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福田康夫元首相が「高市発言」を痛烈批判! / 文春オンライン

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福田康夫氏 ©文藝春秋

福田康夫元首相が「高市発言」を痛烈批判! / 文春オンライン(抜粋)

「文藝春秋」編集部 source : 文藝春秋 2023年8月号 genre : ニュース, 政治 

 今、公文書を軽視する風潮がひろがっている。
「まったくの捏造」――今年3月、高市早苗経済安全保障担当大臣が国会の質疑で、総務省の公文書をこのように批判して波紋を呼んだ。
 この公文書は、高市氏が総務大臣だった安倍晋三首相の時代に総務省が作成したものだが、官邸が特定の民放番組を問題視し、総務省と解釈を巡る協議を重ねた経緯を詳しく記録していた。文書自体は単なる「記録」であり、あとから捏造された可能性は考えにくい。

 高市早苗氏 ©時事通信社

 にもかかわらず、高市氏は「これが捏造でないなら議員辞職する」とまで強弁し、国会は大荒れとなった。

 公文書が軽視されたのは、これが初めてではない。

 昨年10月には、日本中を震撼させた「神戸連続児童殺傷事件」(1997年)の記録を神戸家庭裁判所が廃棄していたことが発覚。この他にも重要な事件の裁判記録が多数廃棄されており、最高裁が異例の謝罪に追い込まれた。

安倍晋三氏 ©文藝春秋 

 また、安倍晋三政権下では「森友学園問題」や「加計問題」、さらには「桜を見る会」をめぐっても、公文書の改ざんや破棄がおこなわれていたことが発覚している。

 こうした事態を受けて、福田康夫元首相が「文藝春秋」に登場し、退任後初めてまとめて公文書軽視の風潮を批判した。福田氏は「公文書は『国家の証し』そのものである」としたうえで、近年の政治家の「権力の用い方」に大きな問題があると指摘し、警鐘を鳴らしている。

公文書は「国家の証し」そのもの

 福田政権(2007年~2008年)の頃、福田氏は公文書管理の強化に力を注ぎ、法整備に尽力してきた。そんな福田氏は今回の高市発言を以下のように厳しく批判した。

〈まず最初に強調しておきたいのは、公文書は「国家の証し」そのものである、ということです。わが日本国がどのように成り立ち、国家の仕組みや制度がどんなふうに出来上がってきたのかを証明する大切な証拠なのです。私は若い頃、アメリカの公文書館が膨大な文書を保管し、きちんと公開していることを目の当たりにし、大きな衝撃を受けました。民主主義国家の底力を見た思いがしました。そこで、私が官房長官と総理大臣の頃、公文書管理法の制定に道筋をつけたのです。

 ところが近年、公文書を政治家が「捏造」と決めつけるとか、官僚が改ざんをするといった、とんでもない事件が立て続けに起きた。(中略)これは「権力の行使」に大きな問題があると考えられます。さらには「政治主導」に起因する問題もあります。〉

黒塗りにされた森友関連文書 ©時事通信社

「権力の使い方」が問題だ

それにしても、なぜ公文書は大切なのか? 福田氏は「公文書は日本国の証し」だとして、熱を込めてこう語る。

〈そもそも公文書を改ざんしようという発想自体が言語道断です。なぜ公文書を残すことに懸命になっているかといえば、これが日本国の証しだから。「これこれこうした議論を経て、こんな法体系を積み上げて、今のこの社会ができているんですよ」というプロセスを示すものであり、国際社会に向けて「日本はこうやってきた」と説明するための証拠品なんです。その証拠を改ざんしたり捨てるなんて、とんでもない。〉

そして、安倍政権下で頻発した公文書改ざんの背景には、権力者の自覚の欠落があると指摘する。

〈私は、要は「権力の使い方」の問題だと思うんです。各省庁の幹部や大臣は権力者ですし、その大臣を束ねる総理大臣の権力は非常に大きいものになる。

 問題は、その権力者が「自分は大きな権力を持っている」と自覚しているかどうかです。権力というものは、使い方を間違えると、国家という城の石垣である公文書を壊したり置き換えたり、とんでもないインチキが始まってしまう。

 例えば2021年、国土交通省の建設工事受注動態統計の数字を担当官が業者に無断で勝手に数字を書き換えていた不正が発覚しました。厚生労働省の毎月勤労統計などでも不正がありました。よその国に「統計がいい加減だ」とケチをつける人がいますが、日本はそんなこと言えますか。実に恥ずかしいことです。〉

 私は18歳の頃から理解はできなくとも、国会や国会議員が出て討論しているテレビを観るのが、好きだった。しかし、いつの頃からか政府の欺瞞を見抜くために観ていたような気がする。民主党政権にしろ、社会・自民党政権に、自民・公明党政権も。ところが、現在の岸田総理や高市経済安全保障担当大臣の答弁なんてあほらしすぎて観る気が全くしなくなった!

 ところが、こうやって86歳の福田康夫元首相に、発言してもらうとただの雑誌の記事に終わりそうな気もするが、日本にはまだ常識があるのだとほっとする。多くの国民が文藝春秋の記事にも目を向けてもらいたいものだ。

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