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特集ワイド / ああ、永田町 自由な政治の足かせ 派閥の全廃を 育成、資金支援 党が担え 野田聖子さん / 毎日新聞

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インタビューに答える衆議院議員の野田聖子さん=東京都千代田区で2024年1月17日、前田梨里子撮影


 今の国会や記者会見では、与野党共、ただの建前みたいな話ばかりで面白くも何ともないが、若くして郵政大臣も経験した野田聖子氏の裏話は興味津々だ。随分昔だが祖父の野田卯一氏の国政選挙のちらしも職場で回ってきたことがある。2007年には野田聖子著の『不器用』という本も読んだ。最近のテレビではお目にかからないが、この本にしろこの新聞記事にしろ「あけひろげな性格」で男性的なんでしょうね。これだけ裏話を話したからって又、自民党から離党勧告など受けないでしょうね?(笑)


毎日新聞 2024/1/30 東京夕刊 有料記事

約20年、無派閥で活動 野田聖子さん(63)

 政治資金パーティーの裏金事件で批判を浴びながらも、自民党の6派閥のうち2派閥が存続の道を探っている。そんな現状に厳しい視線を送るのが約20年間、無派閥で活動する同党衆院議員の野田聖子さん(63)。「組織があったからお金の問題が起きた。だからどんな言い訳もダメ。派閥解消は当然」と言い切る。

 「自民党というのは派閥があって当たり前、派閥にいて当たり前みたいな政党だった。それが夢幻のような今日このごろです」。野田さんは党を牛耳る派閥の解散の動きに驚きを隠さなかった。裏金事件の捜査対象の中心だった最大派閥、安倍派など4派閥が解散方針を決定、麻生派、茂木派からも退会の意向を明かす議員が出るなど、「これからは圧倒的に無派閥(議員)が増えていく」と期待を込めた。「派閥というみえざる壁の中で遠慮されてきた仲間も、これからはそういうことを取り除き、近未来に向け政策を議論することができれば何よりです」

 野田さんが派閥の弊害を痛感したのは総裁選の時だったという。議員は原則、所属する各派閥が決めた候補にしか投票できず、「議員の自主性をむしばむ。党の前に派閥ありきという閉塞(へいそく)感、窮屈感があった」。「総理・総裁を目指す」と公言してきた野田さんは、無派閥ゆえに総裁選に出るための推薦人集めに苦労した。チャレンジを重ね、2021年、ようやく出馬できた。無派閥の菅義偉前首相の政権が短命だったのも「派閥のせいですよ」。「派閥がまとまって総裁は菅さんって決めて、まとまって外すんですよ。それは政治の不安定を生みます。派閥の悪いところですし、政策集団というより政局集団と化していた部分もあったのでは」

 党改革を検討している政治刷新本部について、野田さんは「私は役員に入れてもらえなかった」と苦笑いする。若手議員へは、「派閥にいないことは怖いことではない。派閥を前提としているから失うものが多いと思い込んでいるだけだ」と伝えたいそうだ。過去に何度も解散が宣言されながら復活してきた派閥。今回の党改革案にはそもそも派閥の全廃は盛り込まれず「刷新」への本気度に疑問符がつく中、麻生派、茂木派が存続を目指している。

 現状を見つめながら、野田さんが党に求めるのはあくまで派閥の全廃だ。「若手育成のために派閥が必要だって、全然理由になりませんよ。政策を実現したければ議員連盟だってある」。それに、立件されなかった議員を含め、政治資金規正法に反し収支報告書への記載を怠った全ての議員を処分するよう求める。「立件されたかどうかとは別に、党として自浄作用をもっと働かせるべきでしょう」。野田さんは05年に郵政民営化法案に反対し党から離党勧告を受け、一時無所属となった。法に触れた今回の議員の面々は、党の方針に反対した自分よりも「悪いじゃない」。

