毎日新聞 2023/1/4 東京朝刊 有料記事
政府は2022年12月、相手国のミサイル発射拠点などをたたく「反撃能力」(敵基地攻撃能力)の保有を決めた。戦後の安全保障政策は大きく転換したが、そのきっかけは約2年前。岸田文雄氏のあまり注目されなかった発信だった。
「敵基地攻撃能力の保有について発信したいと考えています」
岸田氏は21年3月下旬、自民党岸田派(宏池会)の幹部へ電話でもちかけた。派閥会長だが年長者には敬語を使う。幹部が理由を尋ねると「ある人から発信力が弱いので、そのくらい発信したらどうかと言われたんです」と漏らした。半年後の9月に迫った党総裁選への「再出馬」に向けて、党内で支持を広げようと躍起になっていた時期だ。
岸田氏は安倍晋三氏の首相退陣表明を受けた、20年9月の総裁選で、菅義偉氏に惨敗して無役となった。党内では「岸田は終わった」とすら言われていた。岸田派は50人足らず。当時、最大派閥で100人近い細田派(現安倍派)を筆頭に、麻生派、二階派などが支持する菅氏が、総裁に再選される可能性は高いとみられていた。連敗を恐れて岸田派内では再出馬への慎重論が噴き出す。苦境を打開するため、安倍氏と連携して細田派の支持を取り付けられるかが鍵だった。
宏池会は保守本流の名門派閥とされ、伝統的に軽武装・経済重視を主張してきた党内ハト派だ。派内では岸田氏に敵基地攻撃能力保有を表明するよう進言する若手グループもいたが、慎重論も少なくなかった。
保有表明の相談を受けた岸田派幹部も「宏池会らしくない」と反対した。「安倍さんから言われたんですか」と問い詰めると、岸田氏は「直接ではないのですが」と言葉を濁しつつ、安倍氏周辺から保有表明を求められたことを暗に認めた。岸田派の別の一人は「安倍氏本人からも『国防力強化に向けた総括』をしてほしいという要望があった」と証言。この総括には保有表明も含まれていたとみる。
そして21年3月26日。派内の意見が一致しない中で、岸田氏は自身のツイッターに「敵のミサイル発射能力そのものを直接打撃し、減衰させることができる能力を保有することが必要」と投稿し、敵基地攻撃能力の保有が必要だと初めて表明した。20年の総裁選では「専守防衛、平和憲法との関係で現実的な対応ができるのかという観点から議論は進める」との訴えにとどめていたが、ツイッター上で主張を転換した。
岸田氏に影響を与えた安倍氏。第2次安倍政権では、憲法9条改正に執念を燃やし、集団的自衛権行使を容認する安全保障関連法を成立させたが、敵基地攻撃能力の保有も念頭にあった。20年9月、首相退任間際だったが、敵基地攻撃能力について「(20年の)年末までにあるべき方策を示す」との異例の談話を出した。自身がなし得なかった「悲願」を次期政権に託した。
菅氏は安倍政権の継承を掲げたが、さまざまな課題が山積し、敵基地攻撃能力の議論は停滞した。新型コロナウイルス対策で後手に回り、内閣支持率が急落した菅政権は崩壊。手ごわいライバルの自滅により、岸田氏は21年9月の総裁選で勝利し、首相の座を手に入れた。
岸田氏は能力保有に向けて歩みを進めた。実態は変わらないのに、名称を「敵基地攻撃能力」から「反撃能力」と変更したことや、ロシアのウクライナ侵攻、中国の軍事力拡大のほか、報道各社の世論調査でも保有容認の意見が増えたことも後押しした。
保有表明は元をたどれば、総裁選という権力闘争を制するための戦略だった。岸田氏の強い意思や信念が見えないまま、日本の安保政策は大きく変わった。【「平和国家」はどこへ取材班】
悲しいかな、国家予算って、政治ってこんなところで方向づけられるのかね?さあ岸田総理5年間で43兆円の防衛予算を組みましたと、13日の会談でバイデン大統領へ報告したら、アメリカの軍需産業は潤うし、駐留米軍の負担が軽減されたらバイデンさんに花丸もらえるのじゃーないのかな?(笑)。バイデンさんは、気をよくしてG7の後に長崎にも訪問してくれて、国民も沸いて喝采を送り、衆議院解散総選挙を打って、岸田自民党勝利という方程式が成り立つかのかな~?まあ、高見の見物をしておくか。
先に「杉田水脈総務政務官も更迭出来ない岸田総理には、何も期待できない。」なんて書いたが、そんな優柔不断な人が「防衛費増額のための増税問題や反撃能力の保有が明記された安全保障関連3文書、原発の新規建設」なんて唐突な政策転換を打ち出せるのだろう。国家権力とはこのようなものなのかな?
