ハノイ会談はなぜ失敗したのか 米朝首脳の緊迫のやりとりが判明 抜粋
(上記をくりっくすると全文が読めます)
NHK 解説委員室 時論公論 2024年02月16日 (金) 出石 直 解説委員
今となってはにわかに信じられないことですが、北朝鮮が核実験や弾道ミサイルの発射を中断してアメリカとの対話に乗り出していた時期がありました。キム・ジョンウン委員長とトランプ大統領との2回目の首脳会談が物別れに終わり、あっけなく吹き飛んでしまいました。当時のトランプ政権高官の証言などによってその理由が次第に明らかになってきました。
【幻に終わった合意文書】
関係者によるとこの4点(上の青の帯)については概ね双方が合意していたということです。
問題は5つ目の柱、▽ 北朝鮮による非核化と制裁の解除(下のオレンジの帯)でした。
【トランプ政権内の対立】
国務省のビーガン特別代表ら実務者グループは、北朝鮮との対話を通じて段階的な非核化を実現する立場、小さな合意を目指した。合意文書の草案はこうした考えに沿って作成。
ホワイトハウスのボルトン大統領補佐官ら強硬派は、完全な非核化が実現するまでは制裁の手を緩めず圧力をかけ続けるべき、それができなければ交渉は決裂してもよいという立場。
初日の会談でキム委員長は「アメリカが経済制裁を完全に解除すれば、ニョンビョンにある核施設を解体する」と申し出ました。
すでにアメリカ政府は、ニョンビョンの他にも核施設があることを把握していた。トランプ大統領はキム委員長の提案を即座に撥ねた。
17回にわたってトランプ大統領にインタビューをしたジャーナリストの
ボブ・ウッドワード氏はこの時の2人の生々しいやりとりを次のように記しています。
こうして2日間に及んだ協議は物別れに終わり。その後、北朝鮮は中断していた弾道ミサイルの発射を再開、核・ミサイル開発を加速。
【なぜ決裂したのか】
交渉の経緯に詳しい早稲田大学大学院の李鍾元(リー・ジョンウォン)教授は、ハノイ会談に臨んだ両首脳の思惑の違いが、交渉が決裂した要因だと分析。
キム委員長がニョンビョンの核施設の廃棄と引き換えに制裁の解除を望んでいたのに対し、トランプ大統領は小さな合意ではなく、当時、取り沙汰されていた自身のスキャンダルを吹き飛ばすようなインパクトのある結果を望んでいた。
2004年から2010年にかけて7回も北朝鮮を訪れニョンビョンの核施設も視察したこともあるアメリカの核科学者ジークフリート・ヘッカー博士は最近出版した著書の中で、ハノイ会談についてこのように指摘。
「北朝鮮の核開発の脅威を取り除く絶好の機会を失ってしまった。もしあの時、北朝鮮の提案を受け入れていれば、ニョンビョンでの核開発は停止され、核開発の実態を把握することもできたはずだ」
ハノイ会談が決裂してからもうすぐ5年、キム委員長の妹のキム・ヨジョン氏は15日、個人的見解と断りながらも国営の朝鮮中央通信を通じてこのような談話を発表。
もちろんその意図や思惑を慎重に見極める必要があります。
「拉致・核・ミサイルを包括的に解決する」というのが日本政府の一貫した方針です。
ただ数少ない対話のチャンスを逃せば、北朝鮮の暴走を許してしまうということを、私たちはハノイでの失敗の教訓から学びました。
北朝鮮の核・ミサイルの脅威は日に日に増しています。北朝鮮を対話の場に引き戻すために、何らかのアクションを起こす時が来ているのではないでしょうか。
なんだか、トランプ氏にキム・ジョンウン氏共々、外交と国内政治を勘違いしている印象を受けるね。もしトランプ大統領が誕生しても同じテーブルに着くことはないだろう!
歴史って実に簡単なボタンの掛け違いから生まれるのかな?さて岸田総理が核・ミサイルを解決することが出来ないとしても拉致被害者問題の糸口でも引き出せたならば見直すのだが、その前に総理の座から降ろされるのかな?
