WALDO(ウォルド)は北米版のウォーリーの呼称。この風刺画には「すごく簡単」とタイトルがついている
© Chattanooga Times Free Press, Inc./Clay Bennett
Newsweek 2020年04月22日(水)19時15分 [執筆者] 岩澤里美 (スイス在住ジャーナリスト)
アルゼンチンのアートディレクター、ペドロ・メッツィーニ氏が作った
「ウォーリーをさがせ! 新型コロナウイルス版」 © Pedro Mezzini
© Pedro Mezzini
※※※※※※※※※※※※
<外出制限が長引くと、人込みの世界に戻りたくなる?>
日本でも、いよいよ全国規模での外出自粛が実施されている。日本より早く外出自粛や外出禁止の措置に踏み切った国や地域では、段階的な解除をすでに始めたり計画したりしているところもあるが、暗いムードが漂う世界のありさまが、絵本の世界に反映した。
その絵本とは、イギリス発の『ウォーリーをさがせ!』。日本でも30年以上前から発売され、最近では、原画や関連作品の展覧会が全国で開催されたように、根強い人気を誇る。そのウォーリーがなんと、外出自粛のために人が少なくなった場所を歩く「新型コロナウイルス版」が出たのだ。
簡単すぎて、ウォーリーじゃない?
といっても、正式なシリーズ本ではなく、パロディ画だ。アメリカの著名な風刺漫画家クレイ・ベネット氏が米地方紙 Chattanooga Times Free Pressに掲載し、自身のツイッターやフェイスブックにも載せて、注目を集めている。
「ウォーリーをさがせ! ソーシャルディスタンス版」と付記したこの画は、ベネット氏が連日のように同紙に寄稿しているコロナウイルス感染拡大の風刺画の1つ。感染予防のため、ほかの人と最低2メートル離れるようにするソーシャルディスタンスが描かれている。
普段は人が密集している場所にいるウォーリーが、野原を歩く人たちと2メートル、いや3メートルはあろうかという距離を保たなくてはいけないパンデミック(感染症の世界的な大流行)の現状は、やはり憂鬱だ。
しかし、頭を抱えてウォーリーを探さなくてもよいことが面白くもあり、「すごく笑える」というコメントも寄せられている。「具体的でわかりやすいから、この画を孫とシェアします」という人もいる。確かに、日本の「三密を避ける」イラストのように、混雑している絵にバツを書くのではなく、すでにそうなっている状況のベネット氏のような画のほうがインパクトは強い。
ところで、この画の左下には、「ウォルドに謝罪」と書いてある。その理由をベネット氏に聞いたところ、「他人のイラストのキャラクターを使用して、私の考えを表現したためです」との回答だった。氏は、いつもは、オリジナルの風刺画を描いている。
ベネット氏は、Chattanooga Times Free Pressにオフィスがあるが、現在は在宅勤務している。職場にはモニターが2台あり、1台はニュースを読んだりメールの送受信に使ったりしていて、もう1台のほうで風刺画を描いている。自宅では、ラップトップで仕事をしていて「まるで電話ボックスのなかで健康体操をしているようです」と、不便ななかで仕事を継続している様子をフェイスブックに綴っている。
本の形の「新型コロナウイルス版」も登場
ベネット氏と似たアイデアを思いついた人もいる。アルゼンチンのアートディレクター、ペドロ・メッツィーニ氏だ。メッツィーニ氏のほうは本の形をした「新型コロナウイルス版」で、マスクをしたウォーリーがカバーに描かれている。本型のため、たくさんの絵が描かれているのではとつい期待するが、中身は、ウォーリーが町なか、ビーチ、野原を歩く3枚の絵のみだ。こちらは、どこを歩いても閑散としている。やはり、ウォーリーを見つけ出すのは非常に簡単だ。
「パロディのつもりで作りました。売るつもりはまったくありません」とメッツィーニ氏は筆者の問い合わせに答えてくれたが、売っているなら買いたいというコメントが届いているという。ある出版社からもコメントが来たそうで、「このパロディ、とても気に入りましたよ」とほめられたという。
外出は極力控える、外出するならソーシャルディスタンスを保つといった緊急事態は決して快適ではないが、こんなユーモアを見ると、人込みのなかのウォーリーの絵の状態に早く戻れるようがんばろうという
前向きな気持ちにさせられる。
いいね!確かに日本では口を開けば三密。テレビを点けても三密、三密。今では小学校の低学年でも三密を覚えていそうだが、「ウォーリーをさがせ!新型コロナウイルス版」だったら、幼児でも理解できそう!そうだ、4歳の孫用にこの絵をプリントしてあげよう!(笑)
© Chattanooga Times Free Press, Inc./Clay Bennett
Newsweek 2020年04月22日(水)19時15分 [執筆者] 岩澤里美 (スイス在住ジャーナリスト)
アルゼンチンのアートディレクター、ペドロ・メッツィーニ氏が作った
「ウォーリーをさがせ! 新型コロナウイルス版」 © Pedro Mezzini
© Pedro Mezzini
※※※※※※※※※※※※
<外出制限が長引くと、人込みの世界に戻りたくなる?>
日本でも、いよいよ全国規模での外出自粛が実施されている。日本より早く外出自粛や外出禁止の措置に踏み切った国や地域では、段階的な解除をすでに始めたり計画したりしているところもあるが、暗いムードが漂う世界のありさまが、絵本の世界に反映した。
その絵本とは、イギリス発の『ウォーリーをさがせ!』。日本でも30年以上前から発売され、最近では、原画や関連作品の展覧会が全国で開催されたように、根強い人気を誇る。そのウォーリーがなんと、外出自粛のために人が少なくなった場所を歩く「新型コロナウイルス版」が出たのだ。
簡単すぎて、ウォーリーじゃない?
