毎日新聞 2023/2/22 東京夕刊 有料記事
ここにも政権のほころびが見え始めたと言っていい。
岸田文雄首相が掲げる「子ども予算の倍増」をめぐって、政府の中が混乱している。
発端は首相自身の国会答弁だ。
首相は昨年来、「子ども予算を将来的に倍増する」と繰り返してきたが、何を基準に倍にするかは明確にしてこなかった。そこで15日の衆院予算委員会で野党側がただすと、首相はこう答えた。
「家族関係社会支出は2020年度の段階でGDP(国内総生産)比2%を実現している。それをさらに倍増しようではないかと申し上げている」
政府内で調整ができていない中での答弁だった。関係者の間には驚きの声が広がったという。
重要なのは、何を基準にするかで、額が変わってくることだ。
「異次元の少子化対策」に触れた岸田文雄首相の年頭記者会見=三重県伊勢市で2023年1月4日(代表撮影)
例えば、首相が言及した「家族関係社会支出」は、経済協力開発機構(OECD)の基準に沿って計上される。ただし、この金額には国の負担に加えて、地方負担も含まれる。倍増するには単純計算で10兆円を超える財源が必要になるという。
それを、どうひねり出すのか。消費税率を引き上げないと追いつかない可能性がある。
数字が独り歩きするのを恐れたのだろう。松野博一官房長官らが「どこをベースにして倍増していくかは、まだ整理中」と首相答弁の釈明・修正に躍起となっているのは報道の通りだ。
要するに、政府としては基準をあいまいにしておきたい。いや、同じ倍増でも、なるべく額が少なくて済む基準を探したいというのが本音なのだと思う。
岸田首相の焦りや答弁の軽さを印象づけただけではない。こんな基本的な話が、いまだに政府内で調整できておらず、しかも、いつまでに達成するかも口にしない点に、もっと驚くべきだろう。
磯崎仁彦官房副長官は、首相答弁は子ども予算拡充の取り組みが防衛関連予算と比べて見劣りしていないことを示す趣旨だったと説明しているが、こうなると「方針」というより、もはや「願望」だ。
「5年後にGDP比2%に倍増する」と数字ありきで進む防衛関連予算と比べてみれば、取り組みの違いは既に明白だ。
就任以来、世間受けを狙って乱発してきた「倍増」の2文字。首相は今、自縄自縛に陥っているのである。(専門編集委員)
なんだか言葉遊びしているみたい!「子ども予算を将来的に倍増する」から「1月4日の『異次元の少子化対策』」になって「家族関係社会支出は2020年度の段階でGDP比2%を実現している。それをさらに倍増・・・」、官房長官は「どこをベースにして倍増していくかは、整理中」そして官房副長官は「予算拡充の取り組みが防衛関連予算と比べて見劣りしていないことを示す趣旨」
まあ、官邸がそんな発言を繰り返していたら、支持率はまだまだ落ちていくのじゃーないかな?ロシアや中国のような独裁政権は困るけど、政府部内くらいはまとめておかなっくちゃー!自民党幹事長と総理総裁の発言が一致していないのも困りますね。分かった!みんな好き勝手に会見しているんだ(笑)。それはなとは思いたいね。