記事/発信箱:円強と脱ガラ＝福本容子（論説室）　　毎日jp

「こえだちゃん」と思われる(笑)　　

毎日新聞　2012年06月08日　00時43分

　タカラトミーのキャラクターに「こえだちゃん」という女の子がいる。緑の国の森に住む妖精らしい。そのこえだちゃんのくりっとした黒い瞳が社内で議論になった。

　タカラトミーは昨年、アメリカの玩具大手、ＲＣ２コーポレーションを買収している。そこの販売戦略担当から、目をキラキラ派手にできないか、と注文がついた。セクシーなバービー人形の国だ。人種もいろいろ。単調な黒い目では受けないのだろう。

　　バービー人形　　

　文化が違うのだからこうした衝突は日常茶飯事だ。社長の富山幹太郎さんが米紙ウォールストリート・ジャーナルのインタビューに答えている。年間売り上げの３分の１近い５３０億円をかけＲＣ２を買った理由は、「ガラパゴス（化）を脱出したかった」。

　島国の中だけで頑張っているうち、外界の進化に取り残されて危機にひんする、の意味で使われるガラパゴス現象。島の人口が減り始めた今、飛び出していくのは宿命だけど、これがなかなか進まなかった。

　背中を押してくれたのが「強い」円だ。おなじみの「円高」だと損でつらい印象だけど、英語は「ストロング・エン」。これを追い風に、日本企業による外国企業の買収が昨年、過去最高額に達した。ロックフェラー・センターとか有名不動産を買っては騒ぎになったバブル期の実に３倍近いとか。勢いは今年も続いている。

「日本が世界を買い占め」。英誌の調査部門「エコノミスト・インテリジェンス・ユニット」（ＥＩＵ）のリポートだ。やみくもに買いあさった過去の買収ブームと今度は違うって。「円高大変」の国内報道と対照的に、日本の変身が注目されている。

　脱ガラは成功するか。違う発想の外界の人間にどう向き合うかがカギ、とＥＩＵ。「こえだちゃんの目はなぜ黒？」の声を聞けるだけでも結構な進歩。




　トヨタ、ニッサン、ホンダやシャープが人口2億4千万人と言われるインドネシアに進出するならば、玩具の世界も世界戦略なのか！

　やっぱり日本はお金持ちなんだな。だけど国内の雇用がどんどん減っていくのも事実だね。こうやって積み上げていった努力が有名な品物が出来れば、すぐ中国の模造品にかっさらわれる。ひょっとしたら、中国国内ではもう出回っているのかな？日本経済の全体が活性化していくのが一番なんだが、今からは攻めの産業以外は取り残されていくのか。


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