第1回のリンク先を読むと「崩壊の危機を救ったのは1本3000円のビール」なんて書いてある。まだ通読していないけれどアイデアで一山当てた人もいるんだね。もちろん味もいいんだろうけど。面白い!味わってみたくなった。
東洋経済 ONLINE 5月4日(水) 夏目 幸明 :経済ジャーナリスト
「よなよなエール」「インドの青鬼」「水曜日のネコ」……連載第1回にも書いたように、クラフトビールメーカー・ヤッホーブルーイングの製品は、ネーミングや缶のデザインも特徴的だ。当然、このセンスなくして同社の急成長はありえなかった。短期連載の最終回は、同社の“ネーミングに関する思考回路”を、井手直行社長の新刊『ぷしゅ よなよなエールがお世話になります』の構成を担当した経済ジャーナリストの夏目幸明氏が解説する。
「しっくりくるネーミング」は罠だった
「実を言うと『よなよなエール』って、当初『エールナンバーワン』といった名前も有力候補に挙げられていたんです。当時社長だった星野(星野リゾート代表)らが“エールビールのナンバーワンブランドにしたい”といった思いを込めたんですが、今思えばイマイチしっくりきませんよね」(ヤッホーブルーイング・井手直行社長)
ビールの名として、いかにも「ありそう」だ。だからこそ、インパクトがない。そんな中、星野氏は夜を徹して再考し、朝方にピンとくるフレーズを思いついた。
「よなよな(=毎晩毎晩)、日本になかったエールビールを飲んでもらえる文化を根付かせたい――」
だから『よなよなエール』。このあとすぐ「理屈にも合っている」と考えた。日本語を使うことで“メイドインジャパンのビール”というこだわりが表現できる。また「よな・よな」と、同じフレーズを2回繰り返すと、ユーザーの記憶にも残りやすい。
井手氏はこう振り返る。
「しかし、奇異な印象の名前ではありました。製品が発売された1997年当時、まだビール市場には大手メーカーさんのビールしかなかったんです。今となれば『エールナンバーワン』より『よなよなエール』のほうが魅力的なネーミングだと感じるのですが……」
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