なるほドリ・ワイド 神宮外苑再開発=回答・一宮俊介
毎日新聞 2023/7/2 東京朝刊 有料記事
<気になる>
明治神宮外苑地区(東京都)で神宮球場などを建て替え、新たな高層ビルをつくる再開発を巡り、自然環境への悪影響を心配する声が広がっています。計画の見直しを求める署名は、これまでに約20万人分が集まりました。そもそも東京のど真ん中にある豊かな緑はどのようにしてつくられ、守られてきたのでしょうか。再開発の何が問題で、これからどうなるのでしょうか。
◆どんな計画なの?
球場建て直し、超高層ビル整備
なるほドリ 明治神宮ってどんなところなの?
記者 明治天皇とその妻の昭憲皇太后(しょうけんこうたいごう)を祭る神社で、1920(大正9)年に建てられました。JR山手線の代々木駅と原宿駅を結ぶ線路の外側に、本殿など神社の主な施設が集まっています。明治神宮というと普通はこのあたりを指し、「内苑」とも呼ばれています。今回、再開発計画が進む「外苑」は、内苑から東に約1キロ離れた山手線の内側にあります。
Q 外苑はどんな場所なの?
A 明治天皇が成し遂げたことを後に伝えようと、国民が寄付や献木をしたり、ボランティアをしたりして造営され、26年に完成しました。「体力の向上や心身を鍛える場」「文化芸術の普及の拠点」として整備され、まず24年に陸上競技場、26年に聖徳記念絵画館や神宮球場などができました。秩父宮ラグビー場が完成したのは戦後の47年です。
陸上競技場は建て替えられて58年に国立競技場になり、64年にアジアで初めて開かれた東京オリンピックのメイン会場として使われました。神宮球場はプロ野球・ヤクルトスワローズの本拠地で、東京六大学野球の試合も行われています。
Q 長い歴史があるんだね。なぜ再開発することになったの?
A きっかけは、東京都が2010年12月に神宮外苑周辺をスポーツ施設が集まる拠点にする方針を発表したことです。都はさらに18年に、20年に開く予定だった東京五輪・パラリンピックが終わった後を見すえて、より具体的にまちづくりの考え方をまとめました。20年には土地を所有する明治神宮などが再開発計画を都に提案し、認められました。
外苑はもともと、景観を守るために開発を制限する「風致地区」や「都市計画公園」に指定され、建物の高さを15メートル以下にすることが決められていました。しかし、東京五輪を前に今の国立競技場が建つ場所では75メートルまで緩和されました。再開発計画地全体では、190メートルまで高い建物を建ててよいことになりました。
Q 再開発は誰が計画して、いつ完成するの?
A 再開発するのは、三井不動産▽明治神宮▽秩父宮ラグビー場を管理運営する日本スポーツ振興センター(JSC)▽伊藤忠商事――の4者です。
計画では、17・5ヘクタールの敷地内で、現在の神宮球場とラグビー場を入れ替えて新しく建て直すほか、商業施設が入る超高層ビル2棟が整備されます。3月22日に工事が始まり、神宮第2球場の解体作業が進められています。計画は35年度に完了する予定で、総事業費は約3490億円です。
◆なぜ今、注目されているの?
故坂本龍一さん、樹木伐採懸念
Q 計画のどこが問題になっているの?
A 自然環境への悪い影響が心配されています。再開発を進める事業者は計画外の土地も含めて高さ3メートル以上の樹木計743本を切る一方、他の場所に植え替えたり、新たに植樹したりして今の1904本から1998本に増やして「緑の面積を増やす」としています。しかし、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関の国内組織「日本イコモス国内委員会」は計画に問題があるとして、伐採本数を2本に抑える独自案を示しています。
また同委員会は、神宮球場の建て替え予定地が外苑のシンボルである146本のイチョウ並木まで最も近い場所で約8メートルしか離れていないため、イチョウの根が傷つく心配もあると指摘しています。
Q 10年以上前に始まった計画がなぜ今こんなに注目されているの?
A 22年ごろから日本イコモス国内委員会などが計画に相次いで反対を表明するようになりました。今年3月に亡くなった世界的音楽家の坂本龍一さんが死の直前、東京都の小池百合子知事らに計画の見直しを求める手紙を送っており、大きく報じられたことで関心を持った人も多いかもしれません。
Q 再開発はこれからどうなるの?
A 日本イコモスの指摘を受けた都の審議会は4~5月、事業者から改めて説明を聞いた上で、事業者が作成した環境影響評価書について調査をやり直す必要はないと結論づけました。再開発は今後も計画通りに進む見通しです。事業者は17~19日に近隣住民向けの説明会を開くとしています。スポーツや文化の拠点として多くの人たちが長年親しんできた場所です。事業者も都も丁寧に都民の意見を聞き、説明していく必要があるでしょう。(東京社会部)<グラフィック・堀内まりえ>
ふ~ん、こんな計画と反対運動があるのか!なにせ私は学生時代に一人で明治神宮の初詣でに行き、2007年には長兄と夜、表参道を歩いた程度しか知らない部外者なのでこの再開発にへの意見は差し控えておきますが、世界の街をたくさん観て来た長兄が神戸を一緒に歩いていた時「東京には空がないよ」と話していたこと、又別の機会には「パリの街は綺麗だね」と言っていたことが妙に頭に残っているが、最近その意味がなんとなく解って来た。
新宿に高層ビルが建ち始めた頃は、もの珍しさもあって「あこがれ」もあったが、現在はポツン、ポツンとしか建ってなかった品川にも高層ビルが林立しているし、山手線沿線は皆そうなって行っているのじゃーないのかな?日本にはパリの街のような地域を作る発想はないのだろうか。野球場の周りにビルを三つも建てたら、みんなビルの窓から野球を見るよ!(笑)
毎日新聞 2023/7/2 東京朝刊 有料記事
<気になる>
明治神宮外苑地区(東京都)で神宮球場などを建て替え、新たな高層ビルをつくる再開発を巡り、自然環境への悪影響を心配する声が広がっています。計画の見直しを求める署名は、これまでに約20万人分が集まりました。そもそも東京のど真ん中にある豊かな緑はどのようにしてつくられ、守られてきたのでしょうか。再開発の何が問題で、これからどうなるのでしょうか。
◆どんな計画なの?
