さんは7月から70歳記念の全国ツアーを始めていた。10月17日は、午後3時半に予定されていた開場が遅れ、同4時前に主催者が中止をアナウンス。入り口などに「契約上の問題が発生したため、中止とさせていただきます」との紙が張られた。
翌18日のスポーツ各紙や朝の情報番組は大きく取りあげた。番組中で「勝手にしやがれ」「時の過ぎゆくままに」といった往年のヒット曲が頻繁にえらく長く流れた。
1982年に開かれた「ザ・タイガース同窓会コンサート」。左から2人目が沢田研二さん=東京都千代田区の日本武道館で1982年3月17日
同日、沢田さんは横浜市内の自宅近くで記者会見。9000人の動員予定が7000人だったため歌うことを拒否したことを明らかにし、「僕にも意地があります」「さいたまスーパーアリーナでやる実力がなかった。責任は僕にある」とスーツ姿で語った。
「大嫌いなワイドショーのカメラの前で謝罪するハメに追い込まれた」とネットメディアの週刊女性PRIME(19日)は書いたけれど、「自己責任」という言葉はこんな時にこそ使うんじゃないだろうか。
「反原発」から「大人女子」まで
報道は公演中止の損害額や支払い、沢田さんのその後の言動にとどまらなかった。「公演ドタキャン 『沢田研二』とポール、ストーンズとの違い」(デイリー新潮19日)は、沢田さんがポール・マッカートニーやローリング・ストーンズと違って、かつての代表曲やヒット曲を歌わないことから「沢田は一般的な意味での『ファンサービス』にはあまり関心がないのか」と問いかけた。
ネットメディアのLITERA(19日)「ドタキャン沢田研二の媚(こ)びない勇気!」は、沢田さんの憲法9条や反原発への思いに注目した。ドタキャンを巡って、沢田さんのコンサート会場では反原発の署名活動が行われており、それをめぐって施設側と対立したというデマも流れたほどだ。「音楽に政治を持ち込むな」というようなバカげた意見が跋扈(ばっこ)する現在の音楽界で沢田研二のようなアティテュード(態度)を貫くことができるミュージシャンはあまりにも貴重だ、とたたえた。
週刊朝日11月16日号
週刊文春11月1日号(10月25日発売)は「沢田研二70 5億円豪邸でマスオさん生活」という特集を組んだ。5ページも割くほど“売れる”人物なのだ。
見出しから受ける印象とは異なり、沢田さんの後半人生、例えばほのぼのとした夫婦関係、反原発活動、交友関係などを暖かい目で描いている(ような気がする)。
そして、もう打ち止めかなと思いきや、週刊朝日11月16日号(6日発売)に「沢田研二を救った大人女子」という記事。“ジュリー教”信徒のアラ還女性の生きがいなどを伝えている。高校時代からのファンの私も「大人女子」。だから、空席が目立つコンサート会場で歌うジュリーを見たくない。沢田さんの今回の決断を支持する。
週刊朝日には2010年2月のインタビューで沢田さんが語ったこんな言葉が載っている。「そりゃ体は重いですよ。走っても、きっと格好はよくない。でも、ぶざまでもがんばっている姿は感動を呼ぶと思うんです」「人間は変わっていく。誰もが老い、朽ちていくんです」
肉体は衰えても中身があれば……
なぜ沢田さんに関する記事が読まれるのか。人生100年時代(この言葉、あまり好きではないが)に「格好いい老後」がみえるからではないだろうか。
会社勤めだとなかなか言いたいことは言えないが、退職したら違うはず。譲れないところは自分の責任で意地を貫く。昔の肩書で評価されるのは拒否して、現在の自分で勝負する。外からどう言われようと、自らの考えを主張し続け、やりたいことをやる。肉体の衰えは認めるけれど中身があれば怖くない……。
老後の生き方のあこがれになるって感じ? その意をさらに強くしたのは、「沢田研二70才のプッツン 話題の『老人病』が危ない! チェックリスト付き」という女性セブン11月8日号(10月25日発売)の記事を見たからだ。理性をつかさどる前頭葉が加齢によって衰えると人間、衝動的な行動を取るという。ジュリー、暴走老人にされちゃった。反面教師にもされてしまう。
山田道子 毎日新聞紙面審査委員
1961年東京都生まれ。85年毎日新聞入社。浦和支局(現さいたま支局)を経て社会部、政治部、川崎支局長など。2008年に総合週刊誌では日本で一番歴史のあるサンデー毎日の編集長に就任。総合週刊誌では初の女性編集長を3年半務めた。その後、夕刊編集部長、世論調査室長を経て15年5月から現職。
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ネット上の毎日新聞にこんなページ(経済プレミアム)もあったんだ!週刊誌を買わない小父さんには大歓迎!事件の中身はよく分からないけど小父さんと一歳違いの沢田研二氏、なんだか小父さんのことを書いているみたい(爆)。
ポール・マッカートニーやローリング・ストーンズと違って という表現も面白い。これも今年の重大ニュースではないのかい!?ジャニーズやAKB48が君臨しているからランキングは下の方かも知れないけど(笑)。
