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社説  /  パリ五輪が開幕へ 分断の世に平和の発信を / 毎日新聞

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パリ五輪の開会式を目前に控え、柵が設置され、入場規制するトロカデロ広場。奥はエッフェル塔=パリで2024年7月22日、平川義之撮影

毎日新聞 2024/7/26 東京朝刊

 欧州や中東で戦争が続く中、パリ・オリンピックが幕を開ける。「平和の祭典」としての存在意義が問われる大会となる。

 近代オリンピックの創始者、ピエール・ド・クーベルタン男爵の故郷、パリで開かれる100年ぶりの五輪だ。

開会式に向けて行われたセーヌ川周辺の交通規制で、通行できないことを伝える警察官=パリで2024年7月18日午前8時44分、長澤凜太郎撮影 

 クーベルタンは19世紀末、戦争で敗れた母国の若者を勇気づけるには、スポーツによる青少年教育が必要と考えた。

 相手を尊重し合うフェアプレーの精神が、世界の人々を結びつけるとの理想を抱き、スポーツによる平和運動を提唱した。それが五輪精神の原点である。

 しかし、ロシアによるウクライナ侵攻は2年半近くに及び、パレスチナ自治区ガザ地区はイスラエル軍の攻撃にさらされている。故事にならった「五輪休戦」の決議が国連総会で採択されたが、争いが収まる気配はない。

 戦争は大会運営にも影を落とす。ロシアは同盟国ベラルーシとともに出場を認められていない。積極的に侵攻を支持していないことなどを条件とする「中立選手」が個人資格で出場するが、ウクライナは反発している。

 一方、イスラエルは参加が認められた。ロシアと異なる対応を取る国際オリンピック委員会(IOC)は「二重基準」と批判され、パレスチナからは「直ちに排除すべきだ」との声が上がる。

 大会にはアフガニスタンやシリアなど11カ国の出身者でつくる「難民選手団」も参加する。難民が1億人以上にのぼる世界の窮状を映し出している。

 五輪は政治に翻弄(ほんろう)されてきた。戦前はナチスの宣伝に利用され、冷戦期は東西両陣営による大会のボイコットが分断を広げた。

 近年は肥大化が進み、商業主義も拡大する一方だ。IOCの財政は放映権料収入で支えられ、視聴率を意識した運営になっている。

 今回はセーヌ川で開会式のパレードが行われ、エッフェル塔などパリの観光名所が数多く競技会場となっている。放送や配信での見栄えを重視した設営だろう。

 だが、華やかさを演出するだけでなく、アスリートが国境を超え、五輪の理想を体現する大会にしてほしい。それが分断の世を動かす平和のメッセージになるはずだ。



 私はスポーツ音痴だが、パリ五輪が平穏な内に成功裏に収めることを希求します。東京2020では天皇陛下による開会宣言の冒頭で総理や都知事の起立遅れもあったけど(笑)。
 

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