元芸妓が語る「昇る男」とは…。男性だけでなく若い男性にも話題(榎本雅弘撮影)
2013.7.30 07:00 産経ニュースwest
いつか俺もお座敷遊びできるくらいになってやる−という上昇志向の強い男性も多いだろう。そう、一見さんお断りの“花街で遊ぶ”というのは成功者の証というイメージがある。その花街で、数多くの一流男性を、酒席という最も「素」が出やすいところで見ているのが芸舞妓だ。京都花街で11年にわたり舞妓、芸妓として活躍してきた著者ならではの視点で綴った「京都花街の教え 元芸妓が語る 昇る男の条件 沈む男の傾向」が、ユニークな自己啓発書として男性のみならず女性にも話題となっている。 (杉山みどり)
自己管理能力、ありますか?
昇る男は肌がきれい−。え?なんで?と思うが、肌がきれいというのは、「食事などを含めた自己管理の賜」という分析だ。
また、「(昇る男は)少額でも領収書を見る」という項目も。
「大きな会社の会長さんや社長さんやからこそ、細かいところまで把握する癖がついてはるんちゃいますやろか」
著者の竹由喜美子さん(40)は上品な京ことばで話す。その所作の美しいこと。女性でもドキリとするような色気が醸し出されている。幾多の“旦那衆”を見てきた竹由さんによれば、逆に、沈む男は「そんなケチくさいことはせえへん」という“振り”をする傾向があるという。
本書にはそんな独自の分析が57項目にわたり紹介されている。たとえば「昇る男」は、見返りを求めずに粋に遊ぶ、自分は運がいいと思う、「でも」「だって」「どうせ」といったネガティブ言葉を使わない−などが挙げられている。
一方、「沈む男」はといえば、すぐに自分の利益を求め、「オレは運が悪い」とこぼし、「だって…」とネガティブな発言をする。周りの男性の顔を浮かべてみよう。誰かに当てはまるかもしれない。
「挨拶をする。人としたら当たり前のことですが、偉い人ほど、私ら芸舞妓にも挨拶をしてくれはるんです。1人の人間として見てくれてはるんやって、うれしぃなります」
もっと見てみよう。「昇る男は着るものにこだわる、沈む男はブランドもので身を固める」「昇る男は家庭を犠牲にしない、沈む男は仕事一辺倒でつきすすむ」…と見出しを見ているだけで興味をそそられる。
「昇る男は『こうしたらいい』と改善策を示すが、沈む男は『こうしたらダメ』と否定する」という項については、「否定するんやのうて、こうしたらええって言ってくれはる方がこっちも素直に聞き入れられます。こちらが間違っていることを言っても、それは違うと頭ごなしには言わはらんと、『そやなぁ、それもおもろいな。ただ、わしはこう思うけどな』という風に。そういう考え方もあるんやなって受け止めてくれはるんです。柔軟な発想をお持ちやからとちゃいますやろか」と竹由さん。
「それに、なんでも白黒はっきりさせることが、いつも正解とはかぎらへんように
元芸妓が語る「昇る男の条件」・・・、舞妓時代の竹由さん(クリックで拡大)
思わぬ反響 若い女性にも人気
14歳から踊りの稽古をはじめ、16歳で舞妓に。5年後に襟替えをして芸妓となった。「実は(執筆の依頼を)最初はお断りしたんです」と竹由さんは明かす。
「私なんかが、そんなん、お兄さん方(男性客)のことをどうのこうのと言われしまへんし…」
そこをなんとか、という出版社サイドからの再三の依頼で、引き受けることにしたという。
書くにあたって芸舞妓時代の記憶をたぐり寄せた。そして、一流で居続ける男性には「不思議と共通点がある」ことに気づく。それを、“上から目線”でも“尊敬のまなざし”でもない視点で書くように努めた。
