毎日新聞 2022/5/29 東京朝刊 有料記事
<気になる>
政府は4月、最新の科学技術を使った最先端都市「スーパーシティ」に大阪市と茨城県つくば市を指定しました。2030年代の未来都市を先取りするのが目的で、両市は「空飛ぶクルマ」や「インターネット投票」といった革新的な街づくりを目指しています。スーパーシティの実現で、私たちの暮らしはどう変わるのでしょうか。
AI活用、街全体で実証実験
なるほドリ 日本にスーパーシティができると聞いたよ。何だか、かっこいい名前だね。
記者 規制緩和を地域限定で進める「国家戦略特区」の一つですね。人工知能(AI)技術やビッグデータを活用し、最先端技術の実証実験を街全体で行うものです。「スマートシティ」という似たような取り組みが世界中で進んでおり、中国・杭州市では大手IT企業アリババグループと連携してAIで交通情報を分析しています。道路状況で信号を切り替えたり、交通違反を自動で通報したりして、渋滞の緩和につながったそうです。日本では、こうした技術を住民の移動や行政手続き、医療といった生活全般に取り入れ、社会の在り方を根本から変える「まるごと未来都市」を政府は目指しています。
Q なぜスーパーシティをつくることになったの?
A 海外に比べて出遅れていると危機感を抱いた政府が18年、制度導入に向けて有識者会議を設けました。国家戦略特区の枠組みを活用することが決まり、20年5月に改正国家戦略特区法が成立したのです。
Q 大阪市とつくば市はどう選ばれたのかな?
A 政府は20年12月~21年4月に自治体から提案を募集し、全国の31団体から応募がありました。ただし、審査した専門家から「大胆な規制改革の提案が乏しい」などの意見が出て、全ての団体が再提案を求められる事態になったんです。自治体からは現実的な提案が多く、未来志向の国と温度差があったようです。再提案の内容を踏まえ、規制緩和の道筋が立った大阪市とつくば市が第1弾として指定されました。政府は今後も指定を進める方針です。
◆未来都市は実現するの?
データ収集、住民の合意重要
Q 大阪市はどんな内容なの?
A 大阪では府と市の共同提案という形で計画が作られました。25年に開催される大阪・関西万博に関連した取り組みが中心で、万博会場の人工島・夢洲(大阪市此花区)と、JR大阪駅北側の「うめきた2期」再開発区域(大阪市北区)の2カ所で実施されます。どちらもこれから街づくりが本格化するので、政府内で当初描いたイメージに近かったのかもしれません。目玉は、日本初の空飛ぶクルマの実現です。万博開催までの実用化を目標に掲げています。
Q 空飛ぶクルマって映画や漫画の世界だけだと思ってた。ワクワクするね。
A 大阪では「データで拡げる『健康といのち』」をテーマにしており、海外に住んでいる医師の遠隔診療を可能にして最先端の国際医療サービスを受けられるようにしたり、AIが個人のデータを収集して健康増進プログラムを提供したりする計画もあります。万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」が随所)にちりばめられた内容になっています。
Q つくば市はどんなことが計画されているの?
A つくば市には国の研究機関や大学がたくさん集まり、2万人を超える研究者がいます。このような地域の特徴を生かして住民中心の「スーパーサイエンスシティ」を市全域でつくるとしています。身近な生活に焦点を当てた事業が多く、なかでも選挙のインターネット投票に注目が集まっています。関係省庁との調整が続いているようですが、実現すれば日本の選挙制度に大きな変化を与えそうです。
Q 時代をリードするような試みで楽しみだね。でも、本当に実現するの?
A 自治体が持つ個人情報や街中で収集するデータの取り扱いが課題になりそうです。政府が先進事例としていたカナダ・トロント市では事業者が撤退に追い込まれました。街中のセンサーで個人の行動データを収集する計画に対し、市民から強い反発も起きました。最先端技術を取り入れるには民間企業の協力が欠かせませんが、個人のデータが商品開発)や販売促進につながる時代です。収集した情報の慎重な取り扱いが求められます。
Q 住民にとっては不安な部分もあるんだね。
A スーパーシティでは、住民の合意が必要とされています。ですが、どのような形で合意形成するかは自治体側の判断に委ねられており、住民一人一人がどこまで関与できるかは不透明です。一歩間違えれば、技術の進歩のために住民を利用することになりかねません。住民が納得できるようなプロセスを踏むことがとても大切と言えます。(大阪社会部)<グラフィック・大石真規子>
さてさて2022/5/16付けで「政府肝いりのデジタル化、早くも「黄信号」という記事も読んだが、地方自治体でもっと最先端のシステムが構築できるのかな?税金を使うのならどうぞ絵に描いた餅にならぬようにお願いしますね。こんなことばかり年寄りが言っていたら日本の進歩はなくなるか?(笑)
トヨタのスマートシティという話も聞くね。これも夢みたいな話だけど、民間の方が実行量はありそう!