といっても、正式なシリーズ本ではなく、パロディ画だ。アメリカの著名な風刺漫画家クレイ・ベネット氏が米地方紙 Chattanooga Times Free Pressに掲載し、自身のツイッターやフェイスブックにも載せて、注目を集めている。
「ウォーリーをさがせ! ソーシャルディスタンス版」と付記したこの画は、ベネット氏が連日のように同紙に寄稿しているコロナウイルス感染拡大の風刺画の1つ。感染予防のため、ほかの人と最低2メートル離れるようにするソーシャルディスタンスが描かれている。
普段は人が密集している場所にいるウォーリーが、野原を歩く人たちと2メートル、いや3メートルはあろうかという距離を保たなくてはいけないパンデミック(感染症の世界的な大流行)の現状は、やはり憂鬱だ。
しかし、頭を抱えてウォーリーを探さなくてもよいことが面白くもあり、「すごく笑える」というコメントも寄せられている。「具体的でわかりやすいから、この画を孫とシェアします」という人もいる。確かに、日本の「三密を避ける」イラストのように、混雑している絵にバツを書くのではなく、すでにそうなっている状況のベネット氏のような画のほうがインパクトは強い。
ところで、この画の左下には、「ウォルドに謝罪」と書いてある。その理由をベネット氏に聞いたところ、「他人のイラストのキャラクターを使用して、私の考えを表現したためです」との回答だった。氏は、いつもは、オリジナルの風刺画を描いている。
ベネット氏は、Chattanooga Times Free Pressにオフィスがあるが、現在は在宅勤務している。職場にはモニターが2台あり、1台はニュースを読んだりメールの送受信に使ったりしていて、もう1台のほうで風刺画を描いている。自宅では、ラップトップで仕事をしていて「まるで電話ボックスのなかで健康体操をしているようです」と、不便ななかで仕事を継続している様子をフェイスブックに綴っている。
本の形の「新型コロナウイルス版」も登場
ベネット氏と似たアイデアを思いついた人もいる。アルゼンチンのアートディレクター、ペドロ・メッツィーニ氏だ。メッツィーニ氏のほうは本の形をした「新型コロナウイルス版」で、マスクをしたウォーリーがカバーに描かれている。本型のため、たくさんの絵が描かれているのではとつい期待するが、中身は、ウォーリーが町なか、ビーチ、野原を歩く3枚の絵のみだ。こちらは、どこを歩いても閑散としている。やはり、ウォーリーを見つけ出すのは非常に簡単だ。
「パロディのつもりで作りました。売るつもりはまったくありません」とメッツィーニ氏は筆者の問い合わせに答えてくれたが、売っているなら買いたいというコメントが届いているという。ある出版社からもコメントが来たそうで、「このパロディ、とても気に入りましたよ」とほめられたという。
外出は極力控える、外出するならソーシャルディスタンスを保つといった緊急事態は決して快適ではないが、こんなユーモアを見ると、人込みのなかのウォーリーの絵の状態に早く戻れるようがんばろうという
前向きな気持ちにさせられる。
いいね!確かに日本では口を開けば三密。テレビを点けても三密、三密。今では小学校の低学年でも三密を覚えていそうだが、「ウォーリーをさがせ!新型コロナウイルス版」だったら、幼児でも理解できそう!そうだ、4歳の孫用にこの絵をプリントしてあげよう!(笑)