この映画、テレビで過去に何回か見始めては、すぐにやめていたが、ノーベル文学賞を受賞したヘミングウェイの『老人と海』の映画化ってことでいつかは見終えないと思っていた。
沖に出た老人の針に、巨大なカジキが食いたのはいいが、3日にわたる孤独な死闘が主たる映像なんだが、報われることの少ない男の生涯って案外こんなものなんだろうね。老人(スペンサー・トレイシー)のひとり芝居の雰囲気もあるが、誰しもひとり芝居で人生を全うするんではないだろうか?とも思わせてくれる。
ストーリー抜粋
彼(スペンサー・トレイシー)は年をとっていた。メキシコ湾流に小船を浮かべ、魚をとる漁師だ。しかし、もう84日も1匹も釣れない日が続いている。はじめは少年(フェリペ・パゾス)がついていたが、不漁が続くので親のいいつけで別のボートに乗り組んでしまった。海と同じ色をたたえた瞳、やせこけた手足、深い皺の刻みこまれた首筋、彼の舟の帆そっくりにつぎはぎだらけのシャツ。しかし少年は老人が好きだ。5つの時生まれてはじめて漁につれていってくれたのは彼だった。お爺さんは世界一の漁師だと少年は考える。
一緒に漁には行けないかわり、明日の餌にする鰯や、今夜の晩ご飯を揃えてやろう。少年が帰ってしまうと老人はすぐ眠りにおちた。アフリカの夢を見る。この頃は毎晩だ。もう昔のように暴風雨や、女のことや、死んだ妻の夢は見ない。輝く砂浜、白い海岸に、ライオンの戯れる夢をみるのだ。老人はそれを愛した--あの少年を愛しているように。眼をさますと老人は少年を起こすために小道を上がる。少年と老人は小舟を水の中に押し出す。朝が近い、今日は遠出だ。沖に出て1人になると、老人は餌のついた4本の綱を水中に下し、汐の流れに船を任せた。太陽が随分高くなった。綱がぐっと引かれる。信じられぬほどの重みだ。「畜生め!」老人は大声をあげると綱をひいた。しかし魚は1吋も引寄せられない。魚と、それに引かれる老人の舟は、静かな海を滑っていく。「あの子がいたらなあ」--老人は声に出した。~映画.comから