余録:浅間山は活火山、富士は休火山、箱根山は死火山と…
毎日新聞 2014年09月29日 00時34分(最終更新 09月29日 00時34分)
浅間山は活火山、富士は休火山、箱根山は死火山と昔学校で習った覚えがある。休火山とは噴火の歴史的記録があるが現在は活動をしていない山、死火山とは噴火の記録も活動もない火山を指した
▲その死火山と思われていた御嶽山に火山活動の兆候が表れたのは1968年という。それが79年10月28日にはとうとう噴火、この時小紙は「有史以来初めて」と報じた。「信仰の山 突然の怒り」とは社会面の見出しで、死火山と信じていた地元の驚きを伝えている
▲その後休火山や死火山の分類がなくなったのは、この時の御嶽山噴火がきっかけという。地質調査の進歩で数万年に1度噴火する火山もあることが分かり、歴史記録での分類はあまり意味がないとされたのだ。人の歴史など火山にはほんのつかの間のことにすぎない
▲ならばなぜ紅葉の盛期、それも好天の土曜の昼、山頂に最も多くの登山者が集まるその時を狙ったように噴火を始めたのか。物言わぬ山を責めても仕方ないが、今はその非情をなじりたい。思わず耳をふさぎたくなった山頂付近での30人以上の遭難者確認の報である
▲その朝、登山者の心を奪っただろう美しい秋の聖山は荒涼とした灰色に一変した。降り注ぐ噴石、視界を奪う火山灰、熱気や雷、危うく難を逃れた人々が「地獄」と呼んだ噴火の光景だ。なおも噴煙は続き、今は遭難者の救出にあたる人々の無事も祈らねばならない
▲かつては死火山と思われた御嶽山も、近年の知見では過去1万年に4度の大噴火を起こしていたことが分かっている。火山列島の住民ならば、何とか究めたいその非情な不意打ちを察知する術だ。
・・・無念というか、テレビを見るたびに胸が詰まる思いだ。救助隊の方々も命がけの作業だろう。でも・・・