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水説 首相のうつろな言葉=古賀攻 / 毎日新聞

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毎日新聞   2021/8/11 東京朝刊 有料記事<sui-setsu>

 当てにならない受け答えは「そば屋の出前」にたとえられる。

 迅速、誠実な本業の方には失礼だが、「まだ来ない」と客にとがめられて「今出ました」などと適当に取り繕うさまを指す。

 人流(人出)は減っている、という応答もその亜種に思える。菅義偉首相は、首都圏の感染者数が従来より険しい曲線を描いて急増する最中に連発した。

 「人流も減っていますし、そこ(五輪中止)はありません」=7月27日▽「人流は減少傾向にあり、さらに加速させるためにご協力を」=29日▽「歓楽街の人流は減少傾向にあります」=30日

 この前後、東京都の新規感染者数は28日に3000人台、31日に4000人台と過去最多を次々に更新。8月5日には初の5000人台にまで膨らんでいる。

 都のモニタリング会議は7月15日の時点で、悪いシナリオとして「8月11日に1週間平均が2406人になる」と警告していた。実際のペースはその倍だ。

 もしも首相が自らの不作為をごまかす方便として人流を語っているとしたら、出前の遅れの言い訳とは比較にならないほど悪質と言わなければならない。
 
 ただ、思い返してみると、人流の減少を口にするときの首相に、特有のふてぶてしさはあまり感じられなかった。むしろ目が泳ぎ、うつろに言葉を吐き出しているようにすら見えた。

 そうかと思うと、8月2日に突然、感染者急増地域での「入院制限」を打ち出す。医療現場が混乱しないよう中等症以下の患者は宿泊療養か自宅療養を「基本」とするという重大な方針転換だ。

 医療資源は有限なので、選別が必要になってくると事前にアナウンスでもあれば、国民との対話ができたかもしれないのに、いきなりの通告だ。「中等症以下の切り捨て」と与党内でも騒ぎになり、3日後に軌道修正された。

 もしかすると、的外れな人流発言も、唐突な入院制限も、そして広島原爆忌式典での原稿読み飛ばしも、菅政権の判断能力の低下として地続きになっていないか。ワクチン戦略がデルタ株に追いつかず、五輪開催による政権浮揚の目算も外れた今、首相が第5波と東京パラリンピックに立ち向かえるのか、不安を覚える。

 修正に関わった自民党の幹部議員は「騒動で200万~300万票減った。選挙にならん」と嘆きつつも、「相手が立民(立憲民主党)なのが救い。枝野(幸男代表)様、様」と続けた。これが日本政治の不都合な真実だとしたら、限界に来ている。(専門編集委員)
 
  ずーっと、上から読んできて「相手が立民(立憲民主党)なのが救い。枝野(幸男代表)様、様」で声を出して笑ったね。枝野氏の話を全て聞いているわけではないが、ヒステリックな声で総理に食い下がっているのを聞いた時、これは逆効果じゃないかと思ったものだ。菅義偉首相のことは書かれている通りだと思う・・・。

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