イラストはブログ かくっ帳 さんからお借りした
女の気持ち:お弁当 東京都小金井市・清水映美子(主婦・53歳)
毎日新聞 2013年03月20日 東京朝刊
息子が幼稚園に入園してから娘が高校卒業を控えた最近までの18年間、お弁当をひたすら作り続けた。私にとってはいくさのようなものだった。
息子が中学生の時は、よくけんかをした。「ウインナーはサブだろ! サブをメーンにするなよ」「彩りはいいから一面、ショウガ焼きにして」「ご飯はおはしが刺さらないぐらいに詰めて」。その重さなら凶器になるな、と思った。
けんかをすると、「あんたのお弁当は作らん」。すると、妹が涙ながらに「お兄ちゃんのお弁当を作ってあげて」と懇願する。美しいきょうだい愛か、連係プレーか。息子は何度も妹に救われている。
娘が高校1年の時、私は病気治療のため、約半年間、お弁当作りに苦労したが、作り続けた。弁当を作ることが私の支えだった。娘が学校から帰り、「私、自分の買ったお総菜しか入ってないと思ったら、卵焼きが入っていた。卵焼きがこんなにうれしいと思ったことはない。ありがとう」。私は空のお弁当箱を抱き、泣いた。
お弁当作りは1月25日で卒業した。その夜、娘が「長い間、ありがとうございました。ごちそうさまでした」、夫は「長い間、ご苦労様。夕食はお母さんに感謝を込めて外食にしよう」と言う。目尻を下げて「何にする?」と娘に聞いている。私に聞いてくれませんか。
母親として、ひと仕事終えた気がした。娘は「大学生になってからも作っていいよ」と言ったが、丁重にお断りした。
一見何気ない新聞投稿だが、じーんと来るものがある。小父さんはお袋に文句なんか言ったことはないけど、一瞬思い出がよみがえった。仕事を持つ男にはいろんな形が残るけれど、女って本当に地味な存在だね。清水映美子さん、大変ご苦労さまでした。そうですね、自分の弁当でも作られてどこかに出掛けられてはいかがですか?(笑)。
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息子が中学生の時は、よくけんかをした。「ウインナーはサブだろ! サブをメーンにするなよ」「彩りはいいから一面、ショウガ焼きにして」「ご飯はおはしが刺さらないぐらいに詰めて」。その重さなら凶器になるな、と思った。
けんかをすると、「あんたのお弁当は作らん」。すると、妹が涙ながらに「お兄ちゃんのお弁当を作ってあげて」と懇願する。美しいきょうだい愛か、連係プレーか。息子は何度も妹に救われている。
娘が高校1年の時、私は病気治療のため、約半年間、お弁当作りに苦労したが、作り続けた。弁当を作ることが私の支えだった。娘が学校から帰り、「私、自分の買ったお総菜しか入ってないと思ったら、卵焼きが入っていた。卵焼きがこんなにうれしいと思ったことはない。ありがとう」。私は空のお弁当箱を抱き、泣いた。
お弁当作りは1月25日で卒業した。その夜、娘が「長い間、ありがとうございました。ごちそうさまでした」、夫は「長い間、ご苦労様。夕食はお母さんに感謝を込めて外食にしよう」と言う。目尻を下げて「何にする?」と娘に聞いている。私に聞いてくれませんか。
母親として、ひと仕事終えた気がした。娘は「大学生になってからも作っていいよ」と言ったが、丁重にお断りした。
一見何気ない新聞投稿だが、じーんと来るものがある。小父さんはお袋に文句なんか言ったことはないけど、一瞬思い出がよみがえった。仕事を持つ男にはいろんな形が残るけれど、女って本当に地味な存在だね。清水映美子さん、大変ご苦労さまでした。そうですね、自分の弁当でも作られてどこかに出掛けられてはいかがですか?(笑)。
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