人生の節目 どらく編集委員 浅井愼平さん asahi.com
「ヤンキー・スタジアムへ行ってきたよ」。
ぼくはいつものようにMと一杯やりながら、近況をつたえた。
「そりゃあ、よかった。うらやましいな」
Mはイチローのファンだから、こころからそう思ったらしく、ぼくを見つめた。
「それでどうだった」
「黒田が投げて、3点とられ、イチローはチャンスに凡打、ヒットは3の1だった」
「ああ、あの日か、4対0で負けた」
「そうだ、さすがだね、君は」
「ぼくはイチローを観て、すこしさみしかったよ。あの日に限っていえばね」
ぼくはその夜のヤンキー・スタジアムの様子を思い浮かべ、Mにさまざまな感想をしゃべった。たとえば、一緒に観ていた友人の言葉「ここではイチローも田舎のプレスリーってとこだね」とか、マリーナーズのときはファンの反応も盛り上がってなかったとか、グッズの売り場のにぎわいだとか、黒田の落ち着きや佇まい、存在感についてとか、ショーアップのうまさとか。
「その時、いろいろ感じたのだけどさ、イチローも40歳を前にして、すこし難しいところにきてるかなと思ってさ。どうやら、人生には節目があるらしくて、それぞれの職業にもよるけれど、節目というものが大切なキーだと考えさせられた。野球選手にとって三十代をどう終えるのかはとても重いテーマなのだろうとね。イチローはその節目を多分越えるだけの肉体も精神も持っていそうだけれど、心配だった」
ぼくがそんなことを話すとMはいった。
「心配しない訳ではないが、オレはイチローに限っていえば大丈夫だと思っている。君の観た試合の後のダブルヘッダーでは打ったじゃないか、その後もホームランも。やっぱり彼はすごい。オレの人生の指標だな」
「イチローは君より若いよ」
「それがまたすごいと思うよ、若い人に教わる人生があるのはいいものさ」
「そうか」
「そうだよ、そうさ」
Mはビールのグラスを口に持っていった。
「オレたちの節目はどうだった?」
「まあ、まあだろうな。大変だったのは三十代から四十代、そして四十代から五十代のときだったか」
Mはすこし遠い目をした。
「そうだよな、それにしても君は節目だと意識してたか、その時に」
ぼくはMにたずねた。
「いや、そのときは、わかってなかった。後からあの頃がオレの節目だったと気づいた。友人たちもさまざまな節目を迎えて、それぞれに変化していった。おおげさに言えば駄目になったり、飛躍したり」
「人生に節目があることは間違いないようだな」
「そしてイチローだが、40歳を前に変化がある。見事それを越えるだろうとオレは思っている。田舎のプレスリーからニューヨークのプレスリーにな」
「茶化しちゃ、いけないよ」
「いやあ、茶化してるんじゃないさ、一種の余裕だよ」
「真剣なか」
「そうそう真剣なジョークさ。誰の人生にも節目があるから、それを乗り切る意思と努力が必要だということさ。それが凡庸な人間には解らない」
Mの目が和らいだ。
「さて、オレたちはこれからどうする」
「もう節目はないさ、風に吹かれて揺れるだけ」
Mとぼくはグラスのビールを飲み干して、笑った。
プロフィール 浅井 愼平 (あさい・しんぺい)
1937年、愛知県生まれ。写真家。65年日本広告写真家協会賞受賞。66年6月のビートルズ来日時、主催者により日本側のカメラマンに選ばれ、ホテルの中まで密着取材する機会を得る。以後広告写真のほか、雑誌取材、エッセー、映画監督、コメンテーターなど幅広い仕事をこなす。写真集「WINDS 風の絵葉書」「HOBO」、エッセー集「気分はビートルズ」ほか著書も多数。 asahi.com どらくから
羨ましいな〜。今BS1ではヤンキースのイチローも観ることが出来るけど、スタジアムの雰囲気の中で彼の一挙一動はこの目で見たいものだ。そう言えば、東京の知人が夫婦でヤンキースのキャップを被ってスタジアムで観戦している写真をネットに載せていたな。あれはイチローの移籍前か!
