猫も人もくつろげるよう木をふんだんに使った店内=東京都豊島区西池袋1の「
猫カフェMoCHA(モカ)池袋店」で 2016年4月6日
小父さんはペットを飼ったことがないのでよく分からないのだが、猫に嫌われるタイプじゃないのかな?(笑)。その昔、職場で住み込みのご婦人の愛猫と階段ですれ違った際に上手しようと思ったら構えられて避けられたんだな。あれから自信を失くしてしまった(笑)。
イタリアのshinkaiさんの
猫好き、フロリダのreeさんからも
猫とは何かを相当学んでいるつもりなのだが!(笑)
でもreeさんのブログで知った猫カフェとやら、上のリンク先、猫カフェMoCHA(モカ)池袋店を覗いたら何だか興味が湧いて来た(笑)
そうそうテレビドラマ「
オトナ女子」に出ていた
ちくわって猫も愛嬌あったな~!
毎日新聞 2016年4月13日 東京夕刊
江戸後期、幕末にも猫ブーム 背景に閉塞感、不安感、不景気か
猫ブームが止まらない。その経済効果は、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」にちなんで「ネコノミクス」と呼ばれるほどだ。しかも、その額がすごい。円高・株安が進み陰りをみせるアベノミクスと対照的に、ネコノミクスは衰えを知らない。この勢い、どこまで続くのか。【宇田川恵】
ソファに腰掛けると、淡い茶とグレーの模様が上品なスコティッシュフォールドの「さとちゃん」が寄ってきた。東京都豊島区の猫カフェ。さとちゃんは丸い、フワフワの頭を私の手の甲にこすりつける。思わず頭をなでると、スッと身を引く。他の猫に目を移すと、再び寄ってきて、また頭をこすりつける。もう取材どころじゃない。さとちゃんかわいさで胸はいっぱいだ。
室内で猫を放し飼いにし、客が猫と触れ合う猫カフェは、今や都心から地方まで全国で展開されている。私が訪ねた店は平日の昼過ぎというのに客であふれる。2人連れの高齢女性や外国人観光客、中年のカップルなどさまざま。高校の入学式帰りに立ち寄ったという母子は「家で猫が飼えないので遊びに来ました。見ているだけで楽しい」と大はしゃぎだ。
猫カフェをはじめ、猫の写真集やゲームのヒットなど猫人気は沸騰している。いったいどれほど経済を潤しているのか。関西大学(大阪府吹田市)の名誉教授、宮本勝浩さん(理論経済学)は最近のブームを受け、今年初めて試算をまとめた。それによると、2015年の経済効果は2兆3162億円に上るという。
試算の内訳はこうだ。まず、猫1匹に直接かかる1年間の費用は、えさ代が約2万8000円、保険や病院代の平均費用が約4万5000円。トイレ用の「猫砂(ねこずな)」やおやつ代などを含めれば計約11万1000円だ。国内の飼育数987万4000匹をかけると約1兆1000億円となる。
このほか猫関連の本や写真集の売り上げが約30億円、猫ブームの走りとも言われる和歌山電鉄貴志川線の「
たま駅長」効果など観光客誘致で約40億円を加えた額が「直接効果」だ。
さらに、この直接効果を土台に波及効果を加える。例えば、たま駅長を見に来た観光客がランチに地元の飲食店でカレーを食べれば、その店に肉や野菜、米を卸している人の収入も増える。こうした費用をすべて合わせた経済効果が2兆円を超えるという。これは、いかに大きな数字か。
「例えば、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の経済効果は1年で5000億円前後。プロ野球優勝の経済効果は、阪神や巨人で400億〜800億円。中日やヤクルト、楽天なら200億〜300億円程度で、そらもう、猫だけで少なくとも70回分の優勝に当たるわけですよ」。宮本さんはやや興奮気味に語る。
なぜこれほど猫で盛り上がるのか。猫研究の第一人者で西南学院大学(福岡市)の准教授、山根明弘さん(動物生態学)に聞いてみた。「日本の猫ブームは過去に何度もあり、一過性のものではありません」と言う。実際、江戸時代後期には猫が浮世絵に盛んに描かれ、庶民がこぞって買い求めた。幕末前後には、すごろくなど子供のおもちゃに猫が描かれて、今を超えるほどのブームだったそうだ。
そもそも米文化の日本では、猫はネズミを退治してくれるありがたい存在。一方、猫にとっても、日本家屋は縁の下や天井裏があり、すみやすい。「人が猫に近づくだけでなく、猫も人のそばに寄ってきて、相思相愛の関係が古くから築かれてきたんです」
そう分析する山根さんは今のブームをどう見るか。「背景には閉塞(へいそく)感があると思います。グローバリズムが進んで、効率化が重視され、人はものすごく働かされて、常にストレスにさらされている」。そして、こう続ける。「バブルのころは、犬のように会社に忠実なら夢も描けた。定年まで雇用してもらい、生涯、食べてはいける。でも今はどんなに会社に忠義を尽くしても、リストラなどで簡単に切り捨てられる。それなら猫のように自分流に生きたい。そんな思いが猫への共感につながっていると思います」
身近な社会現象から景気を読み解いている三井住友アセットマネジメント(東京都港区)のチーフエコノミスト、宅森昭吉さんは最近のブームには二つの理由があるとする。一つは高齢化の進展という構造的な問題。犬を飼うなら散歩など体力が必要で、お年寄りには猫の方が飼いやすい。もう一つは世の中の不透明感。「とにかくわけもわからず先行きが不安なので、消費も伸びず、景気もブレているのが現状ですよね。不安の中で『ほっとしたい』『いやされたい』という気持ちが猫ブームに表れたんでしょう」
かつてのブームでも、同様の状況が見えるという。例えば、1981年ごろ流行した「なめ猫」。猫に暴走族の衣装を着せたキャラクターだ。「この時期は第2次石油危機後で経済的に厳しかった。『ロス疑惑』など嫌なニュースも多く、不透明感が強かった」と宅森さん。
山根さんが歴史的な猫ブームと指摘する幕末前後はまさに混迷の時代だ。260年あまり続いた江戸幕府が消え、価値観も変わった。当時の庶民の不安は計り知れない。
一方、宮本さんは「景気のいい時は犬、景気が悪ければ猫の飼育が増える」と分析する。「バブル期のように、収入が増えれば広い庭付きの一戸建てを造り、犬を飼う。でも家計が苦しくなれば、家族みんなが働きに出て、散歩など犬の世話ができなくなる。しかも犬は猫より年間約7、8万円も費用が必要。景気が悪くなると手間もお金もかからない猫が好まれるんです」
社会的な閉塞感や不安感、そして不景気。暗く厳しい世の中に押しつぶされそうになる時、時代を超えていつも猫が寄り添い、人々を温めてくれていたのだ。
景気低迷が猫人気を招いた一因だとすれば、もしアベノミクスが成功して景気が回復すれば、今の猫ブームは消えていくのだろうか。
宅森さんは、その兆しはあるとみる。「3月の大相撲大阪場所では、懸賞の総本数が地方場所として過去最多だった。これは好調な企業収益の表れ。猫ブームに収束の動きが出てくる可能性はあります。そうなれば景気も上向くかもしれません」
一方、アベノミクスに懐疑的な宮本さんは、皮肉たっぷりに言う。「日銀による2%の物価上昇目標もそう簡単に達成できそうもない。こんな状況では、ネコノミクスはしばらく活況が続くんじゃないですかね」
「アベノミクスは行き詰まっている」との批判が高まっている。日本経済が停滞続きなら、ネコノミクスにプラスの効果ということか−−。