7月5日付・外来語
2013/07/05 09:25 四国新聞社
NHKの番組で外来語が乱用され、理解できずに精神的苦痛を受けているとして、岐阜県の71歳の男性が慰謝料を求める訴訟を起こした。
訴状で例示されたのは「リスク」「トラブル」「ケア」「コンシェルジュ」「イブニング」など。これらの単語が、そのまま流通できないほど分かりにくいかどうかは議論があるだろう。しかし、NHKだけでなく、他の放送局や新聞、雑誌でも、難解な外来語や専門用語が頻出しているのは事実だ。
最近では「サステイナブル」(持続可能)や「コンプライアンス」(法令順守)などは、語義をかっこで補っても、正確な内容がどれほど理解されているか疑問が残る。
新聞や放送の記者たちは、分かりやすい言葉、簡明な表現で、事実を伝えるように訓練されている。それなのにどうしてこんなことになるのか。理由の一つとして、「平易」という要求の重さを、送り手の側があまり意識していないということがあるだろう。
報道によれば、訴訟を起こした男性は「年配者にも分かるような放送をしてほしい」と話し、「知る権利」や幸福追求権を侵害していると訴えている。彼にとっては、難解さは憲法上の権利を損ないかねないほど、重大な障害なのだ。
言語学者のクレンペラーは、専門用語を使うと「選別された人間として特別な共同体に属しているのだ、という心の温まるような感じを持つようになる」と述べる。「特別な共同体」を超えて伝わる表現になっているか。自戒したい。(K)
小父さんも馬鹿みたいにNHKとNHKプレミアムにNHKBS1をよく観ている。ニュースなどで頻繁に字幕の訂正を終わりに断りが入るのには呆れている。外来語の導入は確かに難しいだろう。何か数回聞くと頭に入る単語と何回聞いても理解できないというか、ニュアンスが掴めない単語とがあるように思う。
例えばベースボールを野球と名付けたのは、正岡子規らしいが、このような名訳はなかなか出来ないだろうし、特にコンピュター用語などを日本語に直すと、かえって理解出来ない言葉になってしまうと思う。
ちなみに上のコラムに上った言葉では「コンシェルジュ」、「コンプライアンス」なんて何回も聞いているが、未だにピンと来ないし、「サステイナブル」なんて初めて聞いた。日本語が氾濫していく今日、この71歳の男性の訴訟を機会にみんなで考えなおしてみるのも大事なことだろう。ツイッターちゃらフェイスブックなんて言っても日本語の注釈だけではどんな世界なのか不明だよね!
念のために、上にあげられいる5つの言葉は下に検索してみた(笑)。
「リスク」・・・危険。不測可能性。資産やインフラ、プライバシーなど、価値を有するモノの一部または全部を失い、結果として損失を出す可能性ほか。
「トラブル」・・・1 もめごと。いざこざ。紛争。「金銭上の―を起こす」2 故障。不調。「エンジン―」
「ケア」・・・広い意味では、世話や配慮、気配り、手入れ、メンテナンスなどをすること。乳幼児の世話からペット、衣服の管理、髪や肌の手入れまで、すべてをケアと呼ぶ。狭義では、看護、介護のことをいう。
「コンシェルジュ」・・・本来「集合住宅(アパルトマン)の管理人」という程度の意しか持たない単語である。そこから解釈を広げ、ホテルの宿泊客のあらゆる要望、案内に対応する「総合世話係」というような職務を担う人の職名として使われている。
「イブニング」・・・1日の後半(午後遅く日が落ちてから夜まで)