絵・五十嵐晃
毎日新聞 2022/9/26 東京朝刊 有料記事
ウェストミンスター寺院にマスクなく、日本武道館に満場のマスクあり。
天皇、皇后両陛下はエリザベス女王の国葬にマスクなしで参列された。それに対し、27日の、安倍晋三元首相の国葬の参列者は全員マスク。海外の首脳にも着用を求めるという。
それでいて日本は水際対策を緩め、観光振興へ乗り出す。新型コロナウイルスとの付き合い方を的確に理解したいが、岸田文雄首相の<丁寧な説明>は引き続き的を外している。
テドロスWHO(世界保健機関)事務局長が、パンデミックの「終わりが見えてきた」(the end is in sight)と言っている(14日、記者会見)。
新規感染者が世界全体で抑制傾向にあるのは、既に感染し、自然免疫を獲得した人が増えたから――らしい。今年4月、アメリカのCDC(疾病対策センター)が公表した調査によれば、同国内で自然免疫を持った人の割合(抗体保有率)は57・7%。イギリスの場合、HSA(健康安全保障庁)の6~8月の調査で73・4%である。
他方、今年4月に日本の厚生労働省が発表した調査を見ると、日本人の抗体保有率は最も高い東京都民で5・65%、他の地域はさらに低く、米英よりひとケタ以上小さい。マスク嫌いの国々は集団免疫を獲得しつつあり、マスク励行の日本は置いてけぼりをくった可能性がある。
半面、日本はコロナで死ぬ人の数がケタ違いに少ない。国際統計によれば9月20日現在、人口100万人当たりで見た累積死者数は、米国3128▽英国3064▽EU(欧州連合)2558に対し、日本は352。韓国539▽台湾444より少ない。日本人が足かけ3年のマスク生活に耐えてあがなったものは死亡率の抑制だった。
◇
厚労省ホームページの「マスクの着用について」というサイトが、マスク着脱のTPOをイラスト付きで解説している。が、複雑過ぎて分からない。分からないから、マスクを外して歩く時も、マスクを手に持って見せるのが日本人の作法になっている。
水際対策緩和でマスクなしの外国人が大量に来るとどうなるか。試行錯誤で進むしかないとしても、どこへ着地するのか、どんな出口か。政治指導者に聞きたいが、答えがない。
2021年秋、安倍・菅流の強権政治に疲れた世論は、新首相・岸田のソフトイメージを歓迎した。そこが原点の岸田には、誰からも、わずかでも批判されたくない――という感覚があるように見える。
<丁寧な説明>とは、リスクになるべく触れず、微笑を絶やさず、低姿勢でしのぐことだ――と割り切っているフシがある。
◇
感染者の自宅療養期間の短縮をめぐって専門家の意見が割れた時、岸田は短縮容認派の主張を採り、官邸に記者たちを集めて説明した(6日夕)。
「リスクもあるが、政治判断した理由は何か」という当然の質問が出た時、岸田はこう答えた。
「これは決して政治判断ではなくして、専門家の意見もしっかり踏まえた上での判断だということをご理解いただきたい」
政治判断とは、権謀術数をめぐらせて横車を押すことではない。対話と賢慮を重ねて最良の答えを見いだすことである。うわべの丁寧さより、納得を引き出す説明がほしい。(敬称略)(特別編集委員)=毎週月曜日に掲載
どうも岸田内閣の暴走が見えて来たようだね。私も青年時代は、祖母が年中社会党の悪口を言っていたし、両親は何も言わないが保守的な家に育っていたからか、自由民主党=「正」みたいにぼんやりと捉えていた気がする。ところが2000年の森喜朗政権あたりからかな?このブログでも小泉、安倍、麻生、そして民主党の鳩山、菅、また自民党が奪還しての安倍、菅政権はおかしなことばかり言うなと書いてきた。総理名で抜けている福田康夫、野田佳彦両氏を深くは知らないが、とんでもないことを言っていた記憶はない。さて池田勇人氏が創設した「宏池会」から久しぶりに出た岸田文雄氏は保守リベラル派かな?とイメージしていたが、何の何の安倍、菅政権を継承どころか、いやそれよりも独走する的外れをどんどん打ち出すのではないかと思い始めた。国連演説で安保理改革提起したって拍手は起こっても、ホームランはおろかヒットにならないことくらい、ご自分が一番ご存じだと思うのだが、国政に力を注いでもらいたいですね。以上政治素人の75歳のイメージです。
毎日新聞 2022/9/25 東京朝刊
風刺絵は岸田総理と林外務大臣ですね。
