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金言 / 天才でも失敗する=小倉孝保 / 毎日新聞

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新年度を彩る千鳥ヶ淵の満開の桜=東京都千代田区で2022年3月31日、宮武祐希撮影

毎日新聞  2022/4/1 東京朝刊 有料記事

<kin-gon>

 物理学の歴史には大きな転換点が2度あった。一つはニュートンたちによる中世物理学からの転換。もう一つは20世紀のアインシュタインによるものだ。

 このドイツ生まれの物理学者が、人類史上まれに見る知性の持ち主だったことに異論はないだろう。ただ、その「頭脳」は入試向きではなかった。スイスの名門大学をすべったのはよく知られている。現代語などの試験結果が悪かったらしい。

 さすがに数学の成績は抜群だった。そのため大学の学長から、ギムナジウム(高等教育への準備課程)で学ぶよう勧められ、翌年この大学に入った。

 大学の成績も良かった。そのまま助手になろうとしたが、就職はかなわなかった。しばらく家庭教師をして食いつなぎ、特許局に就職している。

 晩年の彼と交流した数学者、矢野健太郎は著書「アインシュタイン伝」の中で、彼がユダヤ人で、しかもスイスの市民権をとったばかりだったため、大学で職を得られなかったのではないかと書いている。

 希望の就職先ではなかったものの、この天才は腐らなかった。常にユーモアを忘れず、気分転換にはバイオリンを弾いた。そして、特許局で書類審査をしながら研究を続け、特殊相対性理論、ブラウン運動、光量子仮説に関する論文を次々と発表している。

 さて、日本はきょうから新年度。進学、就職、転職の春だ。希望がかない夢に胸躍らせる人がいる一方、入試や採用試験で実力を発揮できず、挫折からのスタートとなる者も多いはずだ。

 長い人生である。誰もが一度や二度の失敗を経験する。史上最高頭脳の持ち主でさえ受験、就職で挫折を味わっているのだから。

 アインシュタインによると、「失敗したことのない人間は、挑戦したことのない人間」である。失敗はチャレンジの証し。むしろ胸を張っていい。無駄な寄り道と思えた時間が、その後の人生を豊かに彩ることも少なくない。

 そのためにも第2、第3希望からのスタートでも、腐らないことが大切だ。特許局に就職したアインシュタインが研究意欲を失っていたら、物理学の進歩は随分、遅れていただろう。

 リンカーン元米大統領は言っている。「あなたが転んだことに関心はない。そこから立ち上がることに関心があるのだ」。倒れたら立ち上がり、すりむいた膝をなでながら歩み出そう。失敗や挫折の真価を決めるのは、その後の生き方次第である。(論説委員)

 エープリルフールなんてのは今は流行らないんだね。今日、テレビを含めてそんな言葉は聞かなかった。

 テレビはウクライナ関連の陰で、むしろ華やかな入社式が幾つも映し出されていた。彼らも夢の塊かも知れないが、やがて壁にぶつかって挫折することもあるだろうね。私も例外なく九転び七起き?くらいしたけれど、今はなんとか生き延びている。まあ健康だったら人生は送れるのじゃーないかな。
 
 あれ、上のコラムは少年よ大志を抱け的なものだった(汗)。私も転んだ時に、アインシュタインやリンカーンの言葉が頭に浮かんでいたら大物になれたかも知れなかったな~(笑)。若人よファイト!

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