大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域整備、いわゆる大阪IR基本構想
毎日新聞(サンデー毎日記事)2023/4/25 05:00 有料記事
「カジノ」なるものを初めて見たのは、多分1980年代前半の頃。政治記者時代、当時の安倍晋太郎外相に同行、全斗煥(チョン・ドゥファン)大統領との日韓会談を取材するためソウルに行った時である。宿泊したホテルの最上階にカジノがあり、外務省の職員に誘われ恐る恐る覗(のぞ)いてみたら……。閑古鳥(かんこどり)が鳴いていた。
当時から「日本にもカジノがあったら経済効果が期待できる!」との意見もあったが、外国人観光客で韓国カジノはいっぱい!との話は「聞くと見るとは大違い」だった。
ただ現在も、韓国で1カ所だけ大繁盛しているカジノが存在する。
江原(カンウォン)ランドにはゴルフ場、スキー場、展示場、会議場などが揃(そろ)っていて、日本政府が今目指しているIR(統合型リゾート)のお手本のような場所。7000人収容のカジノがある。実は、ここだけが韓国で唯一、自国民が入ることができるカジノなのだ。
この街に行けば、異常な光景に遭遇する。街には質屋が並んでいる。人々は乗ってきた車や時計を質に入れて賭け金に換え、安宿に泊まり込んで連日、カジノに通う。純粋の外国人旅行者なんていない。
博打(ばくち)というものは「胴元」だけが儲(もう)けるのだから、人々はいつか「文無し」になる。家庭崩壊、破産、自殺……。カジノ地獄である。
このあたりは、かつて炭鉱の町。90年代の廃鉱で追い詰められ、地域再生戦略としてカジノ誘致を決めたのだが、どうやらこの計画は裏目に出てしまったように見える。
さて、統一地方選の前半戦で、大阪維新の会が大阪府知事と大阪市長のダブル選挙に圧勝。「この機」を逃さず、政府は「維新」が推進してくれる「大阪・夢洲(ゆめしま)地区特定複合観光施設区域整備計画」なるものを認定した。大阪にカジノが生まれるのだ。
はっきり言わせてもらうが、日本にカジノは必要はない。競馬、競輪、競艇、オート、それにパチンコまである日本はもともと「世界最悪のギャンブル依存症大国」。厚労省研究班の推定で約320万人が「博打病」になっている。
こんな中で、なぜカジノが必要なのか?
安倍晋三元首相は同盟国アメリカにトランプ政権が生まれた時、ウン十万円のゴルフ用品を手土産に、ニューヨークの金満ビルを訪ねたのだが、その時トランプ大統領は「カジノの規制緩和が必要だ」と〝感想〟を述べた。トランプ氏は元々カジノの経営者。トランプによる、トランプのためのカジノ合法化?だった。
冷静に考えてくれ! わざわざ日本にカジノをしに来る外国人はいない(カジノは約140カ国で設置されている)。となれば、夢洲カジノは「自国民が利用する博打場」になるだろう。
それでいいのか?