人生の節目ね〜、確かにあるけど通過中はあまり自覚がないな〜。「もう節目はないさ、風に吹かれて揺れるだけ」。はっはっは、ただ揺れていちゃー取り返しのつかないこともあるね。しかし、毎週日曜日にテレビで見る浅井 愼平さんって小父さんより10歳も上だとは知らなかった。若いね〜。
よし、今度東京の知人に会ったら、ビールを飲みながら「ヤンキーススタジアムとは何か?」聞いてみよう!(笑)
メモ:万歩計 909歩、歩行距離 0.4km、消費カロリー 16kcal、燃焼脂肪量 0.8g
今日もプールは空いた時間を選んで、順調に600m泳いだ。今日はちゃんとカウント出来た。少しづつは水蹴りは進歩していると思う。今日も甘く銀メダルにしておこう(笑)
ためしに、万歩計を計測したら1000歩歩いていない!。これも驚きだ。(家の中の歩きまわりは除外だ)
今日も訪問 ありがとうございます。
良かったら 下記のバーナーをクリック よろしくお願いします。
にほんブログ村
「ヤンキー・スタジアムへ行ってきたよ」。
ぼくはいつものようにMと一杯やりながら、近況をつたえた。
「そりゃあ、よかった。うらやましいな」
Mはイチローのファンだから、こころからそう思ったらしく、ぼくを見つめた。
「それでどうだった」
「黒田が投げて、3点とられ、イチローはチャンスに凡打、ヒットは3の1だった」
「ああ、あの日か、4対0で負けた」
「そうだ、さすがだね、君は」
「ぼくはイチローを観て、すこしさみしかったよ。あの日に限っていえばね」
ぼくはその夜のヤンキー・スタジアムの様子を思い浮かべ、Mにさまざまな感想をしゃべった。たとえば、一緒に観ていた友人の言葉「ここではイチローも田舎のプレスリーってとこだね」とか、マリーナーズのときはファンの反応も盛り上がってなかったとか、グッズの売り場のにぎわいだとか、黒田の落ち着きや佇まい、存在感についてとか、ショーアップのうまさとか。
「その時、いろいろ感じたのだけどさ、イチローも40歳を前にして、すこし難しいところにきてるかなと思ってさ。どうやら、人生には節目があるらしくて、それぞれの職業にもよるけれど、節目というものが大切なキーだと考えさせられた。野球選手にとって三十代をどう終えるのかはとても重いテーマなのだろうとね。イチローはその節目を多分越えるだけの肉体も精神も持っていそうだけれど、心配だった」
ぼくがそんなことを話すとMはいった。
「心配しない訳ではないが、オレはイチローに限っていえば大丈夫だと思っている。君の観た試合の後のダブルヘッダーでは打ったじゃないか、その後もホームランも。やっぱり彼はすごい。オレの人生の指標だな」
「イチローは君より若いよ」
「それがまたすごいと思うよ、若い人に教わる人生があるのはいいものさ」
「そうか」
「そうだよ、そうさ」
Mはビールのグラスを口に持っていった。
「オレたちの節目はどうだった?」
「まあ、まあだろうな。大変だったのは三十代から四十代、そして四十代から五十代のときだったか」
Mはすこし遠い目をした。
「そうだよな、それにしても君は節目だと意識してたか、その時に」
ぼくはMにたずねた。
「いや、そのときは、わかってなかった。後からあの頃がオレの節目だったと気づいた。友人たちもさまざまな節目を迎えて、それぞれに変化していった。おおげさに言えば駄目になったり、飛躍したり」
「人生に節目があることは間違いないようだな」
「そしてイチローだが、40歳を前に変化がある。見事それを越えるだろうとオレは思っている。田舎のプレスリーからニューヨークのプレスリーにな」
「茶化しちゃ、いけないよ」
「いやあ、茶化してるんじゃないさ、一種の余裕だよ」
「真剣なか」
「そうそう真剣なジョークさ。誰の人生にも節目があるから、それを乗り切る意思と努力が必要だということさ。それが凡庸な人間には解らない」
Mの目が和らいだ。
「さて、オレたちはこれからどうする」
「もう節目はないさ、風に吹かれて揺れるだけ」
Mとぼくはグラスのビールを飲み干して、笑った。
プロフィール 浅井 愼平 (あさい・しんぺい)
1937年、愛知県生まれ。写真家。65年日本広告写真家協会賞受賞。66年6月のビートルズ来日時、主催者により日本側のカメラマンに選ばれ、ホテルの中まで密着取材する機会を得る。以後広告写真のほか、雑誌取材、エッセー、映画監督、コメンテーターなど幅広い仕事をこなす。写真集「WINDS 風の絵葉書」「HOBO」、エッセー集「気分はビートルズ」ほか著書も多数。 asahi.com どらくから
羨ましいな〜。今BS1ではヤンキースのイチローも観ることが出来るけど、スタジアムの雰囲気の中で彼の一挙一動はこの目で見たいものだ。そう言えば、東京の知人が夫婦でヤンキースのキャップを被ってスタジアムで観戦している写真をネットに載せていたな。あれはイチローの移籍前か!
人生の節目ね〜、確かにあるけど通過中はあまり自覚がないな〜。「もう節目はないさ、風に吹かれて揺れるだけ」。はっはっは、ただ揺れていちゃー取り返しのつかないこともあるね。しかし、毎週日曜日にテレビで見る浅井 愼平さんって小父さんより10歳も上だとは知らなかった。若いね〜。
よし、今度東京の知人に会ったら、ビールを飲みながら「ヤンキーススタジアムとは何か?」聞いてみよう!(笑)
メモ:万歩計 909歩、歩行距離 0.4km、消費カロリー 16kcal、燃焼脂肪量 0.8g
今日もプールは空いた時間を選んで、順調に600m泳いだ。今日はちゃんとカウント出来た。少しづつは水蹴りは進歩していると思う。今日も甘く銀メダルにしておこう(笑)
ためしに、万歩計を計測したら1000歩歩いていない!。これも驚きだ。(家の中の歩きまわりは除外だ)
今日も訪問 ありがとうございます。
良かったら 下記のバーナーをクリック よろしくお願いします。
にほんブログ村