山田道子 / 毎日新聞紙面審査委員 2018年11月19日
騒ぎ過ぎじゃないか。取り上げ方の息もなんだか長い。ジュリーこと沢田研二さん(70)が、10月17日にさいたまスーパーアリーナで予定していた“古希コンサート”を開催1時間前に中止した出来事をめぐる報道だ。
「僕にも意地があります」
スポーツニッポンによると、沢田さんは7月から70歳記念の全国ツアーを始めていた。10月17日は、午後3時半に予定されていた開場が遅れ、同4時前に主催者が中止をアナウンス。入り口などに「契約上の問題が発生したため、中止とさせていただきます」との紙が張られた。
翌18日のスポーツ各紙や朝の情報番組は大きく取りあげた。番組中で「勝手にしやがれ」「時の過ぎゆくままに」といった往年のヒット曲が頻繁にえらく長く流れた。
1982年に開かれた「ザ・タイガース同窓会コンサート」。左から2人目が沢田研二さん=東京都千代田区の日本武道館で1982年3月17日
同日、沢田さんは横浜市内の自宅近くで記者会見。9000人の動員予定が7000人だったため歌うことを拒否したことを明らかにし、「僕にも意地があります」「さいたまスーパーアリーナでやる実力がなかった。責任は僕にある」とスーツ姿で語った。
「大嫌いなワイドショーのカメラの前で謝罪するハメに追い込まれた」とネットメディアの週刊女性PRIME(19日)は書いたけれど、「自己責任」という言葉はこんな時にこそ使うんじゃないだろうか。
「反原発」から「大人女子」まで
報道は公演中止の損害額や支払い、沢田さんのその後の言動にとどまらなかった。「公演ドタキャン 『沢田研二』とポール、ストーンズとの違い」(デイリー新潮19日)は、沢田さんがポール・マッカートニーやローリング・ストーンズと違って、かつての代表曲やヒット曲を歌わないことから「沢田は一般的な意味での『ファンサービス』にはあまり関心がないのか」と問いかけた。
ネットメディアのLITERA(19日)「ドタキャン沢田研二の媚(こ)びない勇気!」は、沢田さんの憲法9条や反原発への思いに注目した。ドタキャンを巡って、沢田さんのコンサート会場では反原発の署名活動が行われており、それをめぐって施設側と対立したというデマも流れたほどだ。「音楽に政治を持ち込むな」というようなバカげた意見が跋扈(ばっこ)する現在の音楽界で沢田研二のようなアティテュード(態度)を貫くことができるミュージシャンはあまりにも貴重だ、とたたえた。
週刊朝日11月16日号
週刊文春11月1日号(10月25日発売)は「沢田研二70 5億円豪邸でマスオさん生活」という特集を組んだ。5ページも割くほど“売れる”人物なのだ。
見出しから受ける印象とは異なり、沢田さんの後半人生、例えばほのぼのとした夫婦関係、反原発活動、交友関係などを暖かい目で描いている(ような気がする)。
そして、もう打ち止めかなと思いきや、週刊朝日11月16日号(6日発売)に「沢田研二を救った大人女子」という記事。“ジュリー教”信徒のアラ還女性の生きがいなどを伝えている。高校時代からのファンの私も「大人女子」。だから、空席が目立つコンサート会場で歌うジュリーを見たくない。沢田さんの今回の決断を支持する。
週刊朝日には2010年2月のインタビューで沢田さんが語ったこんな言葉が載っている。「そりゃ体は重いですよ。走っても、きっと格好はよくない。でも、ぶざまでもがんばっている姿は感動を呼ぶと思うんです」「人間は変わっていく。誰もが老い、朽ちていくんです」
肉体は衰えても中身があれば……
なぜ沢田さんに関する記事が読まれるのか。人生100年時代(この言葉、あまり好きではないが)に「格好いい老後」がみえるからではないだろうか。
会社勤めだとなかなか言いたいことは言えないが、退職したら違うはず。譲れないところは自分の責任で意地を貫く。昔の肩書で評価されるのは拒否して、現在の自分で勝負する。外からどう言われようと、自らの考えを主張し続け、やりたいことをやる。肉体の衰えは認めるけれど中身があれば怖くない……。
老後の生き方のあこがれになるって感じ? その意をさらに強くしたのは、「沢田研二70才のプッツン 話題の『老人病』が危ない! チェックリスト付き」という女性セブン11月8日号(10月25日発売)の記事を見たからだ。理性をつかさどる前頭葉が加齢によって衰えると人間、衝動的な行動を取るという。ジュリー、暴走老人にされちゃった。反面教師にもされてしまう。
山田道子 毎日新聞紙面審査委員
1961年東京都生まれ。85年毎日新聞入社。浦和支局(現さいたま支局)を経て社会部、政治部、川崎支局長など。2008年に総合週刊誌では日本で一番歴史のあるサンデー毎日の編集長に就任。総合週刊誌では初の女性編集長を3年半務めた。その後、夕刊編集部長、世論調査室長を経て15年5月から現職。
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