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本 / 『ローマ人物語 3』 勝者の混迷   塩野七生 著

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 ある貴族の青年像(カピトリーノ美術館蔵)   
 あるとき私が、ローマにあるカピトリーノ美術館の中を見てまわっていたとき、一つの大理石像の前で足が止まった。紀元をはさんで前後一世紀頃の作、とされた若者の頭部を刻んだ像である。それを眺めているうちに、ティベリウス・グラックスはこのような顔つきをしていたのではなかったろうか、と思いはじめたのだった。  (本文から)


  
目次
        序章
        第一章 グラックス兄弟の時代
            (紀元前133年〜前120年) 中国・漢の武帝即位 141年、日本・弥生時代
        第二章 マリウススッラの時代
            (紀元前120年〜前78年) 中国・武帝の匈奴攻撃が始まる 127年、司馬遷『史記』完成91又は87年諸説あり)、武帝死去 87年、日本・弥生時代
        第三章 ポンペウスの時代
            (紀元前78年〜前63年) 日本・弥生時代


紀元全130年当時の地中海世界    
  

(巻頭言)    
 いかなる強大国といえども、長期にわたって安泰でありつづけることはできない。国外には敵をもたなくっなっても、国内に敵をもつようになる。
 外からの敵は寄せ付けない頑健そのものの肉体でも、身体の内部の疾患に、肉体の成長に従いけなかったがゆえの内臓疾患に、苦しまされることがあるのと似ている。
                 −ハンニバルー   (リヴィウス著『ローマ史』より)

  

 う〜ん、何とかかんとか『ローマ人物語 3』に目は通したが、正に日本で言えば戦国時代の様相、群雄みだれての戦いに古代の大ローマ帝国が一朝一夕に成立していないことだけは分かった(笑)。地名、国名、人の名、しかもこの時代の固有名詞が誰が誰か分からなくなる。

 でも日本の弥生時代に民主主主義の原型みたいな制度が機能していたのには驚くばかりだ。カークダグラスが主演した映画『スパルタカス』が第三章で出てきたのには嬉しくなった!塩野先生はスパルタクスとの表記だが、彼を頭に74人の剣闘士が集団脱走してヴェスビオ火山に逃げ込み、ローマ政府は最初3000人の討伐隊を差し向けたが簡単にスパルタクスに破られたとか。やがて大農園で働く奴隷たちもそれに加わりローマは今度は正規軍を二個師団送るがまた負けてしまう。スパルタスの集団は7万人までふくれあがったが、最後には8個軍団を託されたクラックスが撃退したそうだ。
   カークダグラスの『スパルタカス』  
 映画が出来るはずだよね。スパルタクスしか書かなかったら塩野先生にしかられそうだが、やっと『ローマ人物語 4』のユリウス・カエサル(英語読みはジュリアス・シーザー)に進むことが出来るのが楽しみだ。

 そうだそうだ、塩野先生が巻頭言に記してあるハンニバルの言葉こそこの本のテーマだ。      


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