毎日新聞 2022/9/26 東京朝刊 有料記事
ウェストミンスター寺院にマスクなく、日本武道館に満場のマスクあり。
天皇、皇后両陛下はエリザベス女王の国葬にマスクなしで参列された。それに対し、27日の、安倍晋三元首相の国葬の参列者は全員マスク。海外の首脳にも着用を求めるという。
それでいて日本は水際対策を緩め、観光振興へ乗り出す。新型コロナウイルスとの付き合い方を的確に理解したいが、岸田文雄首相の<丁寧な説明>は引き続き的を外している。
テドロスWHO(世界保健機関)事務局長が、パンデミックの「終わりが見えてきた」(the end is in sight)と言っている(14日、記者会見)。
新規感染者が世界全体で抑制傾向にあるのは、既に感染し、自然免疫を獲得した人が増えたから――らしい。今年4月、アメリカのCDC(疾病対策センター)が公表した調査によれば、同国内で自然免疫を持った人の割合(抗体保有率)は57・7%。イギリスの場合、HSA(健康安全保障庁)の6~8月の調査で73・4%である。
他方、今年4月に日本の厚生労働省が発表した調査を見ると、日本人の抗体保有率は最も高い東京都民で5・65%、他の地域はさらに低く、米英よりひとケタ以上小さい。マスク嫌いの国々は集団免疫を獲得しつつあり、マスク励行の日本は置いてけぼりをくった可能性がある。
半面、日本はコロナで死ぬ人の数がケタ違いに少ない。国際統計によれば9月20日現在、人口100万人当たりで見た累積死者数は、米国3128▽英国3064▽EU(欧州連合)2558に対し、日本は352。韓国539▽台湾444より少ない。日本人が足かけ3年のマスク生活に耐えてあがなったものは死亡率の抑制だった。
◇
厚労省ホームページの「マスクの着用について」というサイトが、マスク着脱のTPOをイラスト付きで解説している。が、複雑過ぎて分からない。分からないから、マスクを外して歩く時も、マスクを手に持って見せるのが日本人の作法になっている。
水際対策緩和でマスクなしの外国人が大量に来るとどうなるか。試行錯誤で進むしかないとしても、どこへ着地するのか、どんな出口か。政治指導者に聞きたいが、答えがない。
2021年秋、安倍・菅流の強権政治に疲れた世論は、新首相・岸田のソフトイメージを歓迎した。そこが原点の岸田には、誰からも、わずかでも批判されたくない――という感覚があるように見える。
<丁寧な説明>とは、リスクになるべく触れず、微笑を絶やさず、低姿勢でしのぐことだ――と割り切っているフシがある。
◇
感染者の自宅療養期間の短縮をめぐって専門家の意見が割れた時、岸田は短縮容認派の主張を採り、官邸に記者たちを集めて説明した(6日夕)。
「リスクもあるが、政治判断した理由は何か」という当然の質問が出た時、岸田はこう答えた。
「これは決して政治判断ではなくして、専門家の意見もしっかり踏まえた上での判断だということをご理解いただきたい」
政治判断とは、権謀術数をめぐらせて横車を押すことではない。対話と賢慮を重ねて最良の答えを見いだすことである。うわべの丁寧さより、納得を引き出す説明がほしい。(敬称略)(特別編集委員)=毎週月曜日に掲載
どうも岸田内閣の暴走が見えて来たようだね。私も青年時代は、祖母が年中社会党の悪口を言っていたし、両親は何も言わないが保守的な家に育っていたからか、自由民主党=「正」みたいにぼんやりと捉えていた気がする。ところが2000年の森喜朗政権あたりからかな?このブログでも小泉、安倍、麻生、そして民主党の鳩山、菅、また自民党が奪還しての安倍、菅政権はおかしなことばかり言うなと書いてきた。総理名で抜けている福田康夫、野田佳彦両氏を深くは知らないが、とんでもないことを言っていた記憶はない。さて池田勇人氏が創設した「宏池会」から久しぶりに出た岸田文雄氏は保守リベラル派かな?とイメージしていたが、何の何の安倍、菅政権を継承どころか、いやそれよりも独走する的外れをどんどん打ち出すのではないかと思い始めた。国連演説で安保理改革提起したって拍手は起こっても、ホームランはおろかヒットにならないことくらい、ご自分が一番ご存じだと思うのだが、国政に力を注いでもらいたいですね。以上政治素人の75歳のイメージです。
毎日新聞 2022/9/25 東京朝刊
風刺絵は岸田総理と林外務大臣ですね。