トランプ氏とキム・ジョンウン氏はよく似てる気もする。
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NHK 解説委員室 時論公論 2024年02月16日 (金) 出石 直 解説委員
今となってはにわかに信じられないことですが、北朝鮮が核実験や弾道ミサイルの発射を中断してアメリカとの対話に乗り出していた時期がありました。キム・ジョンウン委員長とトランプ大統領との2回目の首脳会談が物別れに終わり、あっけなく吹き飛んでしまいました。当時のトランプ政権高官の証言などによってその理由が次第に明らかになってきました。
【幻に終わった合意文書】
関係者によるとこの4点(上の青の帯)については概ね双方が合意していたということです。
問題は5つ目の柱、▽ 北朝鮮による非核化と制裁の解除(下のオレンジの帯)でした。
【トランプ政権内の対立】
国務省のビーガン特別代表ら実務者グループは、北朝鮮との対話を通じて段階的な非核化を実現する立場、小さな合意を目指した。合意文書の草案はこうした考えに沿って作成。
ホワイトハウスのボルトン大統領補佐官ら強硬派は、完全な非核化が実現するまでは制裁の手を緩めず圧力をかけ続けるべき、それができなければ交渉は決裂してもよいという立場。
初日の会談でキム委員長は「アメリカが経済制裁を完全に解除すれば、ニョンビョンにある核施設を解体する」と申し出ました。
すでにアメリカ政府は、ニョンビョンの他にも核施設があることを把握していた。トランプ大統領はキム委員長の提案を即座に撥ねた。
17回にわたってトランプ大統領にインタビューをしたジャーナリストの
ボブ・ウッドワード氏はこの時の2人の生々しいやりとりを次のように記しています。
こうして2日間に及んだ協議は物別れに終わり。その後、北朝鮮は中断していた弾道ミサイルの発射を再開、核・ミサイル開発を加速。
【なぜ決裂したのか】
交渉の経緯に詳しい早稲田大学大学院の李鍾元(リー・ジョンウォン)教授は、ハノイ会談に臨んだ両首脳の思惑の違いが、交渉が決裂した要因だと分析。
キム委員長がニョンビョンの核施設の廃棄と引き換えに制裁の解除を望んでいたのに対し、トランプ大統領は小さな合意ではなく、当時、取り沙汰されていた自身のスキャンダルを吹き飛ばすようなインパクトのある結果を望んでいた。
2004年から2010年にかけて7回も北朝鮮を訪れニョンビョンの核施設も視察したこともあるアメリカの核科学者ジークフリート・ヘッカー博士は最近出版した著書の中で、ハノイ会談についてこのように指摘。
「北朝鮮の核開発の脅威を取り除く絶好の機会を失ってしまった。もしあの時、北朝鮮の提案を受け入れていれば、ニョンビョンでの核開発は停止され、核開発の実態を把握することもできたはずだ」
ハノイ会談が決裂してからもうすぐ5年、キム委員長の妹のキム・ヨジョン氏は15日、個人的見解と断りながらも国営の朝鮮中央通信を通じてこのような談話を発表。
もちろんその意図や思惑を慎重に見極める必要があります。
「拉致・核・ミサイルを包括的に解決する」というのが日本政府の一貫した方針です。
ただ数少ない対話のチャンスを逃せば、北朝鮮の暴走を許してしまうということを、私たちはハノイでの失敗の教訓から学びました。
北朝鮮の核・ミサイルの脅威は日に日に増しています。北朝鮮を対話の場に引き戻すために、何らかのアクションを起こす時が来ているのではないでしょうか。
なんだか、トランプ氏にキム・ジョンウン氏共々、外交と国内政治を勘違いしている印象を受けるね。もしトランプ大統領が誕生しても同じテーブルに着くことはないだろう!
歴史って実に簡単なボタンの掛け違いから生まれるのかな?さて岸田総理が核・ミサイルを解決することが出来ないとしても拉致被害者問題の糸口でも引き出せたならば見直すのだが、その前に総理の座から降ろされるのかな?
トランプ氏とキム・ジョンウン氏はよく似てる気もする。