「男の人を類型化するつもりは毛頭ありません。ただ、こういう視点もある、人に言われて再認識できた、という形でお役に立てればうれしく思います」
(中略)
「つまらない」とは言うまじ
再び竹由さんの話。「昇る」「沈む」に関係なく、「嫌な客」のタイプを聞いてみた。
「『つまらない』と言わはる方ですねぇ。私ら芸舞妓のことを“モノ”としか見てはらへんのです。見下してはるんでしょうね…」
そういう人に限って何度も遊びに来るそうだが。逆に、昇る男は「素直に楽しい気持ちを表す」という。やはり芸舞妓に好かれるか嫌われるかは、その男性の浮き沈みに関係するのだ。
「周囲の人を楽しくさせる人は、自然と仕事もうまくいくんでしょうね」
調子に乗って、「売れっ子芸妓になるのはどんな人?」とも聞いてみた。
「芸事の上手や容姿が優れてるなどいろいろありますけど、お母さんに可愛がられることが大事です」
この「お母さん」とは置屋(おきや)の女将さんのことだ。可愛がられるとお座敷に呼ばれる回数は増え、それだけ多くの客と接することになり、当然贔屓筋も増える。本書の「昇る男は上司に可愛がられる」と通じる。働く世界が違っても、男であろうと女であろうと、デキる人間には共通する才能(魅力)があるということを知った。
京都花街こそ、全く縁のない世界だったが、さすが磨き上げた感性で男どもを観ているようだね。ブランドもので身を固める男って成り金の田舎者じゃーないのかな?歌舞伎役者とか芸能人のトップスターくらいだとさりげなく着こなせそうな気がするけど、その辺の店から買って来て見せびらかしても似わないよね。
少し前にイギリス人の目でドキュメンタリースタイルで祇園にカメラが入ったテレビを観たが花街は「一見さんお断り」ではないのかな。もう昇っってしまった男か、芸能人くらいしか出這入り出来ない世界かと思っていた。小父さんなんかがもしお座敷に座っていたとしたら、きっと論外な男なんだろうね(笑)。
2013.7.30 07:00 産経ニュースwest
いつか俺もお座敷遊びできるくらいになってやる−という上昇志向の強い男性も多いだろう。そう、一見さんお断りの“花街で遊ぶ”というのは成功者の証というイメージがある。その花街で、数多くの一流男性を、酒席という最も「素」が出やすいところで見ているのが芸舞妓だ。京都花街で11年にわたり舞妓、芸妓として活躍してきた著者ならではの視点で綴った「京都花街の教え 元芸妓が語る 昇る男の条件 沈む男の傾向」が、ユニークな自己啓発書として男性のみならず女性にも話題となっている。 (杉山みどり)
自己管理能力、ありますか?
昇る男は肌がきれい−。え?なんで?と思うが、肌がきれいというのは、「食事などを含めた自己管理の賜」という分析だ。
また、「(昇る男は)少額でも領収書を見る」という項目も。
「大きな会社の会長さんや社長さんやからこそ、細かいところまで把握する癖がついてはるんちゃいますやろか」
著者の竹由喜美子さん(40)は上品な京ことばで話す。その所作の美しいこと。女性でもドキリとするような色気が醸し出されている。幾多の“旦那衆”を見てきた竹由さんによれば、逆に、沈む男は「そんなケチくさいことはせえへん」という“振り”をする傾向があるという。
本書にはそんな独自の分析が57項目にわたり紹介されている。たとえば「昇る男」は、見返りを求めずに粋に遊ぶ、自分は運がいいと思う、「でも」「だって」「どうせ」といったネガティブ言葉を使わない−などが挙げられている。
一方、「沈む男」はといえば、すぐに自分の利益を求め、「オレは運が悪い」とこぼし、「だって…」とネガティブな発言をする。周りの男性の顔を浮かべてみよう。誰かに当てはまるかもしれない。
