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金言 中南米とイスラエル=小倉孝保 / 毎日新聞

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欧州総局長、外信部長などを歴任した小倉孝保論説委員のコラム。

毎日新聞 2023/11/17 東京朝刊 有料記事

<kin-gon>

 イスラエルの最大都市テルアビブ近郊に、中南米の元外交官の名を冠した通りがある。グアテマラのガルシア・グラナドスとウルグアイのロドリゲス・ファブレガットの2人である。


テルアビブ・・・ウイキペディアから

 英国の要請で1947年5月、国連にパレスチナ調査委員会が設置されると、2人はそのメンバーとしてユダヤ人国家建設を強力に支持した。

 ガルシア・グラナドスは駐イスラエル初代大使に就いた。建国をこんなふうに正当化している。「2000年にわたって屈辱を与えられてきた人々に対する人類の賠償である」

 ロドリゲス・ファブレガットは子どもの頃、ドレフュス事件を知り、ユダヤ人に同情を抱いた。1894年にユダヤ系仏軍人が「ドイツのスパイだ」とぬれぎぬを着せられた事件だ。

 2人に限らず、第二次大戦後の中南米にはユダヤ人国家建設を歓迎する人が多かった。米政府の方針に影響されただけではない。

 カトリック信者が多く、アラブのイスラム教徒よりもユダヤ人への親近感があった。独立国家の建設を抑圧下に置かれた民族による解放運動と考えた。

 国際政治の舞台では当時、カリブ海の島国を含む中南米諸国の影響力が強かった。アジアや中東、アフリカの国々に比べて独立が早く、国連の原加盟51カ国のうち20カ国を占めた。

 パレスチナにユダヤとアラブの2国家を作る国連総会の分割決議(47年)では、賛成33カ国のうち中南米からは13カ国に上った。この地域の支持なしにイスラエル建国は難しかった。

 70年の時が過ぎ、かつての支持は今、落胆に変わった。国際法に反してユダヤ人入植地が拡大されてきたことに加え、悪化の一途をたどるパレスチナ自治区での人道状況が弱者弾圧と映っている。

 反米政権の増加も背景にあるだろう。今回の戦闘でボリビアがイスラエルとの国交断絶を表明し、チリコロンビアは大使を召還した。約18万人と中南米最多のユダヤ系住民を抱えるアルゼンチンも非難声明を出した。

 国連総会が先日、「人道的休戦」を求める決議を採決した際、イスラエルに同調したのは14カ国にとどまり、中南米ではグアテマラパラグアイの2カ国だけだった。ウルグアイでさえ「棄権」し、イスラエルと距離を置いた。

 13カ国から2カ国へ。国連総会でイスラエルを支持した中南米諸国の極端な減少が、グローバルサウス(新興・途上国)の不満を如実に表している。(論説委員)

 今ガザで何が起こっているのか南米の国々ほかにリンクをつけてみてぼんやりと歴史を感じることができた。国連の拒否権を持つ、ロシア・米国・中国を大国と呼ぶのかどうか知らないが、まあ世界を自国の論理によって支配し続けていくのだろうね。GNPが4位に転落しそうな我が国はどこに行くのだろう。

 毎日新聞の小倉孝保さん、新聞やテレビを見て行く手がかりが少し出来、有難うございました。

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