山崎豊子 著 運命の人 (小説)
あらすじ 特ダネ記者である毎朝新聞政治部の弓成亮太は、大詰めとなった沖縄返還の取材中に、日米間で進められている密約の存在に気づく。
毎日新聞 2023/2/28 東京朝刊
余録 「国防体制の本質的な弱点を暴露することは軍事的不利益があったとしても長期的には秘密保持より重要である」。約60年前にドイツ誌が北大西洋条約機構(NATO)の秘密演習を掲載した事件をめぐるドイツ憲法裁判所の判決である
▲沖縄返還協定での日米の密約に絡む機密漏えい事件で弁護側が引用した。外務省女性事務官から文書を入手した元毎日新聞記者の西山太吉さんの有罪は確定した。だが、国家機密の暴露すべてが違法とされたわけではない
▲時の政権が都合の悪い事実を秘密にすることもありうる。最高裁判決は取材が「真に報道の目的」で「社会観念上是認されるもの」である限りは「違法性を欠き、正当な業務行為」と認定している
▲起訴状は「情を通じ」と書いた。取材源の秘匿を守れず、小紙も「反省、自戒」を表明した。一方、税金で米国の負担を肩代わりした密約は約30年後に機密を解除された米国の公文書で証明された
▲晩年に密約文書開示などを求めて国との裁判闘争を続けた西山さんが91歳で亡くなった。政府はなお、密約文書の存在を認めていない。特定秘密保護法の成立で「何が秘密かも秘密」がまかり通る時代だ
▲「太平洋戦争の苦い体験は国民に申し訳なく、二度とあってはならない」「権力は腐敗しやすく国民に真実をさらすのが報道機関の義務」「記者の取材は常に『秘密事項』の取材を意味する」。裁判での各社ベテラン記者の証言である。今のメディアにその気概があるかと自問自答する。
日米の密約に絡む機密漏えい事件を小説に書き上げた山崎豊子さんの「運命の人」は文芸春秋で夢中で読んだつもりだったが、全4巻あるということを今知り、たぶんすべてを読んでいないのだろう。テレビドラマは、しっかり観た気がする。
事の良し悪しは別として、特に外交とはこんなものなのか?と少し政治が少し分かったような気になった。岸田政権の「次元の異なる子育て支援」とか「原発再稼働への対応」などは子供だましのような議論を連日やっていて、見る気にも聞く気にもなれないが、政治の建前と本音の隔たりにはマスメデイアに野党に学者さんには大いに取り組んでもらいたいものだ。でないと日本も近頃流行?の専制政治にになってしまう。
元毎日新聞記者の西山太吉さんのご冥福を心からお祈りします。
あらすじ 特ダネ記者である毎朝新聞政治部の弓成亮太は、大詰めとなった沖縄返還の取材中に、日米間で進められている密約の存在に気づく。
毎日新聞 2023/2/28 東京朝刊
余録 「国防体制の本質的な弱点を暴露することは軍事的不利益があったとしても長期的には秘密保持より重要である」。約60年前にドイツ誌が北大西洋条約機構(NATO)の秘密演習を掲載した事件をめぐるドイツ憲法裁判所の判決である
▲沖縄返還協定での日米の密約に絡む機密漏えい事件で弁護側が引用した。外務省女性事務官から文書を入手した元毎日新聞記者の西山太吉さんの有罪は確定した。だが、国家機密の暴露すべてが違法とされたわけではない
▲時の政権が都合の悪い事実を秘密にすることもありうる。最高裁判決は取材が「真に報道の目的」で「社会観念上是認されるもの」である限りは「違法性を欠き、正当な業務行為」と認定している
▲起訴状は「情を通じ」と書いた。取材源の秘匿を守れず、小紙も「反省、自戒」を表明した。一方、税金で米国の負担を肩代わりした密約は約30年後に機密を解除された米国の公文書で証明された
▲晩年に密約文書開示などを求めて国との裁判闘争を続けた西山さんが91歳で亡くなった。政府はなお、密約文書の存在を認めていない。特定秘密保護法の成立で「何が秘密かも秘密」がまかり通る時代だ
▲「太平洋戦争の苦い体験は国民に申し訳なく、二度とあってはならない」「権力は腐敗しやすく国民に真実をさらすのが報道機関の義務」「記者の取材は常に『秘密事項』の取材を意味する」。裁判での各社ベテラン記者の証言である。今のメディアにその気概があるかと自問自答する。
日米の密約に絡む機密漏えい事件を小説に書き上げた山崎豊子さんの「運命の人」は文芸春秋で夢中で読んだつもりだったが、全4巻あるということを今知り、たぶんすべてを読んでいないのだろう。テレビドラマは、しっかり観た気がする。
事の良し悪しは別として、特に外交とはこんなものなのか?と少し政治が少し分かったような気になった。岸田政権の「次元の異なる子育て支援」とか「原発再稼働への対応」などは子供だましのような議論を連日やっていて、見る気にも聞く気にもなれないが、政治の建前と本音の隔たりにはマスメデイアに野党に学者さんには大いに取り組んでもらいたいものだ。でないと日本も近頃流行?の専制政治にになってしまう。
元毎日新聞記者の西山太吉さんのご冥福を心からお祈りします。