まき・たろう
1944年生まれ。毎日新聞に入社後、社会部、政治部を経て『サンデー毎日』編集長に。宇野宗佑首相の女性醜聞やオウム真理教問題を取り上げる。現在、毎日新聞客員編集委員。ブログに「二代目・日本魁新聞社」がある
大阪府民ではないので詳しいことは知らないが、選挙でもカジノ反対が叫ばれて維新がこれで負けるかと思いきやそうはならなかった。大阪の先輩も「カジノなんかいらんのや!」と言っていたが・・・。
取って付けたように国際会議場も併設する予定のようだ。ある人が言っていたが地方都市は空港と国際会議場を持ちたがる。だけど採算がとれているその両者は僅かだと。
その夢洲地区特定複合観光施設とやらは、2029年開業予定なのか。私は元気だったら82歳か。それ以降は大阪には近寄らいないでおこう。その歳で「博打病」にでもなったら困るから(爆)
毎日新聞(サンデー毎日記事)2023/4/25 05:00 有料記事
「カジノ」なるものを初めて見たのは、多分1980年代前半の頃。政治記者時代、当時の安倍晋太郎外相に同行、全斗煥(チョン・ドゥファン)大統領との日韓会談を取材するためソウルに行った時である。宿泊したホテルの最上階にカジノがあり、外務省の職員に誘われ恐る恐る覗(のぞ)いてみたら……。閑古鳥(かんこどり)が鳴いていた。
当時から「日本にもカジノがあったら経済効果が期待できる!」との意見もあったが、外国人観光客で韓国カジノはいっぱい!との話は「聞くと見るとは大違い」だった。
ただ現在も、韓国で1カ所だけ大繁盛しているカジノが存在する。
江原(カンウォン)ランドにはゴルフ場、スキー場、展示場、会議場などが揃(そろ)っていて、日本政府が今目指しているIR(統合型リゾート)のお手本のような場所。7000人収容のカジノがある。実は、ここだけが韓国で唯一、自国民が入ることができるカジノなのだ。
この街に行けば、異常な光景に遭遇する。街には質屋が並んでいる。人々は乗ってきた車や時計を質に入れて賭け金に換え、安宿に泊まり込んで連日、カジノに通う。純粋の外国人旅行者なんていない。
博打(ばくち)というものは「胴元」だけが儲(もう)けるのだから、人々はいつか「文無し」になる。家庭崩壊、破産、自殺……。カジノ地獄である。
このあたりは、かつて炭鉱の町。90年代の廃鉱で追い詰められ、地域再生戦略としてカジノ誘致を決めたのだが、どうやらこの計画は裏目に出てしまったように見える。
さて、統一地方選の前半戦で、大阪維新の会が大阪府知事と大阪市長のダブル選挙に圧勝。「この機」を逃さず、政府は「維新」が推進してくれる「大阪・夢洲(ゆめしま)地区特定複合観光施設区域整備計画」なるものを認定した。大阪にカジノが生まれるのだ。
はっきり言わせてもらうが、日本にカジノは必要はない。競馬、競輪、競艇、オート、それにパチンコまである日本はもともと「世界最悪のギャンブル依存症大国」。厚労省研究班の推定で約320万人が「博打病」になっている。
こんな中で、なぜカジノが必要なのか?
安倍晋三元首相は同盟国アメリカにトランプ政権が生まれた時、ウン十万円のゴルフ用品を手土産に、ニューヨークの金満ビルを訪ねたのだが、その時トランプ大統領は「カジノの規制緩和が必要だ」と〝感想〟を述べた。トランプ氏は元々カジノの経営者。トランプによる、トランプのためのカジノ合法化?だった。
冷静に考えてくれ! わざわざ日本にカジノをしに来る外国人はいない(カジノは約140カ国で設置されている)。となれば、夢洲カジノは「自国民が利用する博打場」になるだろう。
それでいいのか?
まき・たろう
1944年生まれ。毎日新聞に入社後、社会部、政治部を経て『サンデー毎日』編集長に。宇野宗佑首相の女性醜聞やオウム真理教問題を取り上げる。現在、毎日新聞客員編集委員。ブログに「二代目・日本魁新聞社」がある
大阪府民ではないので詳しいことは知らないが、選挙でもカジノ反対が叫ばれて維新がこれで負けるかと思いきやそうはならなかった。大阪の先輩も「カジノなんかいらんのや!」と言っていたが・・・。
取って付けたように国際会議場も併設する予定のようだ。ある人が言っていたが地方都市は空港と国際会議場を持ちたがる。だけど採算がとれているその両者は僅かだと。
その夢洲地区特定複合観光施設とやらは、2029年開業予定なのか。私は元気だったら82歳か。それ以降は大阪には近寄らいないでおこう。その歳で「博打病」にでもなったら困るから(爆)