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憂楽帳   門出の季節に / 毎日新聞

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かつて佐賀球場に掲げられていた「法無乱」の文字=佐賀市西与賀町の佐賀ブルースタジアムで2023年3月2日、西脇真一撮影

毎日新聞 2023/3/3 西部夕刊 有料記事

 「法無乱(ほうむらん)」。佐賀市の「佐賀ブルースタジアム」の壁にそう記した銘板がある。佐賀県高校野球の聖地だった「佐賀球場」が1959年にオープンした際、当時の小野哲一市長が「法(ルール)無くば乱れる。ホームランをかっ飛ばせ」との思いを込め、揮毫(きごう)したという。

 県立唐津青翔高3年の古舘哲平さん(18)は、野球に打ち込んだものの昨夏、甲子園県予選への参加を断念した。選手は自分だけ。校内で「助っ人」を集めて出場することも、他校と合同チームを組むこともかなわず、県高野連の計らいで始球式の1球を投げ、夏が終わった。

 規定(ルール)により試合に出られなかった形だが、久しぶりに会った古舘さんは「仕方がなかった。悔しかったなあという思い出になっている」。その様子は「球児」から社会人になっていた。卒業後は会社員として働くという。

 春、門出の季節。思い通りにならなかった人もいるだろう。でも、若い頃の悔しい思いやそれまでの頑張りは、きっとその後、自分を引っ張っていってくれるに違いない。50代も半ばを過ぎた今、そう思う。【西脇真一】

 古舘哲平君は大串郁人監督や山崎康芝朗部長のもとたった1人でバッティングや守備をこなしてきたんだよね。2021年7月の佐賀大会には単独チームで参加したし、22年3月の九州地区高校野球佐賀大会には高志館、厳木との3校合同でへ出場したんだとか(毎日新聞2022/6/19 から)。

 これぞ本物の球児だと思える。チームスポーツである野球の体験は、きっと会社という組織の中で生きて来ると私は思います。勿論、実社会には今まで以上の高いハードルがあると思いますが、一人でも3校合同のチームでもこつこつやって来た野球は捨てたものじゃないと思います。長い人生、どうぞ頑張ってください。私がなんだか嬉しくなりました。

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