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女の気持ち 私のお母ちゃん 奈良県桜井市・卜部恵理子(喫茶店経営・63歳)

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 写真は小父さんの母と息子(小父さんが階段の上り下りしている公園で)        
  
  卜部(うらべ)恵理子さんの投稿を読んでお袋の写真を引っ張り出してみた。小父さんも「お父ちゃん、お母ちゃん」と呼んで育ったんだね。この時はもう親父は亡くなっていたんだ。さーて、小父さんもお袋に何かしてあげることは出来たかな?

 今だったら、卜部さんみたいに「何回も同じ話を聞いてあげる」ことも出来るだがね!お袋は故郷・福岡で阪神淡路大震災の二日後に亡くなった。姉に私の安否をたずねてほっとして息を引き取ったらしい。

 卜部恵理子さん、そんなことを思い出せていただき有難うございました。

   

女の気持ち 私のお母ちゃん 奈良県桜井市・卜部恵理子(喫茶店経営・63歳)
毎日新聞 2017年5月14日 東京朝刊
卜部(うらべ)恵理子
 母と同居している弟夫婦が一晩留守にするということで、実家に泊まった。弟からは、「何回も同じことを言うから」と聞いていた。私は行きの電車の中で、「優しい言葉をかけて、何回同じことを言っても聞いてあげよう」と固く決意した。


 少し認知症が進んでいる母。夕食時に、やっぱり同じことを繰り返し言う。最初は「うん、うん」と聞いていたが、1分ごとに7回も8回も聞かされると私の決意はすぐに消えた。冷静になって反省し、聞いてあげなければと思っていたら、また、同じ言葉の繰り返し。「もうしゃべらんとき!」。冷たい言葉を口走ってしまった。

 夜、隣の部屋から寝息が聞こえ、深く反省した。年を取ると子どもに帰ると言われるが、母も子どもになってしまったのかなと思うと、次の日は優しくと心がけて過ごすことができた。

 弟夫婦が帰ってきてバトンタッチ。翌日、弟からメールが届き、「姉ちゃんが来て1泊したこと忘れている……」。きつい言葉や、そしらぬ顔をしたことを忘れてくれていてよかった。その半面、大きな寂しさも。

 今年の11月で88歳。あと何年、孝行できるだろうか。会いに行き、話して、笑って、後悔のないようにしたい。娘よりも、一緒に暮らしている嫁を忘れない母。寂しいやら、うれしいやら、複雑な心境だ。

 ともあれ、弟夫婦には心から感謝している。私は、「また会いに行くね、お母ちゃん」と、きょうも独り言を言っている。

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