 野田さんもかつて、河本派、後継の高村派に所属していた。初当選した1993年の衆院選は中選挙区制で、派閥に入らないと党公認は得られなかった。しかし、ライフワークである選択的夫婦別姓制度の導入に派閥内で反対され、党全体の会議で提案しても「派閥も説得できないものを出すな」と批判されたという。「派閥が足をひっぱるのか、自由な政治活動ができない」と考え、03年に離脱した。

 それにしても、なぜ政治には多額のカネがかかるのか。野田さんは「これどうぞ」と22年分の「事務所経費」と書かれたA4の文書1枚を示してくれた。野田さんが代表を務める地元、岐阜の自民党支部と資金管理団体の収支がまとめられている。

 衆院当選10回。37歳の時に郵政相として初入閣して以来、総務相、男女共同参画担当相を歴任するなど知名度は抜群だ。集金力は高いと思いきや「私のようなベテラン、大臣経験者でも収支はカツカツなんです」。2団体をあわせた収入の約5800万円に対し支出は約5700万円で、ほぼ「とんとん」だ。

 収入として知られるのが、税金が原資の政党交付金だ。献金を通じた特定の企業や団体との癒着を防ぐ目的で95年に導入された。毎年約320億円が議員数などに応じ各党に配分され、単純計算では1人約4500万円になる。しかし、自民党から野田さんに支給されたのは1400万円だった。

 政党交付金は収入全体の2割強にとどまる一方、個人で開く政治資金パーティーの収入が約6割を占めている。22年は新型コロナウイルス禍の影響で規模を縮小したものの、2回開いた。「基本的にパーティーはお金を集める場所です。でも、うちはお金は二の次にして温かな料理を絶やしません。長年応援してくれる人に会い、新たな人や仕事とつながれる場でもあります」と話す。

 支出のうち半分近くを占めるのが人件費、つまり秘書の給料だ。公費から給料が出る秘書3人を除き、数人分でそれほどかさむ。野田さんによると、最低でも6人の秘書は必要だという。若手は知名度アップのため、中堅・ベテランは当選を重ねるにつれ増えてくる陳情や相談に対応するため、人手がいる。事務所の家賃や事務機器のリース代などを加えると、必死に集めた収入はほとんど残らない。

 「私は会食や議員の集まりは政治資金ではなく、基本的に自分のお金から出しています。(地元議員らへの『もち代』『氷代』などと言われる)『配り』もしません。それでもこれだけかかります」。「政治家は頑張れば頑張った分だけ仕事や人とのつながりが増え、ますます人手が必要となり、お金がかかります」と言う。ただ、そうした実態が伝わっていない気がします、と課題も語る。

 自民党は事件の舞台になった派閥によるパーティーの禁止を打ち出した。「私の場合、問題となったノルマもキックバックも関係ありません」という野田さんは、資金集めの手段などとして党や個人が開くパーティーは「悪くない」と考える。心配するのは若手議員の行く末だ。「ただでさえ若く、知名度のない人はパーティーの収入もなかなか得られない。制度の見直しも議論されているが、議員、支援者双方にとってよりよい形を考えていきたい」。中には手取り十数万円でやりくりする議員もいる、と言う。

 若手の育成や資金面のサポートをしてきた派閥の解消を見据え、党が責任を持ってその役割を担うべきだと訴える。議員個人に対し、党がパーティーを主催して収入をまわしたり、政党交付金を増額して振り分けたりすればよい、と提案する。少額にとどまっている個人献金の受け皿を増やすため、ネット交流サービス(SNS)の投げ銭(オンラインでの送金)の導入も主張する。「政治家がいい仕事をすれば世の中はよくなります。でも、仕事にはお金がかかるものです。頑張っている若い人の将来をつぶしてはいけません」【榊真理子】

■人物略歴

野田聖子(のだ・せいこ)さん
 1960年生まれ。上智大卒。会社員、岐阜県議を経て、93年の衆院選で初当選。郵政相や総務相、男女共同参画担当相などを歴任した。米国で卵子提供を受けて2011年に長男真輝さんを出産。重い障害を持つ真輝さんとの日々をブログにつづっている。

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