豆腐百珍 (教育社新書―原本現代訳) [新書] この本の別の版型の中身を検索する
毎日新聞 2013年12月12日 東京朝刊
江戸時代に豆腐料理のレシピを集めてベストセラーとなった「豆腐(とうふ)百(ひゃく)珍(ちん)」の中で「とうふの調和において最(もっとも)第一品たるべし」とされた料理は何か。答えは「湯やっこ」、つまり湯豆腐である
▲豆腐は数センチの大きさに切り、煮立たせたくず湯に入れる。ちょうど浮き上がろうとするところを食べるのがいいという。たれはしょうゆと花がつおで作り、薬味にはネギやおろし大根、とうがらしを用いるという。くず湯を使わぬ今の湯豆腐はさらに手がかからない
▲和食が世界遺産に登録された理由の一つが「多様な食材とその持ち味の尊重」であった。江戸時代の人が数ある豆腐料理の中で「湯やっこ」を絶品としたこと、その数百年後の今日の湯豆腐がさらにシンプルになったところに「和食」の真骨(しんこっ)頂(ちょう)があるのかもしれない
▲突然、湯豆腐が頭に浮かんだのは、師走に入って暖かだった首都圏でもにわかに冷え込んできたからだ。上空は冬型の気圧配置で寒気が流れ込み、いよいよ本格的な冬の訪れを感じさせる。1カ月予報ではこの年末年始、西日本も東日本も平年より寒い可能性が高い
▲むろん「季節の移ろいを表現する」のも和食の登録理由だった。湯豆腐ではもの足りないという方も、いろいろ具材を足して鍋料理を楽しめる冬である。肉や魚もいいが、この季節は大根やネギ、カブなどの冬野菜を大いに使って体を温めるのが和食の伝統であった
▲「正月など年中行事とのかかわり」も和食が評価されたところである。この冬、改めて子どもに歳末や正月の食の慣習をていねいに教えるのもいい。伝えないと永遠に消え去ってしまう「世界遺産」だ。
いや、美味しそうだ。昔アラン・ドロンかリンゴ・スターの洋服のCMにあった気がする。Simple is BEST!って。湯豆腐こそSimple だよね。西洋人にこの味わいは分かるかな?
そう言えば、京都で丁稚奉公して25歳でひとり江戸に出た豆腐屋の小説『あかね空』ってあったっけ。そこでは、京と江戸の全く違う豆腐が登場してきたっけ!今はどうなんだろう?東京も京風味になったのか、いや頑なに江戸豆腐を受けついでいるのかな?お酒は飲めないけど湯豆腐が食べたくなった。
毎日新聞 2013年12月12日 東京朝刊
江戸時代に豆腐料理のレシピを集めてベストセラーとなった「豆腐(とうふ)百(ひゃく)珍(ちん)」の中で「とうふの調和において最(もっとも)第一品たるべし」とされた料理は何か。答えは「湯やっこ」、つまり湯豆腐である
▲豆腐は数センチの大きさに切り、煮立たせたくず湯に入れる。ちょうど浮き上がろうとするところを食べるのがいいという。たれはしょうゆと花がつおで作り、薬味にはネギやおろし大根、とうがらしを用いるという。くず湯を使わぬ今の湯豆腐はさらに手がかからない
▲和食が世界遺産に登録された理由の一つが「多様な食材とその持ち味の尊重」であった。江戸時代の人が数ある豆腐料理の中で「湯やっこ」を絶品としたこと、その数百年後の今日の湯豆腐がさらにシンプルになったところに「和食」の真骨(しんこっ)頂(ちょう)があるのかもしれない
▲突然、湯豆腐が頭に浮かんだのは、師走に入って暖かだった首都圏でもにわかに冷え込んできたからだ。上空は冬型の気圧配置で寒気が流れ込み、いよいよ本格的な冬の訪れを感じさせる。1カ月予報ではこの年末年始、西日本も東日本も平年より寒い可能性が高い
▲むろん「季節の移ろいを表現する」のも和食の登録理由だった。湯豆腐ではもの足りないという方も、いろいろ具材を足して鍋料理を楽しめる冬である。肉や魚もいいが、この季節は大根やネギ、カブなどの冬野菜を大いに使って体を温めるのが和食の伝統であった
▲「正月など年中行事とのかかわり」も和食が評価されたところである。この冬、改めて子どもに歳末や正月の食の慣習をていねいに教えるのもいい。伝えないと永遠に消え去ってしまう「世界遺産」だ。
いや、美味しそうだ。昔アラン・ドロンかリンゴ・スターの洋服のCMにあった気がする。Simple is BEST!って。湯豆腐こそSimple だよね。西洋人にこの味わいは分かるかな?
そう言えば、京都で丁稚奉公して25歳でひとり江戸に出た豆腐屋の小説『あかね空』ってあったっけ。そこでは、京と江戸の全く違う豆腐が登場してきたっけ!今はどうなんだろう?東京も京風味になったのか、いや頑なに江戸豆腐を受けついでいるのかな?お酒は飲めないけど湯豆腐が食べたくなった。