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好きなもの 小澤征爾 / 毎日新聞   (再掲)

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①そば。外国暮らしが長くなると、そばを食べるのを夢見て日本へ帰ってくる。考えてみたら、恩師斎藤秀雄先生が無類のそば好きで、レッスンが終わって何か食べようとなると、決まってそばだった。ほかの弟子は帰っちゃって、ぼくだけ残ることが多く、先生は酒が飲めないけどぼくは遠慮せずにビールとか酒を頼んだりして、その時間が楽しかった。そばがきのうまさというものも先生に教わった。ぼくがメチャそば好きになったのもサイトウキネンかもしれない。

②野球。戦争が終わったとき、ぼくは小学校5年。これからは野球だと親父が言って、母が作った布製のグローブで野球を始めた。それからずっと野球にとりつかれて、情熱は今も変わらない。60年、25歳で音楽武者修行中のぼくを、タングルウッドの老ヴィオラ奏者が2時間かけてボストンの球場へ連れて行ってくれた。そこで初めてプロ野球を観た。その日、レッドソックスは負けたけれど、大ファンになった。

 時をへて、まさかぼくがボストン・シンフォニーの音楽監督になるとは思わなかったが、レッドソックスの球場とわれわれのシンフォニーは歩いて15分。熱心に通った。始球式も3回、国歌演奏のブラスバンドの指揮も何回か。ぼくの貢献度が認められて「あなたとそのゲストをアメリカンリーグとナショナルリーグのどの試合にも一生涯招待します」という金色のプレートをもらった。野球に直接関係のない者がこれをもらえるのは稀(まれ)なので、とても嬉しい。ファンである証に、普段の生活はいつでも赤い靴下をはいている。

 

③雪山。スキーで雪山を滑降するほど爽快なものはない。スキーというのはあるレベルまで上達すると、死ぬ間際まで滑れるという。たしかにぼくよりずっと年長のある友だちは、98歳で亡くなる半年前まで、ぼくと一緒に雪山を滑っていた。指揮者は結局体力勝負だし、ぼくもその程度まではスキーがうまくなりたいものだとと思っている。  (指揮者)   2009.6.7毎日新聞

 去年の大河ドラマで西郷隆盛を演じた小澤征悦(おざわ ゆきよし)のお父さんだよね。征悦がテレビで言うには、東京に居る時は、新聞を広げてながら顔を下げてメガネの上から「今日のジャイアンツはどうなんだい」とテレビをのぞく、どこにでもいる普通の親父なんだそうだ。

 小父さんも松坂がレッド・ソックスでデビューしてテレビを観ていたせいかMLBで一番親しみを持った球団になっている。野球を見ながら、よくボストンにいた小澤征爾氏のこともイメージしていた。ところが、こんな接点があったとは意外だな。MLBの金色のプレートって粋なはからいだ。

 最近クラシックをとんと見聞きしていない。だが小澤征爾氏のタングルウッドでの若者を指導するものほかDVDはけっこう持っている。同じレッド・ソックスファンとして久ぶりにひっぱり出して聴いてみようかな。最近聴いたクラシックと言ったらテレビ「のだめカンタービレ 」くらいか(笑)

好きなもの 安部譲二 ~ 小父さんから

 小澤征爾おじさん、さようなら

 おじさんと呼びたくなるような、そんな親し気な雰囲気の世界的音楽家でした。その昔電車の中で読んだ日経のコラムには、「ニューヨークでは、小澤征爾さんに五嶋みどりさんは誰もがアメリカ人だと思っているだろう」という一節を思い出す。

 いくつもテレビは拝見したが、ウイーンフィル・ニューイヤーコンサートで指揮をされた時と、一番下の動画には無かったがタングルウッドで若い男女の音楽家を育てられていた姿が目に焼き付いています。

 ご冥福をお祈りします。





『美しきウイーン』with. 『ラデッキー行進曲』(ヨハン・シュトラウス) ウイーンフィル・ニューイヤーコンサート *指揮:小澤征爾(2002)



タングルウッド 素顔の小澤征爾

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