政府は2022年12月、相手国のミサイル発射拠点などをたたく「反撃能力」(敵基地攻撃能力)の保有を決めた。戦後の安全保障政策は大きく転換したが、そのきっかけは約2年前。岸田文雄氏のあまり注目されなかった発信だった。
「敵基地攻撃能力の保有について発信したいと考えています」
岸田氏は21年3月下旬、自民党岸田派(宏池会)の幹部へ電話でもちかけた。派閥会長だが年長者には敬語を使う。幹部が理由を尋ねると「ある人から発信力が弱いので、そのくらい発信したらどうかと言われたんです」と漏らした。半年後の9月に迫った党総裁選への「再出馬」に向けて、党内で支持を広げようと躍起になっていた時期だ。
岸田氏は安倍晋三氏の首相退陣表明を受けた、20年9月の総裁選で、菅義偉氏に惨敗して無役となった。党内では「岸田は終わった」とすら言われていた。岸田派は50人足らず。当時、最大派閥で100人近い細田派(現安倍派)を筆頭に、麻生派、二階派などが支持する菅氏が、総裁に再選される可能性は高いとみられていた。連敗を恐れて岸田派内では再出馬への慎重論が噴き出す。苦境を打開するため、安倍氏と連携して細田派の支持を取り付けられるかが鍵だった。
宏池会は保守本流の名門派閥とされ、伝統的に軽武装・経済重視を主張してきた党内ハト派だ。派内では岸田氏に敵基地攻撃能力保有を表明するよう進言する若手グループもいたが、慎重論も少なくなかった。
保有表明の相談を受けた岸田派幹部も「宏池会らしくない」と反対した。「安倍さんから言われたんですか」と問い詰めると、岸田氏は「直接ではないのですが」と言葉を濁しつつ、安倍氏周辺から保有表明を求められたことを暗に認めた。岸田派の別の一人は「安倍氏本人からも『国防力強化に向けた総括』をしてほしいという要望があった」と証言。この総括には保有表明も含まれていたとみる。
そして21年3月26日。派内の意見が一致しない中で、岸田氏は自身のツイッターに「敵のミサイル発射能力そのものを直接打撃し、減衰させることができる能力を保有することが必要」と投稿し、敵基地攻撃能力の保有が必要だと初めて表明した。20年の総裁選では「専守防衛、平和憲法との関係で現実的な対応ができるのかという観点から議論は進める」との訴えにとどめていたが、ツイッター上で主張を転換した。
岸田氏に影響を与えた安倍氏。第2次安倍政権では、憲法9条改正に執念を燃やし、集団的自衛権行使を容認する安全保障関連法を成立させたが、敵基地攻撃能力の保有も念頭にあった。20年9月、首相退任間際だったが、敵基地攻撃能力について「(20年の)年末までにあるべき方策を示す」との異例の談話を出した。自身がなし得なかった「悲願」を次期政権に託した。
菅氏は安倍政権の継承を掲げたが、さまざまな課題が山積し、敵基地攻撃能力の議論は停滞した。新型コロナウイルス対策で後手に回り、内閣支持率が急落した菅政権は崩壊。手ごわいライバルの自滅により、岸田氏は21年9月の総裁選で勝利し、首相の座を手に入れた。
岸田氏は能力保有に向けて歩みを進めた。実態は変わらないのに、名称を「敵基地攻撃能力」から「反撃能力」と変更したことや、ロシアのウクライナ侵攻、中国の軍事力拡大のほか、報道各社の世論調査でも保有容認の意見が増えたことも後押しした。
保有表明は元をたどれば、総裁選という権力闘争を制するための戦略だった。岸田氏の強い意思や信念が見えないまま、日本の安保政策は大きく変わった。【「平和国家」はどこへ取材班】
悲しいかな、国家予算って、政治ってこんなところで方向づけられるのかね?さあ岸田総理5年間で43兆円の防衛予算を組みましたと、13日の会談でバイデン大統領へ報告したら、アメリカの軍需産業は潤うし、駐留米軍の負担が軽減されたらバイデンさんに花丸もらえるのじゃーないのかな?(笑)。バイデンさんは、気をよくしてG7の後に長崎にも訪問してくれて、国民も沸いて喝采を送り、衆議院解散総選挙を打って、岸田自民党勝利という方程式が成り立つかのかな~?まあ、高見の見物をしておくか。
先に「杉田水脈総務政務官も更迭出来ない岸田総理には、何も期待できない。」なんて書いたが、そんな優柔不断な人が「防衛費増額のための増税問題や反撃能力の保有が明記された安全保障関連3文書、原発の新規建設」なんて唐突な政策転換を打ち出せるのだろう。国家権力とはこのようなものなのかな?