「挨拶をする。人としたら当たり前のことですが、偉い人ほど、私ら芸舞妓にも挨拶をしてくれはるんです。1人の人間として見てくれてはるんやって、うれしぃなります」
もっと見てみよう。「昇る男は着るものにこだわる、沈む男はブランドもので身を固める」「昇る男は家庭を犠牲にしない、沈む男は仕事一辺倒でつきすすむ」…と見出しを見ているだけで興味をそそられる。
「昇る男は『こうしたらいい』と改善策を示すが、沈む男は『こうしたらダメ』と否定する」という項については、「否定するんやのうて、こうしたらええって言ってくれはる方がこっちも素直に聞き入れられます。こちらが間違っていることを言っても、それは違うと頭ごなしには言わはらんと、『そやなぁ、それもおもろいな。ただ、わしはこう思うけどな』という風に。そういう考え方もあるんやなって受け止めてくれはるんです。柔軟な発想をお持ちやからとちゃいますやろか」と竹由さん。
「それに、なんでも白黒はっきりさせることが、いつも正解とはかぎらへんように
元芸妓が語る「昇る男の条件」・・・、舞妓時代の竹由さん(クリックで拡大)
思わぬ反響 若い女性にも人気
14歳から踊りの稽古をはじめ、16歳で舞妓に。5年後に襟替えをして芸妓となった。「実は(執筆の依頼を)最初はお断りしたんです」と竹由さんは明かす。
「私なんかが、そんなん、お兄さん方(男性客)のことをどうのこうのと言われしまへんし…」
そこをなんとか、という出版社サイドからの再三の依頼で、引き受けることにしたという。
書くにあたって芸舞妓時代の記憶をたぐり寄せた。そして、一流で居続ける男性には「不思議と共通点がある」ことに気づく。それを、“上から目線”でも“尊敬のまなざし”でもない視点で書くように努めた。
「男の人を類型化するつもりは毛頭ありません。ただ、こういう視点もある、人に言われて再認識できた、という形でお役に立てればうれしく思います」
(中略)
「つまらない」とは言うまじ
再び竹由さんの話。「昇る」「沈む」に関係なく、「嫌な客」のタイプを聞いてみた。
「『つまらない』と言わはる方ですねぇ。私ら芸舞妓のことを“モノ”としか見てはらへんのです。見下してはるんでしょうね…」
そういう人に限って何度も遊びに来るそうだが。逆に、昇る男は「素直に楽しい気持ちを表す」という。やはり芸舞妓に好かれるか嫌われるかは、その男性の浮き沈みに関係するのだ。
「周囲の人を楽しくさせる人は、自然と仕事もうまくいくんでしょうね」
調子に乗って、「売れっ子芸妓になるのはどんな人?」とも聞いてみた。
「芸事の上手や容姿が優れてるなどいろいろありますけど、お母さんに可愛がられることが大事です」
この「お母さん」とは置屋(おきや)の女将さんのことだ。可愛がられるとお座敷に呼ばれる回数は増え、それだけ多くの客と接することになり、当然贔屓筋も増える。本書の「昇る男は上司に可愛がられる」と通じる。働く世界が違っても、男であろうと女であろうと、デキる人間には共通する才能(魅力)があるということを知った。
京都花街こそ、全く縁のない世界だったが、さすが磨き上げた感性で男どもを観ているようだね。ブランドもので身を固める男って成り金の田舎者じゃーないのかな?歌舞伎役者とか芸能人のトップスターくらいだとさりげなく着こなせそうな気がするけど、その辺の店から買って来て見せびらかしても似わないよね。
少し前にイギリス人の目でドキュメンタリースタイルで祇園にカメラが入ったテレビを観たが花街は「一見さんお断り」ではないのかな。もう昇っってしまった男か、芸能人くらいしか出這入り出来ない世界かと思っていた。小父さんなんかがもしお座敷に座っていたとしたら、きっと論外な男なんだろうね(笑)。