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風知草   自民「1強」さらに?=山田孝男 / 毎日新聞

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絵・五十嵐晃

毎日新聞 2023/5/1 東京朝刊 有料記事
 
 4月の選挙は日本維新の会の躍進が話題だった。
 その勢いが政界に波乱を巻き起こすという観測しきりだが、事実は逆だと政治学者の中北浩爾(こうじ)・中央大教授(54)が言っている。自民「1強」状態はむしろ強まるだろう――と(朝日新聞4月25日朝刊)。

 なぜか。「自公政権とは何か」(ちくま新書)  「日本共産党」(中公新書)の著者であり、今春、一橋大から中央大に移った中北を訪ね、聞いてみた。

  ◇

 統一地方選と衆参5補選の勝者は維新だった。奈良で県知事を、和歌山で衆院議員を生みだし、地方議員を選挙前の約400人から、非改選の現職を含め774人へ増やした。

 自民党は意外な敗戦、苦戦も目についたが、全体としては強かった。

 敗者は、立憲民主→衆参3補選で公認候補が全敗▽公明→地方議員選で過去最多の12人が落選▽共産→地方議員が選挙前より135人(全体の1割)減少――の各党だった。

 中北によれば、この結果をもたらしたものは自民党の<多元化>である。<官邸1強>の安倍→菅体制が終わり、派閥の協調と官僚依存を特徴とする岸田文雄政権が定着した。

自民党はどう多元化したか。党内には三つの潮流があると中北は見る。

 (1)小泉純一郎、菅義偉、河野太郎――という系譜に特徴的なネオリベラリズム(新自由主義)

 (2)安倍晋三に象徴され、雑誌「Hanada」「WiLL」が声援する右派

 (3)強力な信条や主張がなく、党や官僚から持ち上がってきた政策を粛々とこなす岸田政権の主流派

 ――である。

     ◇

 このうち(1)新自由主義と(2)右派が後景へ去り、(3)岸田が前面に出た結果、立憲と共産を結びつけた<反安倍><反安保法制>の野党共闘は失速した。

 野党共闘と距離を置いてきた維新が今回、独り勝ちした。その維新は自民党の分裂を誘い、保守勢力の再編を狙う――と言われている。だが、過去2度の下野に懲りた自民党は容易に分裂しないだろう。

 自民党と公明党の離反も考えにくい。公明には政権を離れる理由がない。集票力600万~700万(衆院比例)。自民側から見ても、公明の協力がなければ選挙に勝てない。

 つまるところ、夏から秋にあるとウワサされる衆院解散・総選挙で維新が議席を伸ばすにせよ、自公政権は安泰だろう。維新を含む野党は<巨星・自民>の周りに浮かぶ衛星であり、政権交代はない……。

 以上が中北の見立てである。なるほど、と思う。

     ◇

 それにつけても岸田政権の緩さが気になる。

 よくも悪くも、安倍政権には特定の政策目標を達成しようという強い政治意思があった。ハングリーな家臣団が脇を固め、危機管理に集中していた。

 長期政権とはそういうものだと思ってきた目で見ると、岸田政権の安定は不思議である。岸田は強い政治意思を感じさせない。側近はエリートぞろいだが、和気あいあいとしている。

 国政補選も地方選も投票率が低迷した。首長選や議員選で戦後最低を更新した地域も少なくない。

 世論調査で、政党支持の上位は自民党と「支持政党なし」が各3割前後。無党派を引きつける政治家が彗星(すいせい)のように現れ、投票率が上がれば、景色はガラリと変わる。(敬称略)=毎週月曜日に掲載

 今回の統一地方選と衆参5補選がどんな結果に終わったのかがよく分った。「支持政党なし」の私の仲間が清き一票を投じに行っても、そうそう国会に変化はなかったか。ただ女性議員が増えたことは何らかの色合いが変わるのかな?

 私の総理への不満は国会でも、記者会見でもエリート官僚が草稿したであろう原稿を、ただただ読み上げられていることだ。

 このほど三菱商事㈱から㈱ローソン代表取締役社長兼CEO経て、サントリーホールディングス㈱代表取締役社長で、経済同友会代表幹事に就任した新浪 剛史(にいなみ たけし)さんの会見を聞いていたが、記者の複数の質問に真っすぐ前を向き、力強く答えられていたのをテレビで見て、こんな総理大臣が誕生してくれたらな~なんて思ったものだ(笑)。もっとも総理大臣の仕事と経済同友会代表幹事役割は全く違うものだとは百も承知だが。

 毎日新聞 山田孝男特別編集委員さん、有難うございました。

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