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駅にはそれぞれの顔がある。 / 余禄

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白地図はCraftMAP 縮小日本地図から 
  

 小父さんも自動改札化されていない上野駅を一度覗いたことがある。下の左に添付した写真の雰囲気が漂っていたな~。映画『ALWAYS 三丁目の夕日』では赤いほっぺの六ちゃん(堀北真希)が青森からの集団就職で上野駅に降り立っていたね。

 博多の出身で職場で一緒だった人が、シンガポールに勤務していた時、シンガポール空港の福岡行きの場所に行くと、みんな博多弁を話していたというのも思い出す。

 小父さんの世代からは「なんだ平成の生まれなのか!」と、ひよっこに思えていた若者たちも、もう30歳になり、「平成も遠くなりにけり」なんて言う日もすぐなんだ!(笑)。なにせ、小父さんは、平成は駆け抜けて行ったという印象だ。



駅にはそれぞれの顔がある。季節感が漂えばなおさら顔立ちがはっきりする。<上野発の夜行列車おりた時から 青森駅は雪の中 北へ帰る人の群れは誰も無口で-->。  石川さゆりさんの「津軽海峡・冬景色」。作詞は阿久悠(あく・ゆう)さんである

▲正月休みで故郷へ向かう人々の顔も駅によって異なる。昭和の歌謡界を代表する作詞家には、そう見えたようだ。「東京駅から故郷へ帰る人は東京人のまま家へ行くが、上野駅から帰郷する人は、既に上野で東京を脱ぎ捨てているかのように思えた」(著書「歌謡曲春夏秋冬」)

上野駅は東北の玄関口だった。集団就職する若者の応援歌「ああ上野駅」に歌われた乗客には、ほかの駅よりも故郷の匂いがしたのだろう。だがそれも昭和のころまでだったように感じる

▲昭和とはどんな時代だったか。阿久さんは同書でこう振り返る。「今になって語られるほどいい時代であったかどうかは疑問である。(略)それにも拘(かかわ)らず、平成の世になって昭和をいとおしく思うのは、人間のいとなみが健気(けなげ)にいじらしく存在したということであろうと思う」

平成があと16カ月で終わる。昭和と比べながら振り返ることも増えるだろう。阿久さんが見届けたのなら平成の終わりをどう詞にしただろうか

阿久さんはこうも思う。人生のあとさきを深く考えることは、白地図の上に駅と駅を鉄路で結んでいくようなものであると。昭和、平成、そして次へ。私たちの目の前には、時代という駅をつなぐ白地図もある。

毎日新聞 2018年1月3日 東京朝刊



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