絵 五十嵐晃(毎週月曜日掲載)2012.10.29
毎日新聞 2012年10月29日 東京朝刊
「石原新党」とは何か。石原慎太郎東京都知事(80)によれば、官僚支配をぶっ壊す同盟である。昨日の同志、亀井静香前国民新党代表(75)に言わせれば「上から目線の錯覚」に過ぎない。「たちあがれ日本」の園田博之幹事長(70)は「保守勢力を再結集するためのステップ」と割り切っている。
亀井と園田は、かつて、石原が主宰する自民党右派の政策集団「黎明(れいめい)の会」のメンバーだった。派閥主導、金権支配、事なかれ主義の党風を憂える同志だった。89年の総裁選で海部俊樹に挑んだ泡沫(ほうまつ)候補・石原の推薦人に名をつらねた。
亀井が「石原新党」構想をぶち上げたのは昨年11月25日。気乗り薄と見えた石原が「協力する」と歩み寄ったのが今年1月27日。石原は4月12日、「新党は白紙」と変わり、同17日(日本時間)、ワシントンで尖閣諸島購入を発表した。
尖閣国有化と、令息・石原伸晃(55)が敗れた自民党総裁選をはさんで沈黙の後、先週25日の電撃会見で自ら知事辞職と新党結成を宣言。いつの間にか亀井は去っていた。救国の模索の裏に確執があって不思議はないが、亀井の言い分を聞いておく意味はあるだろう。
クローズアップ2012:石原新党結成へ 第三極主導へ駆け引き2012年10月26日から
「あれはね、石原が橋下(徹=大阪市長)に『維新の会を全部やる』って言われて舞い上がっちゃったんだよ。『そんなこた、あるわけねーよ』って(石原に)言ったんだけどね。オレとか平沼(赳夫<たちあがれ日本>代表)の肩車に乗った新党じゃ新鮮味がないってんで、シロウト集めてバーンとやろうと思ったわけですよ」
亀井は反増税で脱原発だ。橋下も脱原発だが、石原は橋下に近づき、亀井と別れた。大阪市長の評価が分かれ目だ。亀井は財界人や俳優に呼びかけて別の新党を探っている。
園田は迷いつつ石原の側に残った。「石原さんはキワドイことばかり言うでしょうけど、路線を修正しながらやっていきますよ。少々右寄りと言われてもいい。もともと保守再編が目的でしたからね。新人発掘に力を入れたい」と園田。
「たちあがれ日本」の次世代人材育成機関「かけはし塾」の卒業生は約100人。うち政治家志望は十数人だが、石原新党に呼応し、関東一円から応募が続いているという。
石原をよく知る自民党の派閥会長の感想。「大ブームにはならんでしょう。新党は(世論調査で)支持率ゼロの『たちあがれ日本』の看板の掛け替えに過ぎない。中・韓との摩擦の中で日本人のナショナリズムを非常に刺激したが、過度のタカ派傾斜には抵抗もある」
映画/太陽の季節(1956)
作家の処女作は「自分ばかりでなく他人の運命までも支配する」と書いたのは川端康成である(短編「処女作の祟(たた)り」)。
石原のデビュー作は「太陽の季節」だ。高校の拳闘部員である主人公は「抵抗される人間だけが感じる快感」を好む。「セカンドの言葉も忘れて対角に坐(すわ)っている手強(てごわ)い相手を睨(ね)めつける時、ギラギラする喜びを感じる」人間だ。「何故もっと素直に愛することが出来ないの」と問いかけて死んだ恋人の幻に挑み、サンドバッグを夢中で殴り続けて物語は終わる。
尖閣紛争の最大の背景は、国家資本主義の矛盾と軍拡が結びついた中国の急膨張だ。「都知事さえ黙っていれば何ごともなかった」という意見には同意できない。が、最後まで挑発と破壊という運命に巻き込まれるわけにもいかない。(敬称略)(毎週月曜日掲載)
小説“太陽の季節”は青春時代に読んだが、何だかおったまげた印象だけが強く残っている。石原慎太郎氏は小説を書きながら参議員全国区にデビューという時も、突如、衆議院議員を辞めると言った時も世の中をあっと言わせたもんだ。政治評論家の岩見隆夫さんなんかに言わせれば間違いなく総理大臣を目指しているとのこと。さあて、どこまでかき混ぜれるのかね〜。こりゃー下手な日本シリーズや大相撲より面白くなるかもしれない。
第一、石原、橋下のどちらが狐でどちらが狸なのかも興味だね。お山の大将二人がずっと仲良く連携するか!?石原慎太郎氏が60代ならば小父さんも必死で応援したかも知れないが、今では野次馬に徹することにしよう。石原伸晃氏は高飛車であまり好きになれないね〜。頭が低く丁寧な対応では野田総理が群を抜いているように見えてたが、今は早く辞めてもらいたい!
