水鉄砲「相合い傘惚れてる方が濡れている」(2014/08/21)/紀伊民放
「相合い傘惚れてる方が濡れている」という川柳がある。多分、ぬれているのは男だろう。傘の角度一つから男女の機微をうがって秀逸だ。
▼同じ17文字でも、俳句になるとまた違った味わいがある。「髪洗ふ袂を持ってくれる人」。変哲の号を持つ俳優、小沢昭一の句である。男女の距離はぐっと近づいているが、表現はさらっとして心地よい。
▼これが31文字の短歌になると、言葉はさらに躍動する。「『この味がいいね』と君が言ったから7月6日はサラダ記念日」。1987年の流行語にもなった俵万智の作品である。日常を切り取る鋭い感覚とそれを支える奔放な表現が、いまもみずみずしい。
▼川柳、俳句、短歌。日本には短い言葉で宇宙から男女の関係までを自在に表現する容器がいくつもある。江戸時代、漢詩は武士のたしなみの一つだったし、庶民は都々逸に哀感を託した。誰もが豊かな表現力を持っていた。
▼それが急激に失われている。ネット上では何の脈絡もないままに乱暴な言葉が飛び交い、気に入らない相手にはバカ、死ね、キモイと罵倒する。先日も大阪府の府会議員がそんな騒動の舞台に登場して話題になった。
▼ゆとり教育は失敗でした、これからは英語教育とIT教育です、と突っ走った結果がこの始末。子どもらにスマートフォンやパソコンを与える前に、日本語の読み書きの楽しさや奥深さを教えることの方が大切ではないか。そう思えてならない。 (石)
そうだね。ネットやソーシャル・ネットワークの発達は確かに日本語を退化させている気がする。ん?待てよ、小父さんもひょっとしたら片足突っ込んで居るのかもしれない(笑)。よし、もっと本来の日本語を忘れないように努力して行こう。
「相合い傘惚れてる方が濡れている」この川柳、今日初めてお目にかかった。