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古舘伊知郎さんが語る政権と時代 岸田さん、アナタの言葉空っぽの貝殻ですよ / 毎日新聞

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古舘伊知郎さん=古舘プロジェクト提供

古舘伊知郎さんが語る政権と時代 岸田さん、アナタの言葉空っぽの貝殻ですよ

毎日新聞 2023/1/17 東京夕刊 有料記事

 「検討します」「注視します」「見極めます」。歯切れの悪い岸田文雄首相が、防衛費アップに増税、原発新設と矢継ぎ早に政策を打ち出した。それもろくろく議論もせずに。一体、聞く力はどこへ? フリーアナウンサーの古舘伊知郎さん(68)を訪ねると「岸田さんは、言葉が空疎なところに本質がありますよね」とバッサリ。快刀乱麻の古舘ステーションが開幕した。

 「例えば今、北朝鮮が年がら年中ミサイル撃ってくるでしょ? 岸田首相はそのたびに、容認できない、断じて容認できないって、どっかから借りてきた言葉を繰り返してる。もうそれって、容認してるのと同じじゃねーかって思うんです」

 東京・恵比寿。丸眼鏡でおなじみの古舘さんは、まずそう口火を切った。それから小泉純一郎、安倍晋三、岸田各氏といった歴代首相の名を挙げて「でも、自民党の強さって、政権の言葉が時代とかみ合っているところにもあるんです。結果、この20年で言葉はすっかり荒れ果てちゃいましたけどね」と続けた。

 音速の貴公子、F1詰め将棋、革命戦士……。古舘さんといったらF1やプロレスの実況での、切れ味鋭いキャッチコピーの生みの親。コトバで本質を捉える職人は、テレビ朝日「報道ステーション」のキャスターに就任した2004年以後、政治家の言説をリアルタイムで実況してきた。

 まずは小泉氏。構造改革なくして成長なし。テロに屈しない。郵政民営化。歯切れ良いワンフレーズポリティクスで人気絶頂だった、時の宰相。だが古舘さんは、小泉氏の本質はワンフレーズポリティクスじゃない、と首を振る。「簡潔で明瞭ってだけなら、今の茂木敏充幹事長も負けてない。でも彼の話はツマラナイでしょ」。そしてニヤリ。「小泉さんの言葉はバラードでした」

 私が!自民党を!!ぶっ潰す!!!

 短い言葉を、更に細切れにして空白をつくる。そこに小泉氏は感情をぶち込んだ。そして国民一人一人に「俺はアンタに訴えてるんだ」と迫った。ポイントは、間合いに込めたのが、愛ではなく怒りだったこと。「平成経済は低迷して、みんな生活に必死。政策を吟味する余裕はないし、世の中への憤激を抑えてた。で、あの人が怒りをぶちまける姿にシンクロしちゃった」

 古舘さんによると、小泉氏は豪速球ピッチャー。「自民党をぶっ壊すなんて、ただの直截(ちょくせつ)で比喩でも何でもない。でも本気で怒る直球勝負の姿に、みんな参っちゃった。国民はハーメルンの笛吹き男に踊らされたようなもんです」。それが震災で言葉がさまよっちゃった、と古舘さんは続けた。

 11年の東日本大震災と、東京電力福島第1原発事故。「安全神話」が崩壊し、政治や社会への不信が深まった直後に誕生したのが第2次安倍政権だ。「まさに」「いわば」を連発しながら結局同じ内容の発言を繰り返す彼の特徴ってね、と古舘さんは切り出した。

 「とにかく言葉を破壊して、ケムに巻くってことです。例えばモリカケ疑惑でも、桜を見る会の問題でもそう。『参加者を広く募ったが、募集はしてない』なんて訳の分からないことを平気で言っちゃう。原発だって『アンダーコントロール』で押し切っちゃうんだから」

 ただ古舘さんは、その言葉破壊が架空の物語を生みだし、私たちに浸透したと指摘する。「一国の宰相さえ本当のことを言わない。真実を見事にはぐらかす。でも、世の中どんどん大変さが増して、特に若い人は夢も見づらければ、現実も直視できない。小泉さんは『痛みを伴う改革』って言ったけど安倍さんは現実に痛みがあるにもかかわらず、糖衣錠みたいにそれを包んで隠しちゃった。クスリを打たれた『半覚醒』の状態で、私たちは安倍さんのまやかしの物語を信じちゃったんです」。そして、ちょっと怒気を込めた。

