Quantcast
Channel: 小父さんから
Viewing all articles
Browse latest Browse all 4329

女の気持ち  / シュークリーム 北九州市小倉南区・桜井恵子(主婦・71歳)/ 毎日新聞

$
0
0
夜空を彩る隅田川花火大会の花火=東京都台東区・墨田区境界の蔵前橋で2019年7月27日午後8時28分、小川昌宏撮影
2万発の大輪夜空に 東京・隅田川花火大会 

  

女の気持ち  / シュークリーム 北九州市小倉南区・桜井恵子(主婦・71歳) 
毎日新聞 2019年7月28日 東京朝刊

わが家は転勤族で、息子は小中学校の時、3度転校した。初めての転校は小学2年生の2学期、北九州から熊本へだった。親にとって一番の心配事は、やはり息子の新しい学校のことで、うまくなじめるか、とても気を使った。

「お友達はできたの?」「うん、隣の席のT君がいろいろと学校のことを教えてくれて、仲良くしてくれるよ」。帰宅した息子のうれしそうな顔にホッとする。

「今日はT君と原っぱで虫捕りの約束をしたので行ってくるね」。網と虫かごを持って飛び出していった。2時間ほどたち、息子はしょんぼりした顔で戻ってきた。虫かごの中は空っぽだ。「どうしたの?」「今までずーっと待っていたけれどT君は来なかったんだ」。今にも泣き出しそうである。「T君はきっと何か急な用事ができて来られなかったのよ。おやつにシュークリームを焼いたので一緒に食べようね」

シュークリームをぱくつきながら、息子は笑顔を取り戻し、学校での出来事を詳しく話してくれた。いじめられていたようである。T君のお母さんとはPTAで親しくしていたので、シュークリームを手土産に息子を連れてT君の家に行った。談笑しているうちにお母さんが気付いてくれ、また仲良くなれた。

出会いと別れを繰り返しながら、その都度友情を育み、試練を乗り越えてきた息子。50歳に近づいた今でもシュークリームには目がない。
  
私は転校の経験がないので、小中学校時の転入生のことが思い出されます。特に東京から私の故郷、福岡の小中学校に転校した子は大変だったでしょうね。言葉は違うし、冬の教室は寒いし、私は彼らに接してきましたけど、中学のある教諭なんか高校受験に「東京から来た者なんかに負けるなよ!」とか言ってましたね。

それが、小学校低学年なんかだと、本当に調子が狂うでしょうね。甥だったか?父に「転勤はお父さん一人で行って欲しい」なんて頼んだとか。桜井恵子さんには息子さんとの絆(=シュークリーム)があってよかったですね。私は現在72歳ですが、転勤経験がないので息子も楽だったと今思います。そう言えば1900年生まれの私の父は山のように転勤していたらしいです。私は戦争が終わって生まれたのでそれを知らないですが(笑)。どうも有難うございました。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 4329

Trending Articles