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特集 安倍晋三元首相襲撃 / 「社会の閉そく感が表出か」 作家・真山仁さん / 毎日新聞

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作家の真山仁さん=2021年6月、幾島健太郎撮影

毎日新聞  2022/7/8 19:48

安倍晋三元首相が銃撃され亡くなった事件をどう受け止めるか。識者らに聞いた。

作家の真山仁さんの話

 危機管理などを題材に小説を書いてきた身からすると、プロではなさそうな人物に、あんなにもあっさりと銃撃を許してしまったことに衝撃を受けました。ただ、社会や政治にどんなに不満がたまっていても、戦後の日本では、このようなテロは想像できませんでした。社会の健全性を保つのは暴力ではなく言葉ですが、その言葉が本来持っているはずの力が失われてきていると感じます。

 十分な背景が分からない中で軽はずみなことは言えませんし、今言ったことと少し矛盾するかもしれませんが、いつかこういうことが起きるのではないかと、心のどこかで思っていたような気もするんです。社会の閉塞(へいそく)感がこのような形で表出されたのだとしたら、残念という言葉では片付けられません。

 バブル以降の日本では、成長を無理やり作り出すために弱者を生み出し、そこにしわ寄せをしてきました。さらにコロナ禍で人と会うのが難しくなり、多くの人が孤独を抱えています。他者と言葉を交わし、言葉を吐き出すことこそ人には必要ですが、日本の社会全体が、言葉を発することができなくなってきているのではないでしょうか。

 今は落ち着いて、情報の嵐にのみ込まれないようにするのが大事です。不確かな情報に飛び付き、自分で自分の恐怖をあおるのが最も危険。例えば、もっと警官を増やして職務質問をたくさんしてほしいとか、怪しい人物は徹底的に監視してほしいとか、恐怖から極端な動きが生まれるのが最も恐ろしい。

 速報を追いかける必要はありません。ニュースは半分遮断するくらいの気持ちで、冷静な記事が出るのを待ったほうがいいと思います。

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