写真は川崎市公認の地域情報サイト「まいぷれ」からお借りした
毎日新聞 2013年06月11日 大阪夕刊
ヤクザ、ハラキリ、ニンジャ……。今春まで特派員で滞在したイランで、こんな日本語を何度も耳にした。映画やインターネットから仕入れたものが大半だが、異質な単語があった。「オヤカタ」
1990年前後、隣国イラクとの戦争で疲弊したイランから、多くの男たちが出稼ぎで海を渡った。首都テヘランで助手を務めてくれたレザさん(46)もその一人。早くに父親を亡くし、家族を支えるため東京都内の溶接工場で4年間働いた。オヤカタは仕事を丁寧に教えてくれ、家族のように接してくれた。しかし、ある朝、出勤すると突然怒鳴られた。「もう来なくていい。国に帰れ」
後日、レザさんはオヤカタに呼び出され、あの朝出勤時間に3分遅れたことを叱られた。「約束は絶対に守れ。信頼される立派な人間になれ」。異国で知る愛情と厳しさ。復職を許されて以降は無遅刻。時にオヤカタと徹夜で働いた。
豊かな現在のイラン。若者たちはトヨタ車やソニー製品にあこがれるが、レザさんは首を振る。「日本の本当の強さ、素晴らしさはトヨタやソニーじゃない。町工場のオヤカタたちさ」【鵜塚健】
イラン人のレザさんの「オヤカタたち」という言葉が光っているね。これこそが働き者の日本人の姿を現している気がする。トヨタもソニーも間違いなくこんな人たちが支えている。
池井戸 潤 著『下町ロケット 』 はまさに、そんな町工場の日本を描いていた。
遠くイランからもこんな出稼ぎの若者がいたのか。世界は狭いね。そしてこのレザさんに今の日本の仕組みを励まされた気がする。いや、主人公は彼を指導したオヤカタだった!
毎日新聞 2013年06月11日 大阪夕刊
ヤクザ、ハラキリ、ニンジャ……。今春まで特派員で滞在したイランで、こんな日本語を何度も耳にした。映画やインターネットから仕入れたものが大半だが、異質な単語があった。「オヤカタ」
1990年前後、隣国イラクとの戦争で疲弊したイランから、多くの男たちが出稼ぎで海を渡った。首都テヘランで助手を務めてくれたレザさん(46)もその一人。早くに父親を亡くし、家族を支えるため東京都内の溶接工場で4年間働いた。オヤカタは仕事を丁寧に教えてくれ、家族のように接してくれた。しかし、ある朝、出勤すると突然怒鳴られた。「もう来なくていい。国に帰れ」
後日、レザさんはオヤカタに呼び出され、あの朝出勤時間に3分遅れたことを叱られた。「約束は絶対に守れ。信頼される立派な人間になれ」。異国で知る愛情と厳しさ。復職を許されて以降は無遅刻。時にオヤカタと徹夜で働いた。
豊かな現在のイラン。若者たちはトヨタ車やソニー製品にあこがれるが、レザさんは首を振る。「日本の本当の強さ、素晴らしさはトヨタやソニーじゃない。町工場のオヤカタたちさ」【鵜塚健】
イラン人のレザさんの「オヤカタたち」という言葉が光っているね。これこそが働き者の日本人の姿を現している気がする。トヨタもソニーも間違いなくこんな人たちが支えている。
池井戸 潤 著『下町ロケット 』 はまさに、そんな町工場の日本を描いていた。
遠くイランからもこんな出稼ぎの若者がいたのか。世界は狭いね。そしてこのレザさんに今の日本の仕組みを励まされた気がする。いや、主人公は彼を指導したオヤカタだった!