女の気持ち:ピザと青年 大阪府泉大津市・松田久美子(主婦・63歳)
毎日新聞 2013年12月23日 大阪朝刊
義歯にしてから味覚が衰えてきた。味気ない食生活を送っている。そんな中で、一つだけおいしいと実感できるものがピザである。月に3回ほど宅配のピザを頼む。そのピザを目にする度にバツの悪い思いと共によみがえってくるシーンがある。
二十の夏、南の島へ一人旅をした。2人連れの青年と知り合って、手紙のやりとりが始まった。1人は東京に住む大学生。その年の冬にいとこを訪ねて東京に行った時に彼と待ち合わせた。2人とも日焼け顔が残っていた。
「六本木でピザパイ食べようか」と彼が言う。ピザパイ? 聞いたことがない。夕食にパイなんて、この人よほど甘党なんだと思いつつ六本木へ。東京は高校の修学旅行以来、2度目である。九州の田舎者には六本木という地名さえまぶしかった。
さて、レストランでそのピザパイなるものが目の前に置かれた時のことだ。いかにも舶来もの。イタリアそのもののような色合いと形にみとれてしまった。口にした時の衝撃。まさにカルチャーショックだ。何なの? このおいしさ−−でも、田舎者だと思われたくなくて、そんな言葉は一切口にしなかった。見えっぱりの生意気な小娘だ。思い出す度に恥ずかしくなる。今だったら、夢中になって感想を言うのに。
友達にこの話をしたら、「その彼がご主人?」と聞いてきた。いいえ。実は島で出会ったもう1人の青年が夫なのである。夫は私の恥ずかしい過去を知らない。
あれっ、松田さん、そんな話をネットに載せてもいいんですか!(笑)。私も同年代ですが・・・。私も九州出身だしずっと東京志向でしたよ。若い頃の話って山のようにありますが、私はネット上では書けません。
でも読み返したら南の島で会った男性と一緒になられて、連れのもう一方の方とデートされたわけだ。いや、二股かけておられたのか?(笑)。しかし、そんなお話がさらりと出来るのも年の功というものですね。
タイトル上にお名前を載せなかったのはご主人に目立たないようにするためです(笑)。素敵なお話をありがとうございました。
reeさんのところで知ったサンタの追跡のサイトはこちら NORAD Santa Tracker