毎日新聞 2008年11月28日 東京夕刊
中日の落合博満監督という人は、建前嫌いの人だ、とつくづく感じた。「球界は一枚岩じゃない。争っているんだから」と語ったそうだ。そりゃそうだな、と思うが、本音を口に出すところがすごい。
ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の代表候補選手に挙げられていた中日の5選手が、全員辞退し、事情を聴きにいった報道陣の前で話した。辞退はあくまで選手の意思で、球団も監督も指示したわけではない、とも説明したという。
ただ、5人が偶然に同じ考えに至ったとは、考えにくい。指示した、とまでは言わないが、「やめておいたらどうか」といった示唆があったか、あるいは監督の考えを選手が察した、と見る方が自然だろう。
だとしても、私は落合監督を批判する気にならない。本音で言えば、チームの主力を出場させたくない、と考える監督はほかにもいる、と思うのだ。
オーナー会議でも実行委員会でも、建前では、12球団はWBCへの“全面協力”で一致していた。しかし本音は違う。前回のWBCでも“全面協力”のはずだったが、コーチを務めた大島康徳さんはブログで「直接的ではないにしろ、暗に『チームとして協力しない』という姿勢を取っている球団だって、1球団だけではありませんでした」と書いている。
同じく“全面協力”の北京五輪では、出場選手のうち何人かは故障を悪化させた。ペナントの行方にも明らかに響いた。今度はさらに時期が悪い。開幕直前の3月の開催では、故障したときのダメージがより大きい。
国際大会は盛り上がる。野球の発展のためには、必要なイベントだ。五輪からも除外されたからなおさらだ。そう思うが、落合監督の「選手にも生活権がある」という言葉にも、いまの状況では、うなずかざるをえない。
長い道のりだが、WBCがサッカーのワールドカップのように、選手が目標とする大会、建前ではなく本音でも出たい大会にするしかないのではないか。そのためには、少なくとも3月開催の見直しと、大リーグ中心の運営の改善は、早急の課題だろう。
前回監督の王貞治さんが「今度の(加藤良三)コミッショナーは、アメリカと話ができる。言いなりにはならない」と話したことがある。前駐米大使のコミッショナーが、得意の外交手腕を発揮して、期待に応えてくれることを望むばかりだ。(専門編集委員)
去年のWBC後の故障者はどうだったのだろう。WBC優勝の陰で目立たなかったのでないのだろうか。北京オリンピック後の阪神新井、ソフトバンク川崎の故障は目立ったな。惨敗がおまけについてきた。WBCが、サッカーのワールドカップほどの歴史も権威もないからか。この中日の全員辞退で星野氏の苦言も出ていたな。何かケチがつき始めるとWBC連覇でもしない限りケチはとまらない気がする。
過去のブログ(2008年11月)をめくっていたら、上記が出できた。なんでもエンゼルス・大谷 25日登板→31日開幕 ネビン監督が明言 準決勝以降は打者専念かというニュースまで出たよ。スポーツコラムの冨重圭以子さん(故人)の記事にも重なるところがあるね。
侍ジャパンの栗山英樹監督が、エンゼルスと連絡取り合っていたというのもうなづける。やはり、現在もサッカーのワールドカップのような大会にはなっていないんだね。だけども私は観ていて盛り上がっているというか、日本全体にも明るい話題を提供しているのも事実だと思うのだが。