1958年 丹下健三/丹下健三計画研究室/香川県庁東館
「一日一言」/建築が都市を豊かに 2014/06/03 09:13四国新聞
日本の都市は「歴史を消し去る歴史」の上にしか築かれていない―。建築史の第一人者で2月に他界した鈴木博之さんの指摘が腹に落ちた。香川の都市もそうだ。文化や歴史を感じるものは江戸以前のものが大半。近代建築は経済合理性の名のもとに次々と失われた。だから「日本の都市はいつまでたっても厚みのない建設途上の顔しかもてない」。
木造、戦争、地震という事情を差し引いても海外と彼我の差は大きい。しかし香川にも都市の顔になれる建築がある。建築家の丹下健三さんの代表作である県庁東館。
完成は東京タワーと同じ1958年。海外にも評価は知れわたり、県は文化的価値を踏まえ、耐震化と保存活用を決めている。
「丹下ブランド」が理由のすべてではない。当時の金子正則知事が望んだ「民主主義時代にふさわしい県庁舎」を形にしたのが東館。香川の一時代の精神を宿すからこそ保存する意義がある。
県が設置した専門家会議は、可能な限り外観を変えずに済む基礎免震工法による耐震化が望ましいとした。工費はほかの工法よりかさみ40億円ともいう。
「それなら新築の方がいい」や「そこまでやらなくても」と考える向きもあるかもしれない。だが鈴木さんの言葉を借りるなら「都市に建つ近代の建築遺産が未来の都市を豊かにする」。
東館の精神を次の時代に継承することはどんな最新の庁舎より価値があるはずだし、理想的な保存方法でさらに評価を増す、そんな耐震化を待ちたい。(V)
いいね!(笑)。小父さんも建設会社に勤めていたこともあってビルのスクラップアンドビルド(工場設備や組織を廃棄して能率的なものに立て直したり、老朽化した店舗や小規模店舗を閉店し、大規模の新店舗に置き換えるなどなど)は常識だというような考えでいた。
ところがshinkaiさんのブログ「イタリア・絵に描ける珠玉の町・村、そしてもろもろ!」を訪問するたびにちょっと考えが変ってきた。日本の木造建築や鉄筋コンクリート造と石作りの古いイタリアとの建物の違いはあるが、shinkaiさんのブログに見る役所や美術館・博物館からアパートまでもが中世の建物だったりすることに感嘆した。
古い東京や大阪の街が生まれ変るのも時代の流れかとは思うものの、日本の文化をどんどん捨て去って行っているのも事実だろう。2020年の東京オリンピック に使う新国立競技場だって、既存の競技場の改造を建築家が提案したニュースもあったが大切なこ考え方だと思う。
建築物や設計に詳しいわけではないが、この香川県庁東館はお金をかけてでも残す価値があると思う。
「一日一言」/建築が都市を豊かに 2014/06/03 09:13四国新聞
日本の都市は「歴史を消し去る歴史」の上にしか築かれていない―。建築史の第一人者で2月に他界した鈴木博之さんの指摘が腹に落ちた。香川の都市もそうだ。文化や歴史を感じるものは江戸以前のものが大半。近代建築は経済合理性の名のもとに次々と失われた。だから「日本の都市はいつまでたっても厚みのない建設途上の顔しかもてない」。
木造、戦争、地震という事情を差し引いても海外と彼我の差は大きい。しかし香川にも都市の顔になれる建築がある。建築家の丹下健三さんの代表作である県庁東館。
完成は東京タワーと同じ1958年。海外にも評価は知れわたり、県は文化的価値を踏まえ、耐震化と保存活用を決めている。
「丹下ブランド」が理由のすべてではない。当時の金子正則知事が望んだ「民主主義時代にふさわしい県庁舎」を形にしたのが東館。香川の一時代の精神を宿すからこそ保存する意義がある。
県が設置した専門家会議は、可能な限り外観を変えずに済む基礎免震工法による耐震化が望ましいとした。工費はほかの工法よりかさみ40億円ともいう。
「それなら新築の方がいい」や「そこまでやらなくても」と考える向きもあるかもしれない。だが鈴木さんの言葉を借りるなら「都市に建つ近代の建築遺産が未来の都市を豊かにする」。
東館の精神を次の時代に継承することはどんな最新の庁舎より価値があるはずだし、理想的な保存方法でさらに評価を増す、そんな耐震化を待ちたい。(V)
いいね!(笑)。小父さんも建設会社に勤めていたこともあってビルのスクラップアンドビルド(工場設備や組織を廃棄して能率的なものに立て直したり、老朽化した店舗や小規模店舗を閉店し、大規模の新店舗に置き換えるなどなど)は常識だというような考えでいた。
ところがshinkaiさんのブログ「イタリア・絵に描ける珠玉の町・村、そしてもろもろ!」を訪問するたびにちょっと考えが変ってきた。日本の木造建築や鉄筋コンクリート造と石作りの古いイタリアとの建物の違いはあるが、shinkaiさんのブログに見る役所や美術館・博物館からアパートまでもが中世の建物だったりすることに感嘆した。
古い東京や大阪の街が生まれ変るのも時代の流れかとは思うものの、日本の文化をどんどん捨て去って行っているのも事実だろう。2020年の東京オリンピック に使う新国立競技場だって、既存の競技場の改造を建築家が提案したニュースもあったが大切なこ考え方だと思う。
建築物や設計に詳しいわけではないが、この香川県庁東館はお金をかけてでも残す価値があると思う。