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金言 まずはトイレ掃除=小倉孝保 / 毎日新聞

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防護服の着脱場所で準備する看護師ら。不足のガウンをゴミ袋で代用し、ウイルス侵入を防ぐテープで手袋と服のすき間を目張りしている=千葉県東庄町で17日、黒田阿紗子撮影 

  

金言 <kin-gon> まずはトイレ掃除= 小倉孝保

毎日新聞  2020年5月1日 東京朝刊
 近代看護の礎を築いた英国人、  ナイチンゲールはとにかく目立つことの嫌いな女性だった。

 1820年、豊かな家庭に生まれた彼女は、父から数学を教わった。クリミア戦争(53~56年)で負傷兵の増えた英国は、女性看護団を現地に送ることを決め、彼女をリーダーに指名する。ところが現地の陸軍幹部が、「女が戦争とどう関係があるのか」と看護活動を拒否したため、彼女は野戦病院のトイレ掃除から始め、看護活動に移った。

 病院では負傷兵が床に寝かされ、害虫がはい回っていた。不衛生が負傷兵の命を奪っていると考えたナイチンゲールは、間隔を空けてベッドを置き、換気と日当たりに気を使った。自費で洗濯室と台所を作り、患者に清潔なシャツと特別食を提供する。看護師に手洗いの徹底を命じ、「できれば顔も」と指示している。負傷兵の死亡率は42%から5%に下がった。

 夜中にランプを持って病室を回る彼女を、新聞は「ランプの貴婦人」と紹介し、その名は本国でも知られる。目立つことの嫌いなナイチンゲールは戦後、「スミス」という偽名で帰国している。

 英国で新型コロナウイルスの感染が深刻である。ジョンソン首相が入院したのは、かつて彼女が看護学校を開いた病院だ。首相は退院の際、看護師2人の名を挙げ、「ジェニーとルイスが48時間にわたって、私のベッド横で待機してくれた」と謝意を示した。

 かつて戦場で活動を拒否された看護師が今、「戦場」で首相の命を救う。ナイチンゲールなら現状をどう見るだろう。ナイチンゲール博物館(ロンドン)のチャットン副館長はこう話す。「看護師の地位が上がっていることを誇りに思うはずです。そして、こう呼びかけるでしょう。さあ手を洗いましょうと」

 日本を含め世界の医療現場は今、目立たぬ所で奮闘する人たちであふれている。看護師、医師、薬剤師、栄養士、調理師、保健師、救急救命士、助産師、清掃スタッフ 自身の感染リスクを知りながら、社会が普通の生活を取り戻せるよう、プロが闘ってくれている。それぞれが、「ランプの貴婦人・紳士」たちである。

 ナイチンゲールが90歳で亡くなったとき、メディアは「国葬に値する」と報じた。しかし、彼女が派手なことを嫌ったため、葬儀は小規模なものとなり、墓石にはイニシャルの「F・N」とだけ記された。彼女の誕生日(5月12日)は「看護の日」である。私たちは生誕200年のこの日を特別な時期に迎える。(論説委員)
 
 ナイチンゲールさんのこと、小学校で学んだ程度しか知らなかったけど頭が下がりますね。新コロナウイルスの医療現場のテレビは何回もテレビで観ていたが、こうして振り返ってみると小倉孝保さんが書かれているように、たくさんの関係者が医療崩壊を起こさぬよう頑張っておられるんだ。このブログでもその方々への感謝の言葉を書き忘れていた。うまく言えませんが大変ご苦労さまだと思っています。

 私に出来ることは、それら医療関係者の人々にも迷惑がかからないように、不注意の結果感染しないことだとあらためて思った。

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