 「安倍さんの言葉はつまらなかったでしょ。あれじゃ若い人に、政治に興味を持つな、選挙に来るな、って言ってるようなもんです。清和会の先輩、森喜朗氏が『無党派層は寝ててくれ』って言ってたたかれたけど、巧妙なアレンジ版ですよね」

 では岸田政権はどうだろう。曖昧な言説の一方で、議論もなく唐突に政策を打ち出す最近の首相への違和感を、どう捉えたらいいのか。それはね、と古舘さんは身を乗り出した。「岸田さんの言葉は貝殻なんです」

 貝殻? そのココロは?

 「岸田さんの言葉って、○×して、△□した上で、×○します……みたいに数珠つなぎでしょ? でも実は中身がなくて、空っぽ。安倍さんは真実(中身)を隠すために言葉を破壊しましたけど、今の岸田さんには隠すべき真実さえない」

 でも、政治家は言葉と行動の一致が求められるのに、どうして強い反発がないんですかと水を向けると、そこなんです、と古舘さんはうなずいた。

 「岸田さんの言葉は、意味は成立しているけど、空洞だから聞いててもむなしい。言葉に中身があれば、原発新設でも防衛費アップでも、みんな『そんなこと聞いてないよ』ってなりますよ。でも言葉にあらかじめ中身がないから、貝殻に耳をあてても、聞こえるのは波の音だけ。もし、岸田さんがこれまでの発言全部をすげ替えても、私たちはスルーしかねませんよ」。音は鳴れども、中身はもぬけの殻というわけだ。

 それでも、今は空気を読む時代。水を差さない。傷つけない。LINE(ライン)やインスタグラムで仲のいい友達とだけつるんでいても、何とかなってしまう。岸田さんの言葉は、そんな時代とかみ合わせが良いんですよ、と話は続いた。

 「若い世代にとって、今や家庭でもコンプライアンス(法令順守)がある時代です。叱られるのは、パワハラ。そういうご時世で、与党を声高に批判する野党は『何か怖い』ってなってしまう。いくら岸田さんの言葉が貝殻でも、そこを攻める手立てが、みんなうまいこと見つからない」

報道はチンピラたれ

 しかし、そうなると時代とかみ合わせのいい言葉を駆使する政権は、何をやっても安泰ということになるのか。こちらの疑問を見透かしたように、古舘さんは記者を見つめた。

 「今こそ、メディアの役割が問われてますよ」

 悪例に挙げたのは、最近の首相のぶらさがり取材。「岸田さんの言葉は空っぽですから、メディアの質問が悪いと、むなしさが反響して、国民に伝播(でんぱ)します。『総理、○○について受け止めを』なんてやってたらダメですよ。単なるナアナアの儀式だってことが筒抜けです。もっと丁々発止でやらなきゃ」

 「僕も長く報道に関わった人間ですから」と古舘さんは、ぐっと力を込めた。「今でこそカッコつけてますが、元はテレビなんて電気紙芝居、新聞だって瓦版です。ネット時代に追いつこうと、官僚や学者しか分からないような難しいカタカナ語なんて使う必要ない。世をすねたチンピラでいいんです。ただし、脇をしっかり締めたチンピラ。抜かりなく、果敢に権力に切り込んでいかないと」

 言葉の職人が、マスコミに贈る激励。それはオブラートなしのむき出しだった。【川名壮志】

 ■人物略歴
古舘伊知郎(ふるたち・いちろう)さん
 1954年、東京都生まれ。テレビ朝日アナウンサーを経てフリーに。F1やプロレスの実況中継で人気を博し、テレビ番組の司会者として活躍。2004~16年、「報道ステーション」キャスター。立教大客員教授。

 国会が始まったけど、ほんとうにつまんないですね。岸田総理はいったい自分の言葉で話したことがあるのか?ただただ、官僚が夜を徹して書き上げた卒のない建前論を読み上げるだけ。これが国の最高機関としたら白けるだけ。

 総理はたくさんのアドバルーンを打ち上げたけど、結局何もなし得ないのじゃーないかな。事実、自民党の若手の国会議員や元総理に重鎮から批判めいたことが頻繁に出てくるようだが、G7で持てはやされても、国内政治で選挙に勝利できるか疑問だ。解散して大敗でもしたら辞めるしかないと思うけど・・・。

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