球場建て直し、超高層ビル整備
なるほドリ 明治神宮ってどんなところなの?
記者 明治天皇とその妻の昭憲皇太后(しょうけんこうたいごう)を祭る神社で、1920(大正9)年に建てられました。JR山手線の代々木駅と原宿駅を結ぶ線路の外側に、本殿など神社の主な施設が集まっています。明治神宮というと普通はこのあたりを指し、「内苑」とも呼ばれています。今回、再開発計画が進む「外苑」は、内苑から東に約1キロ離れた山手線の内側にあります。
Q 外苑はどんな場所なの?
A 明治天皇が成し遂げたことを後に伝えようと、国民が寄付や献木をしたり、ボランティアをしたりして造営され、26年に完成しました。「体力の向上や心身を鍛える場」「文化芸術の普及の拠点」として整備され、まず24年に陸上競技場、26年に聖徳記念絵画館や神宮球場などができました。秩父宮ラグビー場が完成したのは戦後の47年です。
陸上競技場は建て替えられて58年に国立競技場になり、64年にアジアで初めて開かれた東京オリンピックのメイン会場として使われました。神宮球場はプロ野球・ヤクルトスワローズの本拠地で、東京六大学野球の試合も行われています。
Q 長い歴史があるんだね。なぜ再開発することになったの?
A きっかけは、東京都が2010年12月に神宮外苑周辺をスポーツ施設が集まる拠点にする方針を発表したことです。都はさらに18年に、20年に開く予定だった東京五輪・パラリンピックが終わった後を見すえて、より具体的にまちづくりの考え方をまとめました。20年には土地を所有する明治神宮などが再開発計画を都に提案し、認められました。
外苑はもともと、景観を守るために開発を制限する「風致地区」や「都市計画公園」に指定され、建物の高さを15メートル以下にすることが決められていました。しかし、東京五輪を前に今の国立競技場が建つ場所では75メートルまで緩和されました。再開発計画地全体では、190メートルまで高い建物を建ててよいことになりました。
Q 再開発は誰が計画して、いつ完成するの?
A 再開発するのは、三井不動産▽明治神宮▽秩父宮ラグビー場を管理運営する日本スポーツ振興センター(JSC)▽伊藤忠商事――の4者です。
計画では、17・5ヘクタールの敷地内で、現在の神宮球場とラグビー場を入れ替えて新しく建て直すほか、商業施設が入る超高層ビル2棟が整備されます。3月22日に工事が始まり、神宮第2球場の解体作業が進められています。計画は35年度に完了する予定で、総事業費は約3490億円です。
◆なぜ今、注目されているの?
故坂本龍一さん、樹木伐採懸念
Q 計画のどこが問題になっているの?
A 自然環境への悪い影響が心配されています。再開発を進める事業者は計画外の土地も含めて高さ3メートル以上の樹木計743本を切る一方、他の場所に植え替えたり、新たに植樹したりして今の1904本から1998本に増やして「緑の面積を増やす」としています。しかし、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関の国内組織「日本イコモス国内委員会」は計画に問題があるとして、伐採本数を2本に抑える独自案を示しています。
また同委員会は、神宮球場の建て替え予定地が外苑のシンボルである146本のイチョウ並木まで最も近い場所で約8メートルしか離れていないため、イチョウの根が傷つく心配もあると指摘しています。
Q 10年以上前に始まった計画がなぜ今こんなに注目されているの?
A 22年ごろから日本イコモス国内委員会などが計画に相次いで反対を表明するようになりました。今年3月に亡くなった世界的音楽家の坂本龍一さんが死の直前、東京都の小池百合子知事らに計画の見直しを求める手紙を送っており、大きく報じられたことで関心を持った人も多いかもしれません。
Q 再開発はこれからどうなるの?
A 日本イコモスの指摘を受けた都の審議会は4~5月、事業者から改めて説明を聞いた上で、事業者が作成した環境影響評価書について調査をやり直す必要はないと結論づけました。再開発は今後も計画通りに進む見通しです。事業者は17~19日に近隣住民向けの説明会を開くとしています。スポーツや文化の拠点として多くの人たちが長年親しんできた場所です。事業者も都も丁寧に都民の意見を聞き、説明していく必要があるでしょう。(東京社会部)<グラフィック・堀内まりえ>
ふ~ん、こんな計画と反対運動があるのか!なにせ私は学生時代に一人で明治神宮の初詣でに行き、2007年には長兄と夜、表参道を歩いた程度しか知らない部外者なのでこの再開発にへの意見は差し控えておきますが、世界の街をたくさん観て来た長兄が神戸を一緒に歩いていた時「東京には空がないよ」と話していたこと、又別の機会には「パリの街は綺麗だね」と言っていたことが妙に頭に残っているが、最近その意味がなんとなく解って来た。
新宿に高層ビルが建ち始めた頃は、もの珍しさもあって「あこがれ」もあったが、現在はポツン、ポツンとしか建ってなかった品川にも高層ビルが林立しているし、山手線沿線は皆そうなって行っているのじゃーないのかな?日本にはパリの街のような地域を作る発想はないのだろうか。野球場の周りにビルを三つも建てたら、みんなビルの窓から野球を見るよ!(笑)