そうそう、レスリングのリング上に多人数のレスラーが現れて一人づつ消えていく“政界バトルロイヤル”の始まり始まり〜!というとこかな(笑)。
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「石原新党」とは何か。石原慎太郎東京都知事(80)によれば、官僚支配をぶっ壊す同盟である。昨日の同志、亀井静香前国民新党代表(75)に言わせれば「上から目線の錯覚」に過ぎない。「たちあがれ日本」の園田博之幹事長(70)は「保守勢力を再結集するためのステップ」と割り切っている。
亀井と園田は、かつて、石原が主宰する自民党右派の政策集団「黎明(れいめい)の会」のメンバーだった。派閥主導、金権支配、事なかれ主義の党風を憂える同志だった。89年の総裁選で海部俊樹に挑んだ泡沫(ほうまつ)候補・石原の推薦人に名をつらねた。
亀井が「石原新党」構想をぶち上げたのは昨年11月25日。気乗り薄と見えた石原が「協力する」と歩み寄ったのが今年1月27日。石原は4月12日、「新党は白紙」と変わり、同17日(日本時間)、ワシントンで尖閣諸島購入を発表した。
尖閣国有化と、令息・石原伸晃(55)が敗れた自民党総裁選をはさんで沈黙の後、先週25日の電撃会見で自ら知事辞職と新党結成を宣言。いつの間にか亀井は去っていた。救国の模索の裏に確執があって不思議はないが、亀井の言い分を聞いておく意味はあるだろう。
クローズアップ2012:石原新党結成へ 第三極主導へ駆け引き2012年10月26日から
「あれはね、石原が橋下(徹=大阪市長)に『維新の会を全部やる』って言われて舞い上がっちゃったんだよ。『そんなこた、あるわけねーよ』って(石原に)言ったんだけどね。オレとか平沼(赳夫<たちあがれ日本>代表)の肩車に乗った新党じゃ新鮮味がないってんで、シロウト集めてバーンとやろうと思ったわけですよ」
亀井は反増税で脱原発だ。橋下も脱原発だが、石原は橋下に近づき、亀井と別れた。大阪市長の評価が分かれ目だ。亀井は財界人や俳優に呼びかけて別の新党を探っている。
園田は迷いつつ石原の側に残った。「石原さんはキワドイことばかり言うでしょうけど、路線を修正しながらやっていきますよ。少々右寄りと言われてもいい。もともと保守再編が目的でしたからね。新人発掘に力を入れたい」と園田。
「たちあがれ日本」の次世代人材育成機関「かけはし塾」の卒業生は約100人。うち政治家志望は十数人だが、石原新党に呼応し、関東一円から応募が続いているという。
石原をよく知る自民党の派閥会長の感想。「大ブームにはならんでしょう。新党は(世論調査で)支持率ゼロの『たちあがれ日本』の看板の掛け替えに過ぎない。中・韓との摩擦の中で日本人のナショナリズムを非常に刺激したが、過度のタカ派傾斜には抵抗もある」
映画/太陽の季節(1956)
作家の処女作は「自分ばかりでなく他人の運命までも支配する」と書いたのは川端康成である(短編「処女作の祟(たた)り」)。
石原のデビュー作は「太陽の季節」だ。高校の拳闘部員である主人公は「抵抗される人間だけが感じる快感」を好む。「セカンドの言葉も忘れて対角に坐(すわ)っている手強(てごわ)い相手を睨(ね)めつける時、ギラギラする喜びを感じる」人間だ。「何故もっと素直に愛することが出来ないの」と問いかけて死んだ恋人の幻に挑み、サンドバッグを夢中で殴り続けて物語は終わる。
尖閣紛争の最大の背景は、国家資本主義の矛盾と軍拡が結びついた中国の急膨張だ。「都知事さえ黙っていれば何ごともなかった」という意見には同意できない。が、最後まで挑発と破壊という運命に巻き込まれるわけにもいかない。(敬称略)(毎週月曜日掲載)
小説“太陽の季節”は青春時代に読んだが、何だかおったまげた印象だけが強く残っている。石原慎太郎氏は小説を書きながら参議員全国区にデビューという時も、突如、衆議院議員を辞めると言った時も世の中をあっと言わせたもんだ。政治評論家の岩見隆夫さんなんかに言わせれば間違いなく総理大臣を目指しているとのこと。さあて、どこまでかき混ぜれるのかね〜。こりゃー下手な日本シリーズや大相撲より面白くなるかもしれない。
第一、石原、橋下のどちらが狐でどちらが狸なのかも興味だね。お山の大将二人がずっと仲良く連携するか!?石原慎太郎氏が60代ならば小父さんも必死で応援したかも知れないが、今では野次馬に徹することにしよう。石原伸晃氏は高飛車であまり好きになれないね〜。頭が低く丁寧な対応では野田総理が群を抜いているように見えてたが、今は早く辞めてもらいたい!
そうそう、レスリングのリング上に多人数のレスラーが現れて一人づつ消えていく“政界バトルロイヤル”の始まり始まり〜!というとこかな(笑)。
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