しあわせのトンボ:3行の世界=近藤勝重
毎日新聞 2014年08月14日 東京夕刊
心に残る情景をどう伝えるか。それには人、物、自然との関係を描き出すのが一番だと気付いて、自ら「3行の世界」と称している。
例えばフォークの名曲「旅の宿」(岡本おさみ作詞、吉田拓郎作曲)や「なごり雪」(伊勢正三作詞・作曲)などは、ファンがノートに書き写したといわれるほど素晴らしい歌詞だが、共にこんな3行に収まる。
「旅の宿」
人=浴衣姿のきみとすっかり酔っ払ったぼく
物=ススキのかんざしをさしたきみが手にする熱燗徳利(あつかんとっくり)
自然=旅の宿で眺める上弦の月
「なごり雪」
人=駅のホームで君を見送るぼく
物=時計を気にしているうちに動き始めた汽車
自然=春に舞う季節はずれの雪
ふだん耳にする何気ない話も、同じように人、物、自然の3行に収まっていると、頭にすっと入ってくる。
先日、暑中見舞いがてら電話した大阪の友人が、早々と夏休みを取って帰省していた息子さん一家の話をして、こう続けた。
「朝の散歩で近くの公園を通りかかったら、噴水のそばに孫の水鉄砲が置き忘れたままになってんねん。台風が来る前にと、みな、数日いて東京へ戻ったんやけど、水鉄砲を手に取ったら、何か寂しなってな。しばらく朝の風に吹かれてた−−」
友人はそれ以上のことは口ごもったが、その胸中は語らずとも伝わってくる。
ぼくも夏の朝は家の近くをぶらぶら歩くが、おのずと人、物、自然に心が動く。
人=バイクに乗った新聞配達の若者/ぼくにじゃれるワン君を連れたおばさん/いつも「おはようございます」と声を交わすご夫婦……
物=家々に届けられた朝刊/公園の隅に転がっているサッカーボール/花火をしたあと……
自然=生命のしずくのように光っている草むらの露/肩のあたりをかすかに動く風/白い花をつけたムクゲ……
やがて東の空にオレンジ色の太陽がぼんやりと浮かんでくる。暑い一日の始まりだ。人、物、自然が織り成す3行の朝は、未練を残しつつ次の3行へと移っていく。(客員編集委員)
近藤勝重さんの川柳教室はよくラジオや新聞で目にするが、なかなかの詩人ですね。
そうだ、詩的生きることが生活に潤いをあたえる。浴衣姿のきみ、ススキのかんざしと上弦の月ね〜、なぜかこのフレーズは24歳の頃、九重山を歩いていた頃を思ってしまう。
そうだ、ウォーキングする時に「人」「物」「自然」を意識してみよう。また違う世界が見えてくるかも知れない。
Facebook プールトレ終わり、腹へった(^3^)/
今日も泳ぎと水中歩行とジャグジー風呂を交互にやったが、けっこう疲れた。家族連れがとても多かったが11:30〜13:30頃プールに居たので比較的空いていた