⇓
Woven Cityイメージビデオ(long ver)
<気になる>
政府は4月、最新の科学技術を使った最先端都市「スーパーシティ」に大阪市と茨城県つくば市を指定しました。2030年代の未来都市を先取りするのが目的で、両市は「空飛ぶクルマ」や「インターネット投票」といった革新的な街づくりを目指しています。スーパーシティの実現で、私たちの暮らしはどう変わるのでしょうか。
AI活用、街全体で実証実験
なるほドリ 日本にスーパーシティができると聞いたよ。何だか、かっこいい名前だね。
記者 規制緩和を地域限定で進める「国家戦略特区」の一つですね。人工知能(AI)技術やビッグデータを活用し、最先端技術の実証実験を街全体で行うものです。「スマートシティ」という似たような取り組みが世界中で進んでおり、中国・杭州市では大手IT企業アリババグループと連携してAIで交通情報を分析しています。道路状況で信号を切り替えたり、交通違反を自動で通報したりして、渋滞の緩和につながったそうです。日本では、こうした技術を住民の移動や行政手続き、医療といった生活全般に取り入れ、社会の在り方を根本から変える「まるごと未来都市」を政府は目指しています。
Q なぜスーパーシティをつくることになったの?
A 海外に比べて出遅れていると危機感を抱いた政府が18年、制度導入に向けて有識者会議を設けました。国家戦略特区の枠組みを活用することが決まり、20年5月に改正国家戦略特区法が成立したのです。
Q 大阪市とつくば市はどう選ばれたのかな?
A 政府は20年12月~21年4月に自治体から提案を募集し、全国の31団体から応募がありました。ただし、審査した専門家から「大胆な規制改革の提案が乏しい」などの意見が出て、全ての団体が再提案を求められる事態になったんです。自治体からは現実的な提案が多く、未来志向の国と温度差があったようです。再提案の内容を踏まえ、規制緩和の道筋が立った大阪市とつくば市が第1弾として指定されました。政府は今後も指定を進める方針です。
◆未来都市は実現するの?
データ収集、住民の合意重要
Q 大阪市はどんな内容なの?
A 大阪では府と市の共同提案という形で計画が作られました。25年に開催される大阪・関西万博に関連した取り組みが中心で、万博会場の人工島・夢洲(大阪市此花区)と、JR大阪駅北側の「うめきた2期」再開発区域(大阪市北区)の2カ所で実施されます。どちらもこれから街づくりが本格化するので、政府内で当初描いたイメージに近かったのかもしれません。目玉は、日本初の空飛ぶクルマの実現です。万博開催までの実用化を目標に掲げています。
Q 空飛ぶクルマって映画や漫画の世界だけだと思ってた。ワクワクするね。
A 大阪では「データで拡げる『健康といのち』」をテーマにしており、海外に住んでいる医師の遠隔診療を可能にして最先端の国際医療サービスを受けられるようにしたり、AIが個人のデータを収集して健康増進プログラムを提供したりする計画もあります。万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」が随所)にちりばめられた内容になっています。
Q つくば市はどんなことが計画されているの?
A つくば市には国の研究機関や大学がたくさん集まり、2万人を超える研究者がいます。このような地域の特徴を生かして住民中心の「スーパーサイエンスシティ」を市全域でつくるとしています。身近な生活に焦点を当てた事業が多く、なかでも選挙のインターネット投票に注目が集まっています。関係省庁との調整が続いているようですが、実現すれば日本の選挙制度に大きな変化を与えそうです。
Q 時代をリードするような試みで楽しみだね。でも、本当に実現するの?
A 自治体が持つ個人情報や街中で収集するデータの取り扱いが課題になりそうです。政府が先進事例としていたカナダ・トロント市では事業者が撤退に追い込まれました。街中のセンサーで個人の行動データを収集する計画に対し、市民から強い反発も起きました。最先端技術を取り入れるには民間企業の協力が欠かせませんが、個人のデータが商品開発)や販売促進につながる時代です。収集した情報の慎重な取り扱いが求められます。
Q 住民にとっては不安な部分もあるんだね。
A スーパーシティでは、住民の合意が必要とされています。ですが、どのような形で合意形成するかは自治体側の判断に委ねられており、住民一人一人がどこまで関与できるかは不透明です。一歩間違えれば、技術の進歩のために住民を利用することになりかねません。住民が納得できるようなプロセスを踏むことがとても大切と言えます。(大阪社会部)<グラフィック・大石真規子>
さてさて2022/5/16付けで「政府肝いりのデジタル化、早くも「黄信号」という記事も読んだが、地方自治体でもっと最先端のシステムが構築できるのかな?税金を使うのならどうぞ絵に描いた餅にならぬようにお願いしますね。こんなことばかり年寄りが言っていたら日本の進歩はなくなるか?(笑)
トヨタのスマートシティという話も聞くね。これも夢みたいな話だけど、民間の方が実行量はありそう!
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Woven Cityイメージビデオ(long ver)