余録:「大阪から日本を元気にするきっかけにしたい」
毎日新聞 2014年01月26日 00時03分(最終更新 01月26日 00時03分)
「大阪から日本を元気にするきっかけにしたい」。2011年春、JR大阪駅ビルに開店したJR大阪三越伊勢丹の店長は自信満々に語っていた。ファッションに強い伊勢丹と高齢層をつかむ三越が08年に経営統合し、両ブランドを取り入れた初の店舗だった
▲周辺の梅田一帯には阪急百貨店、阪神百貨店、大丸がひしめき、合計売り場面積で東京・新宿を上回るデパート最激戦区である。地元勢は増床や改装で迎え撃ち、「大阪百貨店戦争」と言われた。だが、わずか3年で勝敗は決した
▲JR大阪三越伊勢丹が売り場面積を約4割に縮小し、空いたスペースには専門店を誘致して来春再オープンすると発表したのだ。店名から「三越伊勢丹」を外すことも検討しているという。百貨店戦争での敗北宣言である
▲売り上げは年間550億円の当初目標に対し、300億円台にとどまり、運営会社は債務超過状態にあるというから、その決断も仕方ないだろう。東京ではピカ一のブランドも大阪では浸透し切れなかったようだ
「あべのハルカス近鉄本店」は3月全面開業。営業面積は約10万平方メートル。
▲では、地元勢は勝利の美酒に酔いしれているかといえば、そうでもない。売上高が目標に達しないなど苦戦を強いられているのだ。3月には大阪市南部に国内最大の売り場面積を誇るあべのハルカス近鉄本店が全面開業し、また競争は激しさを増す
▲昨年の全国百貨店売上高は16年ぶりに前年実績を上回った。アベノミクス効果で高額品の売れ行きがよかったためだという。といっても、4月から消費税が8%に上がれば、その勢いが続く保証はない。どの百貨店もJR大阪三越伊勢丹を笑っている余裕はないのが現実なのだ。
小父さんみたいなど素人がひと目みただけで「これは共存共栄は出来ないだろう!」と思うくらいだからプロが見たら「食うか食われるか」くらい分かりそうなものだけど、こんなのは計画が発表された段階ではもう手が引けないのだろうね?
半年くらい前にこの「JR大阪三越伊勢丹」の中を歩いたがこりゃー駄目だと思った。大阪駅との連絡路にはたくさんJRの偉いさんが、制服着て人の誘導やっていたのかな?JRと組むこと事態百貨店の素人さんじゃーないのかな?売り場面積の縮小なんていうよりも一日も早く撤退した方が損害も少なく済むと思うのだがどうだろう。
それともイラク、パキスタンへの米国の介入みたいに、引くのも徐々にしか出来ない仕組みがあるのかな?既存の大阪の市場に関東が割込むこと事態に阪急・阪神・大丸が死に物狂いで戦った結果か!「大阪冬の陣」の終わりだね。
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JR西日本と三越伊勢丹ホールディングスが、大阪駅ビルで共同運営するJR大阪三越伊勢丹(大阪市北区)の売り場面積を現在の5万平方メートルから半分程度に縮小する方針を固めたことが21日、分かった。4百貨店が立地する大阪・梅田地区の最後発で、販売不振による赤字が続いていた。大阪駅ビルの賃借料を削減し早期黒字化を目指す。今夏にも改装工事を始め、15年初めに改装オープンする。
大阪・梅田地区には、阪急百貨店梅田本店(年間売上高1446億円)、阪神百貨店梅田本店(同892億円)、大丸梅田店(同628億円)が立地。11年5月に開業したJR大阪三越伊勢丹は百貨店としては小規模で、大阪地区では三越伊勢丹の知名度が低いことも足を引っ張っている。13年3月期の売上高は303億円と当初想定の550億円を大きく下回り、JR大阪三越伊勢丹とJR京都伊勢丹の運営会社「ジェイアール西日本伊勢丹」は債務超過に陥っていた。
大阪駅ビル内で隣接する専門店街「ルクア」は比較的好調。昨年4月には、グランフロント大阪が大阪駅北側に開業して競争が激化しており、若者や女性に強いファッション専門店を誘致し、集客増を図るとみられる。【古屋敷尚子】