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女の気持ち:縁のある家族 山口県岩国市・金徳志津江 / 毎日jp

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 写真は山崎努さん    

  


女の気持ち:縁のある家族 山口県岩国市・金徳志津江(会社員・55歳)

毎日新聞 2014年09月04日 西部朝刊

 「お母さん、おじいちゃんとは縁がなかったのだと思う」

 自分がひどい言葉を発していると分かっていながら、私は娘に父の話をする。

 嫁ぐ日の前日、父は私に言った。

 「明日からは、旦那さんがどんな理不尽なことをしても言っても、口答えせず、黙って旦那さんについて行くんよ」

 「そんな結婚なんか、私、するつもりないわ」

 嫁ぐ娘らしくない言葉を私は父に投げつけた。そう、あなたはなんにも分かっていなかった。

 女は黙って夫について行けばいい。女は勉強なんかできなくていい。愛嬌(あいきょう)があって炊事洗濯ができればいい。あなたが女の子に望むこと全てが嫌いだった。あなたの顔色ばかりうかがう家族の中で、私は本音をさらせずに生きてきた。あなたと母の争いを見たくなくて、将来の夢さえ口にせず、あなたと母の言う通りのよい子を演じていた。

 去年の9月、夕食の下ごしらえでゴボウのささがきをしていた時、父が死んだと知らされた。誰にもみとられることなくあなたは遺影になっていた。「けがをした」「病気になった」と、家を出てからもあなたは私に連絡をよこしていたのに、最後は連絡もしないで。

 お父ちゃん、あなたが作った家族とは全然違う家族を私は作ったよ。きちんと本音をさらせてけんかできる家族を作ったよ。そう、きちんと縁のある家族を。

  

  そういえば「男は度胸で女は愛嬌」なんて言葉もあったな〜。昔の日本はそれが普通だったかも知れない。聞いたことはないが私の父も同じような考え方だったのかな?

 金徳志津江さんの、亡くなられた父上への独特の哀悼の言葉が印象的です。寂しくなられましたね、ご冥福をお祈り申し上げます。


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