小父さんは医者とのやり取りが下手だと思う。黙って聞いていて、「はいはい」と返事して帰ってくることが多い。自分の症状をメモして行って手渡すのは効果的だよね。うちのかみさんは非常に病や薬のことに詳しいが、どうもインターネットを見すぎる傾向があるように思う。
最近は、テレビで総合診療の専門の大学教授や、救急診療に携わる、その方面で著名な医師が出題者となり、実際に「ドクターG」(General)が関わった症例の再現ドラマの後、その時点で考えられる病名について現役若手医師の「研修医」、アシスタント医師の書記、そしてゲストのタレントも加えた症例検討会形式番組「ドクターG」も欠かさず観ているので医者みたいなことをよく言う。
でも医者の判断通りに養生することも大事だと思うんだよね。間違うことがあっても!
毎日新聞2015年12月12日 東京朝刊
冬本番が到来し、寒さから体調を崩しやすくなる。医者の診断を上手に受ければ、回復もスムーズに進む。どのようなかかり方が望ましいのだろうか。識者2人に聞いた。
●初診の前に整理
体調を崩して病院に駆け込んだ際、医師の診察を受けている時間は、病気になってから治るまでの経過でみると、わずかでしかない。
「初診では、いつから、どんな症状があるのかまとめておいてもらえると助かります。メモを作っておいて、そのまま渡してくれてもいいですよ」。そう語るのは、患者とのコミュニケーション充実に取り組む飯塚病院(福岡県飯塚市)で副院長・総合診療科部長を務める井村洋さん。症状が1カ月以上続いている場合は、特に有効になる。
「既に別の病院にかかったのなら、その病院名や診断の内容だけでなく、発行された検査の詳細と結果が分かる文書や、お薬手帳も役立ちます。大きな流れを把握しないと、より確度の高い診断ができません」
まれに出る程度の軽い腰痛や腹痛、胸痛などは、発症してから2カ月ほどたって病院を訪れる人が珍しくないという。井村さんは代表的なケースとして、ゴルフでコースに出てプレー中に起きることがある狭心症の患者を挙げる。
「気になっている症状が、ずっと続いているのかどうか。時々の場合なら、どんな状況で起きやすいかを整理しておいて」としたうえで、「発症した当初の説明にこだわり過ぎると、現在までの症状の変化が医師に伝わりにくいので気をつけてほしい」とアドバイスする。
初期の段階での診断が確実とはいえない。一見して風邪のように思えても、治りかけで別の病気と断定できることもある。
井村さんは「暫定的な診断を出すようにしていますが、完全な予見は不可能です」とし、予想される今後の展開の説明を医師から受け、どうなったら再診を受けるべきなのか確認することを勧める。「その上で、例えば風邪なら3〜5日でピークを迎えます。体のつらさが取れるころから鼻水やせきが出始めて、1、2週間で治まっていくこともある。こうしたシナリオから大きく外れるようなら、改めて診断を受けた方がいいでしょう」
●ネットは「参考」で
最近はインターネットで当てはまりそうな病名を調べてから来院する患者が多い。井村さんは「予備知識があるのは助かりますが、ネットでは書き手が自分なりの解釈を載せていることが多いようです。占いのような参考情報くらいの感覚で十分です」と話し、こう続ける。
「ただし、もし間違っている情報や医学的に正しくない見立てを基にしていても、自分の不安を解消するために納得できるまで聞いてみて。急にせきが出てきた人は、肺がんを懸念していてもなかなか言い出せなかったりします。間違いを気にせず、何でも医師にぶつけてほしいですね」
●妄信せず慎重に
もちろん医師も万能ではない。患者側も、思わぬ治療トラブルを避ける自己防衛策を知っておきたい。
医師で医療ジャーナリストの富家孝さんは「手術をすると言われたら、その所見につながった検査結果などの資料を出してもらい、セカンドオピニオンだけでなく、さらに3人ほどの医師に話を聞くべきだ」という。
その上で「認定医や専門医も玉石混交だし、とにかく『この医師なら大丈夫』と妄信してはいけません。病院ではなく医師個人のホームページを中心に情報を集め、どの病院にかかるか慎重に見極めた方がいいでしょう」と呼びかけている。【鳴海崇】
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