取材旅行中の台湾の航空機墜落事故で亡くなった 向田邦子さんのこと、この事故と顔と名前しかしらないのだが、月火水の三日間、この『阿修羅のごとく』が放映されている。どうも劇場みたいなところで鑑賞した上で舞台上では一作品ごとに 渡邊あゆみさんの司会で、大河ドラマ『八重の桜』の脚本を書いた山本むつみさんとお笑いタレント、漫才師、作詞家、文筆家の太田 光氏が感想を出していた。
阿修羅像のような、安珍・清姫伝説の浄瑠璃で 清姫が 蛇に変化する女の本性を描いたようなものなのか(失礼)、なんだか小さなドキドキ感が続いた。脚本家の山本むつみさんは、向田さんの脚本を絶賛し、太田 光氏は男が情けなく描かれているといったんだっけ?(笑)。ファンの方には申訳ないが約40年前の緒方拳さん:里見鷹男(次女の夫)と宇崎竜童さん: 勝又静雄(探偵)の芝居が下手に感じ、いつも同じ調子で話す佐分利信氏:竹沢恒太郎(父)の演技がいいなと思った。
水曜日のNHKBSプレミアムAM9時からと、木曜日AM0時45分からも再放送あり。
姉妹それぞれの個性と表現
主人公の4人姉妹を演じたのは、長女・綱子を 加藤治子さん、次女・巻子が 八千草薫さん、三女・滝子を いしだあゆみさん、四女・咲子が 風吹ジュンさんという顔ぶれだった。
滝子は、男っ気がまるでない生真面目な図書館司書。黒縁メガネでにこりともしない愛想の悪さ、理屈っぽさなど、華やかなイメージがあったいしだあゆみさんからは、想像もつかない役柄だったが、ご本人は自分に合わせて描かれた役はいやだと当時、語っている。「テレビは映画よりもずっと(真実)を撮られてしまう」として、少しでも素の自分が残っているとそれが見えてしまうので、「自分を洗って洗って」臨むようにしていたという。
奔放で学生のころから大もて、堅苦しい姉の滝子とはけんかばかりという咲子を演じたのは風吹ジュンさん。風吹さんは、「今、この時代の女の人」を表現したかったとのことで、衣装も「素」の状態が出せるようにと、自前のものがほとんどだったそうだ。対照的な三女と四女を演じた二人は、役作りや演技に臨む姿勢もある意味、対照的だったようだ。
ステラNHK名作座 コラム 四姉妹の本音とエゴに泣き笑い
70歳の父(佐分利信)に愛人がいると知った四姉妹。しかし、未亡人の長女綱子(加藤治子)は不倫、次女巻子は夫の浮気を疑い、三女滝子(いしだあゆみ)は男っ気もなくひがみっぽい。そして四女咲子(風吹ジュン)はボクサーと同棲中。彼女らの心にもエゴや欲望が渦を巻く。
見どころは姉妹が本音をぶつけ合うシーン。下着姿で不倫相手といるところを見つけられた綱子は、こんなときもすましている巻子に「あんたのそういうとこ、大嫌い!」と。その1分後にふたりは綱子の折れた差し歯の話で大笑い。しかし「おなかすかない?」と綱子が出したうな重が不倫相手と注文したものだと知るや、巻子は重箱をひっくり返す。一方、咲子は減量していたはずの男が女とラーメンを食べていたことを知る。あちこちでバトル勃発。四姉妹を見ていると、人は最悪の場面で、結構笑えるまぬけなことをするものなんだと実感。このリアルを書ききった向田邦子の脚本はやっぱりすごい。
平凡で幸せに見える女たちが見せる阿修羅の顔。よき母親役が多い名女優にこんな激しさがあったのかと驚く。巻子の夫は言う。「勝ち目ねえよ、男は」。おっしゃる通り! 文/ ペリー荻野 ~ NHK名作選から抜粋
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